【7人の魔王 終】白の恋と、黒の愛

とうや

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【『儂』独白】 1

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嗚呼…そうさのぉ、何から話すか…。だから面倒じゃと言うたのに。恨んで憎んでさっさと忘れれば良かったものを。

まず儂らは《神》の敵じゃ。捕食者じゃ。絶対的強者じゃ。らは我らの餌じゃ。この辺の細かいくだりは《世界記録ライブラリ》を読めば良い。

あの頃《世界ザ・ワールド》には様々なイキモノがおってのぅ。《七支族ザ・セブンス》と呼ばれたモノの長は、まあ儂ら《ふるきものども》同等のチカラを持っておった。儂らと七氏族は喰い物が被る訳でもなく、共存しておったのじゃ。

じゃが、ある時、人間ゴミクズを嫁にするという狂うた流行りがあっての。声高に叫んだのじゃ。


『人間を解放しよう』、と…。


……阿呆じゃのう。解放も何も、儂らが柵で囲って飼っている訳でも、鎖で繋いでいる訳でもない。というに。

あっという間に戦争じゃよ。隣人だとものたちの裏切りじゃ。

我らと彼奴きやつらは戦い、殺し合い、潰し合うた。

残ったのはの我らと僅かな数の七支族のものたち。我らは彼奴らを撫で斬りにし、彼奴らは最後の力で我らを異界に封じた。

……と、まあ儂がこのまなこで見たのはそこまでじゃ。此処からは《世界記録》のじゃ。

絶対的強者が居なくなったその《世界》では何が起こったと思うか?息を潜め、コソコソと生き永らえておった《ゴミムシ》が実権を握ったのじゃよ。これ幸い、とのう。だが我らや彼奴らの《恩恵》を失うた《世界》は荒廃する一方じゃ。当たり前じゃろうが。何故なにゆえ《ニンゲン》どもが我らの傍に棲んでおったと思うのじゃ。《恩恵》じゃ。我らや《古代種ザ・セブンス》から漏れ溢れる魔力によって《世界》は成り立っておった。魔力が潤沢な大地は肥え、生命力に溢れ、空気は澄み、気候は安定する。《ニンゲン》どもは儂らに飼われていた訳ではない。しておったのじゃ。「多少は喰われても良い」とな…。《ニンゲン》があのようにうじゃうじゃと産み散らかす訳が判っただろう?

《神》には広大な《世界》を維持していくことが出来なかった。《システム》の動かし方さえ知らなんだ。だが我らはもう居らぬ。封印の解き方さえも知らぬ。しんば知っておっても、我らを解き放てばまたコソコソと隠れ生き永らえる無意味な生へ逆戻りじゃ。《神》は考えた。その姑息で驕り高ぶった穴だらけの海綿脳味噌でのう。


「この《世界》を捨てて、小さな楽園を作ろう」


とな…。狂うておる。ああ、全く、狂うておるじゃろう。





こうして、《世界》は遺棄され、歪で小さな《箱庭せかい》が乱立した、という訳じゃ。全く、《ゴミムシ》ども、やってくれるわ。





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