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【国王視点】
しおりを挟む「ルーカスが帰ってきません…」
じとり、と弟は私を恨みがましい目で睨め付けた。見る者によっては震え上がるような視線だ。私の護衛などは震え上がりながらも剣の柄に手を掛けている。片手を上げて護衛を制し、紅茶を口に含んだ。
「夜には帰っているだろう。そう報告を受けている」
「帰ってきてますよ!?夜半過ぎに帰ってきて、着替えの下着を持ってまた出て行ったのが10日前!毎日ロゼマリアの顔を見に来て、俺が仕事から帰る前にはもういない!どういうことですか!新婚ですよ、新婚!なのにこんなのあんまりだ!!」
「ふむ、だがそれが今回のフェリエーラ子爵の仕事だろう?相変わらず、妹がらみの仕事には手を抜かない」
「抜かなさ過ぎます!!」
「大丈夫だ、終わった、と報告が来ている」
私はひらりとフェリエーラ子爵からの報告書を見せた。
報告書には溝鼠の始末と、狐の王子の陥落が書いてある。実の兄を食わせ、精神を粉砕したようだ。中々にえげつない。フェリエーラ子爵の最初の報告者に添えられた記録映像は、新年の挨拶状と共に隣国に複製を送った。隣国の応答は『事実無根』というものだった。
『我が国が貴国に間者を送った事実はなく、第4王子は東の皇国に留学中である。これは我が国と貴国の友好関係に罅を入れようとする賊の陰謀であろう』
はっ。切り捨てられたな、狐の王子。まあ今更返せと言われても『教授』が嫌がるだろうからな。安心して弄り倒してくれ、教授。
「お前の愛してやまぬ妻は、本日中にも屋敷に帰宅するであろうよ」
「そう…ですか……!」
いそいそと帰り支度を始める弟を見て、自然に口角が上がる。
「3日ほど休暇をやろう。お前の妻にも。命の洗濯をしておいで」
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