側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや

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お仕事をしない方のドレスは経費に入りません

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日々は穏やかではありませんが過ぎていきます。わたくしに盛られそうになった薬はやはり堕胎薬で、零番街スラムの闇医者からしか手に入らないものでした。零番街は『存在しない街』なので逮捕はできません。あれはあれで使があるのです。

薬を購入したバーニー・アッシュウッドと、わたくしに薬を盛ったエイラは絞首刑となりました。アッシュウッド卿は「シャーロット様に頼まれた」と言っていましたが、シャーロット様はアッシュウッド卿とと主張。どちらも証拠はありません。必然的にアッシュウッド卿が絞首刑となることで事件は終わりました。ただ、シャーロット様も王太子以外の男性と2人きりで会うのは如何なものかと謹慎処分。如何わしい夜会や賭博場カジノは出入り禁止といたしました。


わたくしのお腹も少しずつ膨らみ始め、あらあら、まあ…本当にがここで育っているのですね…と実感し始めました。同じ頃、アリサの妊娠も判明。ま…鬼哭丸ったら、あの蜜月ハネムーンの10日ほどで……やりますわね。

大きくなり始めたお腹に合わせるために、次の夜会のためのゆったりしたドレスと、デイドレスを新調することとなりました。デイドレスは出産するまでの短い間だけなので着心地が良ければ既製品で…と言ったのですが、すでにお父様と匿名希望さんから注文を貰って仕立て始めているとのこと。

「愛されておりますわね」とマダムサティンがウフフと笑いましたが、わたくしもニッコリ笑うだけで口止め致しました。


採寸を終え、マダムサティンをお見送りに側妃宮の出口まで行くと、シャーロット様が仁王立ちしておりました。


「ずるいわエマ!!自分だけドレスを作るのね!?私は王太子妃なのに、今年はもうドレスを作れないってどういうこと!?」


あらあら…まあ。この方、ご自分が王太子妃の年間予算を使い切ったことを覚えていないのかしら?


「王太子妃様の年間予算は追加できません」

「でも!だってエマは作っているじゃない!!」

「これは実家のお父様がお金を払ってくださいました。ご実家を頼っては?」

「あのクソ親父、頼るどころかこっちに無心してきてるわよ!ねえ良いじゃない!あと一着だけ!隠しキャライベント用の黄色いドレスが欲しいの!」


イベント!?即売会か何かでございますか?


ふう、とわたくしは息を吐きます。


「公務に際しての予算の追加ならできますが」

「公務?良いわ!どうするの?」

「5ヶ月後の夜会でデュドヴァン中立国のお客様をおもてなししてください。わたくしはその頃は産み月なので出席致しません」

「デュドヴァン…」

「公用語はシリヤ語、5ヶ月で言語とを習得してください。通訳は付けません。もちろん教師は優秀な者を経費で雇います。……出来ますか?」

「でっ、出来るわ!!馬鹿にしないで!私は男爵家にお金がなかったから勉強が出来なかっただけよ!ちゃんとした先生がいればアンタより満足してもらえるんだから!!」

「楽しみです」


わたくしの言葉にシャーロット様はお顔を真っ赤にされました。このくらい煽っておくと頑張ってくださるでしょう。あまり無様だとデュドヴァンのお客様がないでしょうから。






「マダムサティン、シャーロット様の採寸とデザインもお願いいたしますわ。経費で落としますので、予算内でお願いしますね?」













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