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【竜王国近衛視点】
しおりを挟むGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!
空気を割くような竜の咆哮が聞こえる。ああ…ここ最近はずっとこうだ。
《アアアアアアアアアAAAAAAAAAクモツ…供物ヲ寄越セ!ク、ク、クモ…クモ、ツ…ツツツツツグ、ア、アア……アアアアアアアアアアアアアアアア》
「へ…陛下!落ち着いて下さいませ陛下!!すぐ!すぐに代わりの供物をお持ちします!!陛下!!」
すでに後宮は半壊した。毎日のように起こる発作に修復が追いつかないのだ。ああ…もう、陛下は駄目だ。その強大な魔力故に身体中に毒素が回り、心身ともに異常を来たす。
番を持たぬ純血の竜は、晩年は凶暴性を増し、狂う。
私は先代陛下からそうお聞きしていた。だが先代は狂わなかった。ずっとずっと忘れられなかった想い人が生きていたのだ。擬似番、と言うそうだ。
番の存在は、心を癒し、体を繋げることで毒素を中和し合う。先代の想い人は竜ではなかったし、先代を愛していなかった。だが心だけは救われた。先代の最期は穏やかなものだった。
ーーー ……のに…。
《アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!アレダ、アレヲッ、連レテ来イッ!!ハスハナイロノッ、アノ…ッ……!!》
「陛下…!あれは……っ…あれ、は!あれは!死にました!もう居ないのです!!」
《アアアアアア!アアッ!グアアアアアアアアアアッ!ハアッ!ハ…!アレ、ハ……アノ…アニウエ、ノ……!!》
「…………先代の擬似番も…もう、おりません……」
私が5年もの間担当していた蓮花色の瞳の《供物》は一月程前に何者かに奪われた。共に連れて来た先代の擬似番も、先日の襲撃で連れ去られた。
この竜王国の後宮から堂々と《供物》を攫い、王宮地下深くの永久牢獄から奴隷を攫う。そんな所業が出来る者は多くはない。自分たちの失態を隠すために『死亡』としているが、あの村から連れて来た2人が同時期に攫われた。
言いようもない焦燥感の奥で、どこかほっとしている自分がいる。
もうこの国は長くはない。
あの蓮花色の瞳をした子供が、どこかで健やかに生きていると良いのだが……。
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