【7人の魔王 終】白の恋と、黒の愛

とうや

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子供でいられる最後の日 1

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30日目。

明日は各拠点の眷属たちが迎えに来る。俺たちは1日自由にして良いと言われたのでヴァルハラを探検することになった。

空間収納インベントリに弁当と水筒を突っ込んで。耳には通信機兼発信機のイヤーカフ、手には羅針盤コンパスを持つ。羅針盤の針は常にこのヴァルハラの中心を指すらしく、逸れて迷ったらこれで帰ってこいってことだ。

子供の頃みたいに。あの公園で過ごした日々のように。みんなでワアワア言いながら歩く。俺はシロの手を引いて。暁は千早の肩車。あの頃と同じじゃないけれど、それでも俺たちはここで生きていく。多分今日が、俺たちが子供でいられる最後の日だろう。


「すっげえ!雪と氷すっげえ!」

「アキ、暴れるな。ちーが落としちまうぞ」

「そしたら次ヒナがおんぶ!」

「やだよ自分で歩け」

「けっちぃー!ヒナのけちー!」


体温調節ができてしまえばこの極寒の城も快適だ。俺が治める領地もここほどではないが寒いらしい。


「なあアオイ!歌えるようになったらさあ、おれアレ聞きたい!レリゴー!とかいうの!」

「ああ…Let it goね。そうだね…ここにぴったりだね」


俺たちは地球世界から《界》を渡ってこの箱庭に来た。碧海の歌や暁の年齢はその《代償》として支払われた。取り戻すには、俺たちそれぞれが『なによりも誰よりも大切な存在』 ーーー 伴侶と呼ばれるものを見つけなくてはならない。俺の《代償》が帰ってきたのはまあ……そういうことだ。それがわかった時のみんなのニヤニヤした顔。クッソ、シロの目が見えてなくて良かった。俺の顔は茹で蛸みたいになってただろうから。

俺たちはいずれこの箱庭せかいを壊し、似たような箱庭も壊して壊して、《神》と呼ばれるものが創造した中途半端なシステムを全て壊して《世界ザ・ワールド》を取り戻さないといけないらしい。その殺伐とした日々で心が壊れてしまわないよう、爺さんたちは《システム》に細工をした。『伴侶が見つかれば全て返還される』と。

……全く、優しいんだか酷いんだか…。


「ねえ、誰かの『お嫁さん』が見つかるたびに集まろうよ。僕ねえ、みんなのお嫁さん見たいなあ」


紫苑がのほほんと笑う。


「まあ遠隔で話すのは爺ちゃんたちが『夢』を繋げてくれたらしいからな。よし、シロクロ以外で先に見つけた奴んとこ集合な。酒は自分達で持ち寄れよ?」

「あっ、なんなのひぃくん!?自分が1番早いって顔してない!?」

『ヒナ… お前 酒って…』

「えー?飲んでたよ?酒に合う料理も作んなきゃいけなかったし」

「まあ酒も煙草も一通り…なあ?」

「僕もお酒くらいは耐性つけろって飲まされたけど……美味しいよ?」

「ねえひーちゃん!僕とクロ以外ってなに?!」

「だってほら、……ね?」

『待てクロ お前ら付き合って るんだろ? まさかまだとか 言わねえよな!?』

「……~~っ!!そっ、それはまあ…まだ……その……っ!」

「………え」

「ええ~マジでえ?シロかわいそー…」

「男らしくねえなあ…」

「拗らせてるの?」

「クロの初恋だろうしなあ…」

「んん?む???なんの話?」





デリケートな問題なんだからそっとしといてくれ!!




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