【7人の魔王 終】白の恋と、黒の愛

とうや

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新世界にて【聖龍視点】4

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「お父さんは……俺が嫌い?」

「…………」


腕の中の我が子が私を見上げていた。

えっ……なんだこれ。なに、この生き物………


「…嫌いだなどと……」

「だって…だってお父さん、お母さんとケンカしてるし……」

「うっ…そ、それは…」


大きな蓮花はすはな色の瞳からポロリと涙が溢れた。


「お…俺に、魂魄の治し方教えたくないって言うし……」

「いや…それは……その…」

「俺のね、旦那様が死んじゃって……お、おれを、かばって…しんじゃって……」


ぽろぽろ、ぽろぽろ。


「お…おれ……なおせると、おもったのに…おもって…かるく、かんがえてて……ち、ちはっ…ちはやっ…し…ん……じゃって……!!」


ぽろぽろ。ぽろぽろ。愛らしい顔をくしゃくしゃにして、我が子が泣く。……不謹慎だ。ああ、非常に不謹慎だ。だが………





な ん だ こ の か わ い い い き も の は ! ?





なんだこれ、なんだこれ!?なんでこんな可愛い生き物が存在しているんだ!?奇跡か!?ああ、奇跡だ!!姿形は深紅こきくれないによく似ているのに何故こんなに愛らしいんだ!?小さな手で私の胸元をギュッと握る仕草。鳴き声も庇護を求める子猫のようだ。可愛い。可愛すぎる。泣いている我が子が可愛いなど、私はどれだけ人でなしなのだろうか!?可愛すぎて息苦しささえ覚えるぞ!?


「だからのう、《聖龍》や。おぬしのは《吾》が喰うたから何の問題も無かろうて?」


屍人のような顔色の男が囁く。


「吾がお前を喰って記憶を継承しても良いんだけどねえ?」


あっ、本気で喰われる…。


「………聖龍…………」


死体を背負っているのだろう、若い男が頭を下げてきた。えええええええ…待て!待ってくれ!!!お前その服装からして指揮官クラスだろう……?誇りプライドが天井知らずに高い《ふるきものども》が…若いとはいえ頭を…仇敵に頭を下げるのか!?


「頼む…!……大切な…兄弟、なんだ……」


ぐっ……!や…やめろ……やめてくれ…!そんなことで屈しな……


「…おとうさん……」














ぽきり。











何か大事なものが折れた音がした。












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