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これだから殿方は!!
しおりを挟む食事を終えて側妃宮に帰ろうとすると、侍女から「殿下のお渡りがございます」と囁かれました。昨日と同じ『夜の間』で湯浴みを終わらせ、侍女たちが下がり……ぼーっと夜着のまま寝台に腰掛けて待っているとセオドア様がいらっしゃいました。
「………」
「………やあ、エマ」
そして扉を閉めた直後に、大きな壁の絵がカコン、と外れてケイレブが。
………えっ、なにこれ…気まずいです……。
「じゃあ交代」
「おう」
ぱん!とお互いの手のひらを叩き合って ーーー 要するに前世のハイタッチですわね。あれを楽しそうにやって、セオドア様は絵の裏に隠されていた通路に消えていきました。
えっ、なにそれ?超羨ましいんですけど!?
セオドア様とケイレブ、喧嘩する前より仲良しなんですけど!?男の子って…いいえ、殿方って……どうしてこう、わたくしたち女性が入り込めない世界を作るんですの!?なにも言わなくてもわかってる、みたいな!わたくし、2人にそんなふうにしてもらったことありませんわ!狡い狡い狡すぎますわ!!
「エマ…」
「……なんですの?」
膨れっ面のわたくしの頬を突いてケイレブが笑います。
「子供の頃に戻ったみたいだ。エマが怒ってる」
「………」
あら?そういえば。いけませんね、わたくし、6つの時から頑張った淑女教育という名の鍍金が剥がれてきてますわ。
「……はあ、可愛い。いや待て、えー…ああ、そうだ。お前、なんかあの色ボケジジイに狙われてるらしいから、セオドアが毎日『お渡り』するって」
え……
「ついでにしっかり子作りしろって言われた。その辺もきな臭いらしいな」
ええええええ……
「ちょっとお待ちになって?その、ついでとか…まさか……そんな軽い感じで…?」
「うん。だって、お前の立ち直りの早さ見たら、俺もセオドアも『あれ?そんなに絶望でもないかも?』って思ってな?」
「なんですかそれ!?」
し、し、神聖な夫婦の共同作業を、なんだと思ってるんですか!?
「これだから殿方は!!」
「差別か!?」
差別ではありません!事実です!!
********************************************
謝罪も何にもなく普通に幼馴染に戻れる彼らはやはり脳みそおかしい。でもいますよねこういう人…。
裏設定
エマの淑女教育を担当したのはパティ。パティは他国の王族に嫁ぐ予定で高度な淑女教育を習得し終えていた。
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