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千早のお遊びとワンコのしっぽ
しおりを挟む「さあ頑張れよ勇者?そうだな…俺に擦り傷でも付けたら逃してやるよ」
「……っ!」
「ユキの全力サポートだ。何回でもリセットのきくゲームだと思えばいけるんじゃね?」
「……ゆ…由希………?」
「ええ~?…んー、うーん……うん。ケガしても治すよ?安心して」
1時間だけね?
「由希…っ!そう…そう、だな!俺は…俺は勝って、お前を連れて行く!」
えっ?行かないよ?
「待っていてくれ由希!俺は…俺は、勝ってお前をこの腕に抱……!」
ドッ…グシャ!
あっ。潰れた…。
千早の長い足からの踵落としが決まった。そりゃもうキレイにクリーンヒット。頭から肩口まで拓哉が潰れちゃった。
はい、蘇生。
「グォ…がっ、アアアアアアアアァァァァァアアアアアアアア!!!」
すっごい叫びながら拓哉が超高速蘇生した。痛いだろうなあ…。あ、でもワンコだって半日くらいがんばったもんね?人間の勇者サマが頑張れないわけないよねー?……あれ?結界の外のワンコが尻尾をお股に挟んで震えてる。なんで?
「ほら勇者、休んでんじゃねえ。次行くぜー?」
「…クッ……ガアッ!」
千早の蹴りを拓哉が大きな剣で受け止める。パキン、て割れた。ええ~…あれって『聖剣』とかいうやつじゃないの!?そのまま千早の足は聖剣(の残骸)を踏み付けて拳を振りかぶる。魔王って魔法で攻撃すると思ってたけど、千早は足で蹴るか拳で殴るかなんだね…。
ドッ!
……あ。心臓に穴空いた…。ほい、蘇生。
「ガハッ!が、ぁ、あ、あああアアアアアアアア!!!」
うう…うるさい。鼓膜にビンビンくるー!
「ねえ千早?これって治癒じゃなくって蘇生オンリーだよね?」
「ああ、そうだった!つい癖で即死させてたけどレパートリーは必要だよな?」
グシャッ
「っっ~~!!!アアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
千早が拓哉の左肩を握って潰す。よいしょっ、治癒。
「ギャアアアアアアアア!!!」
「早い早い、ユキ」
「ええ~…」
「死にかけたら《全回復》だ」
「むう…むずかしいねぇ」
千早がインベントリから真っ黒な日本刀みたいなのを取り出して足元に放る。
「拾え、勇者。それなら折れない。《ふるきものども》の攻撃さえ防ぐ名刀だぞ?終わるまで正気だったらくれてやる」
「はっ…ヒッ……ひ………!」
「ほら立てよ、略奪者。遊ぼうぜ?」
**********************************************
真っ黒な日本刀は奈落の使っていた刀と同じシリーズのものです(*´ω`*)
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