側妃、で御座いますか？承知いたしました、ただし条件があります。

女神の断罪 3

「わたくしが側妃になり、王族の年間予算を見直した。今まで派手に金貨をばら撒いていたファーガス王も例外なく。だが王の生活は変わらなかった。王都で一二を争う娼婦を呼び、毎夜踊り子たちを舞わせ、最高級の食事に酒。王太子妃シャーロットと関係を持ってからは数名の男娼と娼婦を城に呼び淫らな遊びに耽った。さあ、それは幾らだ？金貨はどこから出ている？ファーガス王に金貨を渡していた国内の貴族は全て潰した。ではどこだ？ ーーー …帝国だった」

「違う！私は帝国からなど…！！」

「ラムゼイの商人に通行証を売っただろう？期限付き通行証1枚で金貨100枚。100枚近く売った年もあったな？辺境伯からの苦情で発覚しなかったら、今頃地図が変わっていただろう」


始まりは辺境伯からの苦情。間諜を捕まえたら高確率で国璽を捺した通行証を所持している。どういう管理をしているのか、と。


「私が通行証を売ったのは商人だ！帝国人ではない！！」

「商人の自己紹介を鵜呑みに？裏は取ったのか？背後まで洗ったか？いいや、貴方は金貨を運んでくる『商人』を怪しいと思いながら目を瞑ったのだ。エーメリ辺境伯領は国境を封鎖して間諜の一斉検挙の真っ最中だ」

「し…知らない！！私は知らなかった！！知らなかった！！」

「知らなかった？国王である貴方が？知らずに？国璽を捺した通行証を？貴方が売ったのは通行証ではない、国を売ろうとしたのだ！！」


国璽を捺した通行証を持てば、どんな物を持っていようと検査なしで通れます。これは本当に危ないことだったのです。それを『知らなかった』？わたくし、セバスの『三日で制圧』の言葉を思い出し、身震いいたしました。


「余罪はまだある！だがこれで十分であろう！わたくしエマはファーガス王の退位を要求するッ！！」








「異議なし」


お父様の声です。


「異議なし」


この声はケイレブの。


「異議なし」

「異議なし」

「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」

「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」



………終わりましたわね…。


















「……では終わろうか、父上？」