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新世界にて 7
しおりを挟む「私はね、慈雨。あなたの。貴方方《古代種》のそういうところが嫌いです。大嫌いですよ」
大嫌い、と言われたピンク頭は固まった。悪意に晒され慣れていない訳はないから、単に嫁に心底惚れているんだろう。冷たい声色と視線で、微笑をたたえた深紅は続ける。
「私はここに至るまで、《ふるきものども》の皆さまなどに触れてきました。少々自分本位で独特ではありますが、自由で快活で、とても好ましい皆さまですよ。あまり比べたくはありませんが、あなたはどうです?ずっとずっと昔の話をぐちぐちぐちぐち。己の祖だと敬って、理不尽を理不尽だと知りながら、悲劇の主人公に浸って悲観しながら全てを差し出して。馬鹿じゃないですか?ああ、馬鹿なんですね?」
「……ぐっ…」
最強生物人間説、再び。
「大体、《大戦》であれほどの被害が出たのも貴方方《七氏族》のせいですよ。『人間を解放しよう』?はー?誰が頼みました?ごく一部の馬鹿から頼まれたのでしょう?だってそれまで私たち人間は、多少の生贄を差し出そうがうまくやってきた。あなたたちは知らなかったんですね?生贄に選ばれることはこれ以上にない誉れで、生贄を出した一族は次の生贄が選ばれるまで大きな権力を与えられる。生贄だった私をあなたが横から掻っ攫ったのがそもそも契約違反で許されざる行為。それを見た《原種》が『これは使える』と思った。思わせてしまった。馬鹿ですよ、あなたは」
滅多撃ちである。千早を復活させる余力だけは残しといてくれよ深紅…。
「人間を娶る流行だって『か弱くて従順で自分の自存心を擽り続ける人間が可愛い』っていう理由でしょう?私から見れば非常に気持ち悪くて吐き気がしますね」
「「グウッ…!」」
あ。爺さんの情人まで被弾した。胸を押さえて涙目だ。
「さあ、再婚したければユキにきちんと最後の教育を施してください。父親として」
「……………は?さ…さい、こん…?」
「ええ、あなたとは一度死別しましたからね。私はいま自由ですよ?恋人だって居ますしね?」
「こっ…!?」
カッ!とピンク頭が目を見開いた。ああー…そこか。そこを今カミングアウトして正当化して、取引材料にしちゃうのか。怖えなあ人間。
「…………おとーさん……」
ピンク頭にホールドされてたままのユキがか細く言った。
「お父さんは……俺が、嫌い…?」
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