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ルーカス・フェリエーラと学園
しおりを挟む学園と王宮は歩いて行き来できるほど近い。知らせを受けて急行した現場では、倒れ込む水浸しの女生徒を男子生徒たちが囲んで罵声を浴びせていた。俺を案内した学園長が「しまった」という顔をした。きっと陛下から俺の素性を説明されているのだろう。
「なんの騒ぎだ、これは?」
騎士と学園長、そして王弟付きの侍従服を着た俺に男子生徒たちは一瞬怯んだ。だが怯えるように身を縮こませるもう1人の女生徒を見て、俺たちを睨めつけた。
「お前こそなんだ!?私たちは今、殺人未遂を犯した女を裁いているんだ、邪魔をするな!」
「殺人未遂?」
学園長がひゅっと息を呑んだ。俺が歩を進めると人垣が割れて倒れ伏した女生徒がよく見えた。
「……ロゼ…」
水浸しで倒れ伏す女生徒はロゼマリアだった。何故。一体何故こんなことに。ぐったりとしたロゼマリアを抱き上げると、男子生徒たち ーーー 王太子とその側近たちは大騒ぎだ。こいつら、本当に俺と同じ歳か?幼等部の生徒じゃないよな?
「本当に殺人未遂というなら!」
魔力を乗せて声を張った。窓ガラスが震え、魔力酔いでバタバタと生徒たちが倒れた。知ったことか。ただ見ていたこいつらも同類だ。
「正式に騎士を入れて調べたほうがいい。ああ、王家の影は全て処分された。二度と同じ手は使えないぞ?」
ロゼマリアの体が燃えるように熱い。熱が高い。
馬車へ急ぐ俺に、校医だという男が声をかけてきた。本当に気絶しているなら保健室で預かろう、と。
「結構だ。今の出来事でこの学園全てが信頼できないと判断した。貴公も同様だ、ドミニク・ファーバー校医」
校医の男がサッと顔色を悪くした。名前まで知られてないと思っていたか?生憎この学園のことはロゼマリアが入学した時から下調べは終わっているんだ。「お待ちください!」と背後で学園長が叫んでいる。屠殺前の豚のように。
「ああ、世の中は糞ばかりか」
吐き捨てて馬車に乗る。行く先は大公邸。もう王宮にもカーディナル家にも任せられない。
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