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最終話
しおりを挟む再生した《世界》は千年経った今も未完成のままだ。
あれから様々な種族が増えた。人型はデザインされなかったが、微生物や虫や鳥。獣にドラゴンまで。世界を渡った俺たちは《第一種》と呼ばれ、この《世界》で生まれた者たちは《第二種》。子供たちはこの広大な《世界》で爆発的に増えていった。
世界は広がり続けていく。
ルーカスのデザインをもとに、爺さまはどこまでも無限に広がるシステムを構築した。曰く、誰かが視認すると何もなかった空間が『ある』事になってどこまでも続く世界になる。ルーカスは「Minec●aftかよ!?」って叫んでたけど、なんだそのまいんくら●とって???世界をもっともっと広げるために、沢山の子供たちは『冒険』に旅立った。そのバックアップをする組織が『冒険者ギルド』らしい。冒険者の仕事は敵対生物の討伐などではなく、まさに『未知を冒険する者』なのだ。素晴らしい!俺も参加したい。そう言うと「若人の使命を取り上げてはいけないよ?」と父さんに諭されたけど。
俺たち兄弟はそれぞれの拠点を構え、中央都市が出来上がった。爺さまたちは相変わらず拠点を持たず、亜空と《世界》をウロウロしてるみたいだけど。
増えに増えた生き物たちは、時に争い、時に混ざり合い、多種多様な進化を遂げる。中央都市に居を構える俺たちに牙を剥いたこともあったが、《第一種》と《第二種》の間には越えられない壁があるらしい。だから俺たち《第一種》は基本《第二種》にはノータッチ。それなのに不公平だ、気に入らないと向かってくる姿はかつての人間たちを思い出す。元気があって大変よろしい。千早やヒナにもガス抜きが必要だしな。
世界は広がり続けていく。
爺さまは凛の要望通り、白い砂浜を作ってくれた。俺と凛は、目玉焼きサンドを持って桜貝探しというデートを楽しんだ。初デートだ。桜貝は色も形も申し分なく綺麗だったけれど、サイズ感がおかしかった。バスケットボールくらいある…。しかも中身がガッツリ入ってるからいくつかお土産として持って帰った。食ったら意外に美味かった。
ああ、いろんなことがあったなあ。
凛に出会って。恋をして。
あいつらに出会って。
踏み潰された桜貝とか。
異世界転移で凛を忘れちまった事とか。
領地にビルが建ってたとか。
『家族』が増えていって、毎日笑って過ごした。
助けてやったら侮られて裏切られたり。
まともなこと言う《勇者》を国ごと潰して、なけなしの良心がちくちくしたり。
誰かを喪って。いつのまにか帰ってきてたり。
作り続けても未だに上手く作れない目玉焼き。黄身が破れたり、焦げたり。なにかそういう呪いでもあるのかと疑うくらい上達しねえ。
「なあ凛」
「んんん?」
幸せそうに目玉焼きサンドに齧り付く凛。あー、可愛い。でも口の端にパン屑付いてんぞ?
「愛してるよ、凛」
「………っ!!??……!………!!」
目を白黒させながら、凛がやっとで口の中のものを飲み込んで。
蕩けるように笑った。
「……うんっ!うん、椿!僕も椿が大好き!!」
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