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元公爵令嬢と神降ろし(1)
しおりを挟むグレンの神降ろしで『武と英雄の守護神』さまが降りてくる。
神々しい光が収まると、『武と英雄の守護神』さまは安定感のある笑みを浮かべてグレンを見た。
「久しいなグレンよ」
「はい、この間の戦争以来かと」
「そうかそうか、ところでグレンよ…」
『武と英雄の守護神』さまはチラリと私を見た。え、なにその複雑そうな顔!?
「嫁、というのは…その、……」
「はい!俺の最愛の人、ローズマリーです!」
きゃーーーーーー!!さ、い、あ、い、だって!きゃーーーーーーー!!
…………って喜べるか、おい!
だって『武と英雄の守護神』さま、明らかに嫌そうじゃん!
なんで!?無加護はそんなにいけませんか!?
「………何か?」
「いや、その、だな……その娘、厄介な神に目をつけられていると神界で噂に…」
「厄介とは どーいう意味よーーーーーう!?」
子供のような甲高い声が響く。
空間がキラキラと輝いたと思ったら、甘ったるい砂糖菓子のような臭いが漂った。
目に痛いピンク光線がカッと光る。
「わたくしは『物語と愛の守護神』!探したわよ!ローズマリー・フロレスタ公爵令嬢!喜びなさい!貴女を主人公にしてあげるわ!さあ私の加護をありがたく受けなさーーーーーーーーーい☆(きゅるるる~~~ん)」
………………………は?誰?
「お断りします」
「そう!そうよね!大丈夫よ!ここからが貴女の物語!虐げられてきた美少女がステキな王子様に出会って溺愛されて恋に落ちるの!さあ!手を!」
「だから、お断りします」
「わかったわ!さあ、新しい扉を………………」
「断るっつってんでしょ」
「………………………は?…え?だって……?え?」
魔法少女みたいな格好をしたピンクの何かは言葉が通じないらしい。
「え…?え?どうして?だって、子供の頃から虐待受けて、内乱の火種みたいな頭悪い王子と婚約させられて、しかも学校でも ぞんざいに下僕みたいに扱われて、顔もぼんやりしたモブに犯されそうになったり、ポッと出の格下令嬢に婚約者を寝取られた挙句に捨てられて……」
「……っぐ…!」
やめたげて。視界の端っこで元王子が心臓おさえて涙目だから。
「親からも見放されて、田舎貴族に攫われて、こーんな野蛮で怖い辺境で無理矢理 結婚させられてるんでしょ!?」
概要は大体合ってるけど、状況見えてないね この視界の暴力ピンク。
「そんな可哀想な貴女を、この!優しい!女神様が!救ってあげるって言ってるのよ!?」
「お断りだクソが」
「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!???」
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