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【校医視点】1
しおりを挟むボソボソと話し声が聞こえる。若い男と老人のようだ。ここは…どこだ?私は……
「……で…ええ、そうです。溝鼠に餌をもらって尻尾を振るなんてね?」
「ふむ。まあそちらは陛下か殿下がなんとかするだろうね。僕たちはただ命令通りに壊すだけだ。難しいことは考えずに研究に没頭できる環境とは素晴らしいね」
「まあそうですね。政は苦手ですよ。……と、気が付きましたね、ドミニクス殿下」
「………っ」
眩しい…!なんだここは…
白。白。白。そして鈍色。眩い光に照らされた白い部屋。体が動かない。これは一体……!?
「ようこそ!ようこそ、ドミニクス・ファーゲルリーン第4王子殿下!お待ちもうしておりましたよ」
老人が言った。芝居がかった声で。歌うように、嬉しそうに。
「僕はハイゼンベルグ。しがない研究者ですよ、ドミニクス殿下」
「ハイゼンベルグ…」
ハイゼンベルグ、ハイゼンベルグ…どこかで聞いた。どこかで……
「…ハイゼンベルグ……マキシミリアン………っ!?マキシミリアン・ハイゼンベルグ!!」
「おやドミニクス殿下?僕のことをご存知で?」
老人は ーーー マキシミリアン・ハイゼンベルグは笑った。
マキシミリアン・ハイゼンベルグ博士。魔石式魔道砲と空中滑走の魔道具の第一人者。魔力のない一般兵でも、彼の開発した兵器を持つことで一騎当千のエースとなった。先の大戦での勝利を支え続けた男。
何故、この男が……!?
終戦した5年前、いや、それ以前の6年前から行方知れずだと聞いていた。
「僕は殿下のことをよく知っていますよ。よく。よーく、ね。貴方がたファーゲルリーン王家に連なる者は全て調べました。一人でも多く道連れにしようとしたのに、殿下が止めたんですよ。酷いお方だ。僕は貴方たちのおかげでもう魔道具を作れなくなってしまったというのに」
私を覗き込むハイゼンベルグの瞳は昏く、昏く。まるで深い奈落の穴のようだ。これが……マキシミリアン・ハイゼンベルグ!?我らがあれほどまでに恐れた科学者だというのか!
「まあまあ、教授?彼は何も知らないんじゃあないですかね?」
「知らない…?なにも?なにも知らない!?知らない?知らない?知らない?知らない知らない知らない知らない知らない知らない!?知らないはずがないッ!!ドミニクス・ファーゲルリーン!君も軍属だったはずだ!ファーゲルリーン王家の王子は全員軍に所属!王太子とスペアである第2王子以外は戦地へ赴いた!第3王子から第5王子まで!軍事作戦会議にも参加したと議事録にあるッ!なのに『知らない』!?そんなはずはない!そんなはずはないだろう!!」
目の前で唾を飛ばしながらハイゼンベルグが叫ぶ。
「僕の家族を奪っただろう!!知っているはずだ!ファーゲルリーン第4王子!!僕の家族を!!妻を!娘を!婿を!孫たちを!!」
「お前たちが殺した!!なんの罪もない僕の家族を!!」
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