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【記憶の断片 5】
しおりを挟む戦争が終わり、俺の身柄はオジサン預かりになった。
オジサン。俺を瓦礫の中から引き摺り出して保護してくれた人。なんか指揮官っぽくて偉いのかな?って思ってたら王様の弟だったっていう…。
オジサンは風呂に入って髭を剃ったらお兄さんになった。でもまあ20代後半かな?お兄さんになったアレクシス様は俺もお城に連れて行った。養子にするつもりだったらしい。
お城ではブクブク肥った白い豚……げふん。王様が瀕死になってた。体が指や耳から腐っていく奇病らしい。でも……あれ?
手足の腐った臭いとは別に、甘酸っぱい腐ったような臭い。俺はこれを前世で嗅いだことがある。これは……
「陛下、甘いものってお好きですか?」
無礼にも突然話しかけた俺に陛下が興味を示す。多分この紫色の瞳のおかげだろう。聞いてみると陛下は3食おやつは甘いもの。嬉しくても悲しくても腹が立っても甘いもの。ああ…そりゃ確定でしょ。
「陛下は糖尿病ですよ。この世界には治癒魔法もあるんだし、食事療法で治りますよ?」
「とう、にょう…?しょくじりょうほ?」
「ルーカス!治るのか!?兄上が!?」
そこからダメ元で陛下の食事療法が始まった。パンは小麦麩を半分くらい混ぜて、ジャムは出来るだけ砂糖を使わない自然の甘み。食事には南瓜や甘薯のスープやチーズ、赤身の肉を使ってもらう。お腹が減ったら木の実を齧る。干し肉干し魚でもいい。砂糖は禁止じゃないけど、出来るだけ使わずに、使うなら未精製の原料糖や蜂蜜を使うように。……まあ蜂蜜は高価だから使わないと料理長に言われたんだが。
最初は「美味しくない」と不満タラタラだった陛下だったけど、「これは薬です!」「兄上、俺をおいて逝かないでくれ」と周囲やアレクシス様に懇願されて続けたところ、みるみる効果が出てきた。
体が軽い。気分がすっきり。回復魔法の頻度が減る。ついでに体重も減った。新手のモンスターのようだった陛下は、ちょっとぽっちゃりだけど美形のイケおじになった。
「よし、ルーカスは私の隠し子だったことにしよう」
笑顔でそう言った陛下に
「ルーカスは俺が嫁にするのでダメです」
アレクシス様の待ったが入る。あわや兄弟喧嘩勃発。協議の結果、俺の意志に任せようってことになり、ついでに浮いた『フェリエーラ』の爵位をもらった。領地はいらないと言ったらアレクシス様預かりになった。
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