45 / 101
ぼんやりとお出かけの準備
しおりを挟む「……ス…、……ぅ…国の使者が正式に訪問するとの先触れがありました。また『村』の建設に城下の反応が有り、疑問と困惑、嫉妬と羨望、希望が入り混じっている状態と見ます。反スライグ竜王国組織からのメンバーの離脱は猛反発を受けましたが、こちらは羅刹が武力で制圧。暫くは放置しても問題がないでしょう。それからひと月前に制圧間際で放置したマピシエル聖教区ですが…………ユキ様?」
「……っ!?ふぇっ?」
「……………」
しまった、ぼーっとしてた…。
「ご…ごめん……俺から聞きたいって言ったのに…」
このバベルや俺を取り巻く状況を俺も知っておきたい。そう言って紅葉さんが千早に業務連絡するのを聞かせてもらってたのに…。
「紅葉、イカレ狂信者は泳がセろ。トカゲは放置。使者とかいうのは来たら殺セ」
「御意に」
「あと、……そうだな、ユキをあったかそうな格好にしろ。ああ…うん、紫苑がくレた白いコート。あれとか…」
「は。お出かけになりますか?」
「城下にいク」
えっ…。
「じょうか?」
「ああ、城下ダ。気晴らしになるぞ?」
「えっ…良いの?窓から見える街だよね?いいの?」
「行こウ。城下は通るだけで、買い食いすんのはちょっと移動してアヴァロンだ」
「あばろん?買い食い!」
「そう、買い食イ。クレープとかあるらしいぞ」
「クレープ!!行きたい!」
わあ。わあああ!わあああああい!!
悶々と考えてたのが嘘みたいにテンション上がる。
千早が俺と会った時の黒いコートを着てる間に、俺は紅葉さんにどんどん着せられていく。あれ?コートだけじゃないの?全身真っ白コーデにワンポイントで、コートの襟に青い雪の結晶みたいな……えっと、ブローチ?ラピルペンっていうんだっけ?高そう!でもきれい!千早の目の色みたいに深くて濃い青色だ。
「ふふふ…似合いますね。さすが彼の方の息子ですよ」
いつのまにか見に来てたお母さんがニコニコ笑ってた。なんか胸の奥がチクチクする。なんで?
「……深紅、お前と聖龍の子供だ。可愛いに決まっテんだろ」
「……………!」
あ。千早の言葉でわかった。……そっか。俺、寂しかったのか。お母さんはお母さんなのに、俺のこと聖龍っていうお父さんの子供だって言うだけで、自分の子供だって主張してくれなくて。お母さんなのにお母さんじゃないみたいな態度で。『普通』のお母さんってわかんないけど…。
「……えへ…えへへ!お母さん、俺、可愛い?似合う?お母さんに……似てる?」
「ユキ…」
優しくしてくれるし大事にしてくれる。でも寂しかった。お母さんは『人間』で、お父さんは『聖龍』だったから。だから俺に遠慮してたの?
お母さんはちょっと泣きそうな顔で笑う。
「そう……ですね、ユキは僕にそっくりですよ。遠慮なくガツガツ踏み込んでくる割にはチラチラこっち見てるのはあのひとそっくりですけどね」
100
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【完結】異世界から来た鬼っ子を育てたら、ガッチリ男前に育って食べられた(性的に)
てんつぶ
BL
ある日、僕の住んでいるユノスの森に子供が一人で泣いていた。
言葉の通じないこのちいさな子と始まった共同生活。力の弱い僕を助けてくれる優しい子供はどんどん大きく育ち―――
大柄な鬼っ子(男前)×育ての親(平凡)
20201216 ランキング1位&応援ありがとうごございました!
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる