公爵令嬢は奪われる2 〜悪役にならなかった元公爵令嬢が辺境伯に嫁いでからのアレコレ〜

元公爵令嬢とブラッディロード

純白のウェディングドレスを纏い、チョロ兄に手を引かれて歩いていく。

武装しまくった参列者が かなり怖い。まるで今から戦争でもするみたいだ。

そのフル装備集団が開けた一筋の道。

カムデンズではバージンロードって言わないらしい。



ブラッディロード。



物騒な名前の花道は色んな意味がある。

これから血塗れの人生でも共に歩んでいくとか、花嫁を大事にしないと血祭りにあげるぞ！とか…。

ホント、ヤバいとこに嫁いだよ。

祭壇の上でグレンが待っている。

「……親父が居たら、やっぱ嫁に出さねえとか言ってそう」

チョロ兄がちょっとだけ握る手に力を入れる。

子供の頃、小さな女の子は「パパのお嫁さんになる！」とか言うらしいが、私は「お兄ちゃんのお嫁さんになる！」って言ってたらしい。

…マジで？覚えてないんですけど？

「お兄ちゃんは言わないんだ？」

ベールの向こうのチョロ兄にニヤリと笑う。チョロ兄もニヤリと笑い返した。

「んにゃ、むしろ僥倖。んで返品不可だ。あんな優良物件、がっつり掴んで放すんじゃねーぞ？あと、兄ちゃんはエロゲ以外の一夫多妻は嫌いだ。ウワキ、ダメ、ゼッタイ！滅びろハーレム主人公！もげろリア充！」

多大な私怨のにおいがするwww

「……ほーんじゃ、バトンタッチ」

チョロ兄の手が離れていく。

グレンが蕩けるような笑顔で手を差し出している。

私はそっとその手に手を重ねる。

ギュッと握り込まれて、嬉しいような恥ずかしいような…。

御神体のような大きな岩に向かい、グレンの神降ろしが始まった。