【7人の魔王 終】白の恋と、黒の愛

とうや

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視察 1

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ノルトラインのエーベルシュタイン領に《転移》で降り立つ。栢木は冒険者時代に何度かこうやって移動したようで、俺が一緒に運んでも「便利www」と喜んでいた。

レイブンたちが用意していた宿の部屋から通りを見る。茶色っぽい木材造りの街並みだ。鎧を着た冒険者らしき男や、鎧としての機能が疑われる金属の下着を纏ったような女。どこか巴里や伯林のマーケットを連想させる屋台がずらりと並ぶ。


「さっ、行こうかクロ様」


俺は認識阻害のローブを着て、栢木はそのまま宿から出る。ランクの高い宿だったのだろう。エントランスから入った記録のない俺たちが受付の前を通り過ぎても、慌てることなく「いってらっしゃいませ」と中年男性のスタッフが落ち着いた声で頭を下げた。うん、良い宿だ。

外はなんというか、色々なものが混じり合ったすごい匂いがしていた。でかい焼き鳥のような串焼きが目についたので買ってみる。


「……んぐ…、んっ、ぎっ…ぐぎぎ…!!」


かった!?獣臭ッ!?


「あー、クロ様、そりゃだめだ。岩熊ロックベアーじゃん。熊肉食いたかったらアヴァロンのダンジョンで熊神キムンカムイでも獲ってきてもらったほうがいい。固いから塩麹と甘酒に漬けたほうがいいけど」

「いらねえよ!」


クッソ!忘れかけてたよ異世界の食糧事情!!目の前で捨てるのもなんだからインベントリに突っ込む。

シロにお土産買って帰ろうと思ったのにロクなのが……


「………ん…?」


高そうなドレスを着た少女が大事そうに手にしている瓶が目に付く。赤い……苺?


「やっと買えましたわあ!王都で予約が半年待ちなのに現地ではすぐに手に入るという噂は本当でしたのねえ!」

「『ワケアリショウヒン』とかいうものらしいですわね!少し形が崩れたり瓶に傷が入ったりで、ベーレンドルフ公爵家の店には出せない商品らしいですわ」

「少しくらい崩れてても問題ありませんわあ!だって、お茶会でのあのアミューズスプーンで供されたあの一口…!至福の逸品でしたものねえ!」


「ちょっと君!」


「きゃっ!?」


俺は思わず立ち塞がって声を掛ける。周りの護衛らしき男たちが一気に臨戦態勢に入ったが気にしない!


「……っ!…え……あ、あら、やだ………な、なにか御用ですの?」


少女は護衛たちに手をあげて止めてくれた。話のわかる子だ、ありがたい。





「その瓶、どこで買った?教えてくれないか?お土産にしたいんだ」






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