【7人の魔王4】転生したら最弱の村人で、拉致監禁暴行のフルコンボからの略奪婚(物理)されました。

とうや

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【勇者視点】

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歌が聞こえる。『反魂ノ歌』だ。ゲームの中で、ユキちゃんが歌っていた。ああ、やっぱりここはゲームの世界なのだ。




「余所者が妙な動きをしている」


協力者である街の司祭にそう言われ、敵情視察にきた。正直、こんなに明るい時間に、こんなに魔王城のすぐそばになんて来たくなかった。ゲームでは『勇者』と選択した『仲間ユニット』がダンジョンに挑むんだが、ここはバグった世界だ。『絶対』なんてない。クエスト失敗イコール死だ。

《隠蔽》と《隠密》をフルに使い、仲間ユニットは『クノイチ』しか連れてこなかった。普通の人間じゃあ絶対に見えないような木の上から『余所者の集落』を《遠視》で見る。

奴らは何かしていた。

集落のほぼ中央に位置する開けた場所にを並べ、メモのような紙を置いていく。……『よぎ』?『まりぃ』?……人の名前…?だろうか。リーダーらしき男と親しげに喋っているのは ーーー ユキちゃん!?……いや、ユキちゃんにしては。姉か母親…といったところか。それにしてもよく似ている。

しばらくして、黒尽くめの男が抱えてきたのは ーーー ユキちゃん。ああ…!ああ!ああ!!本物だ…!本物の、リアルの、ユキちゃん…!!白い肌と桜色の髪。震えのくるような美貌。トロリと蕩けるような色香。

………待ってくれ。なんで?どうして、そんな幸せそうに笑っている?

ゲームで出会う『ユキ』は最初は無表情で、次第に『勇者おれ』に……俺だけに心を開き始めるんだ。このバグった世界のユキちゃんは、生まれ育った村を焼かれ、王宮から魔王に攫われ……不幸なはずなんだ!なのに、何故……


何故、その黒尽くめの男に、そんなに安心しきった顔で抱かれている!?


ああ、歌が聞こえる。『反魂ノ歌』だ。チリチリと。焼けるような空気と澄んだ歌声。空間が……歪む。だ。これは『神』の力じゃ…この世界の力じゃない。もっと禍々しく、暴力的で……世界を、壊す、よう、な………


ユキちゃんを背中から抱きしめる男が


バカな!?レベルMAXの《隠蔽》と《隠密》を使ってるんだぞ!?気付かれるはずが……!?


男が笑う。獰猛に。傲慢に。口の端を少しだけ持ち上げて。


「……っ…!!タクヤッ!にげ……っ…!!」


 ーーー ドン!!


激しい衝撃と、全身を襲う激痛。


ああ……


俺は気付く。













が……『魔王』…………か…。








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