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領地編2
家事妖精シルキー
しおりを挟む王都へ新年会に呼ばれた。今回は転移門があるので日数も余裕だ。
騎士たちには鎧と一緒に身につけられるサーコート、ティグレにはロングコート風執事服を用意した。共に『プレンダーガストブルー』とか言われる、深い深い蒼い色合だ。この青を出すために、魔獣の血から作る希少染料で5回染めるとか聞いた時には眩暈がした。お察しの通りびっくりお値段。まあ使い捨てではないしっかりした布地だし良いと思う。染め直しもしてくれるらしいし。長い目で見たらお得ですよ!と売り込んできたのは元マグレーディ民の青年商人。
良いんだ……元侯爵令嬢のリサが喜んでいたから良いものなんだろうし。「リリアーナ様の瞳の色…」とか言って、お仕着せを抱きしめながら泣いてしまったのは慌てたけど。いまだにリサと母の関係が聞けてないんだよなあ。学生時代から友人だった?とか匂わせることは聞いたけど、リサは侯爵令嬢だったんだろ?その頃うちは伯爵家だったし、何がどうなって格下爵位の家の侍女になったのかねぇ?
母といえば、取り壊されたプレンダーガスト邸から日記……というか、なんか呪いの書のような走り書きが見つかった。最後の日付あたりはもう狂っていたのかも知れないが、母は父親に捨てられたのを悲観して首を吊ったのではないことがわかった。解離性同一性障害、またはなにかに精神を乗っ取られていたのか。深読みすれば、もしかして『リオ』は『東郷晶』の意識がなければ………ああ、やめておこう。まだ確定じゃないし、知ったところで俺がやることは何も変わらない。
さて、王都に到着してプレンダーガスト侯爵邸王都屋敷に行ってみると、ポチタマが出迎えた。そして玄関ホールに何故か一人の女性が薄灰色の古めかしいドレスを纏い……何故だろう、その顔は『美しい』とは思うがどうしても個性がないというか、印象に残らない。
「家事妖精シルキーだニャ!」
「……は?」
「この間、いっぱいおうちが壊れたから運良く野良シルキーがいたニャー!前のお家はたくさん使用人が居たからやりがいがニャかったらしいのニャー!」
どうやらこの灰色の使用人は家事好きの妖の類のようだ。座敷童子のようなモンか。
「俺は王都には余り来ないんだが、いいのか?」
「……………」
こくり。と薄らぼんやりしたシルキーとやらが言葉なく頷いた。まあいずれ管理人を雇わないといけないと思っていた。だってティグレの負担が大きすぎる。でもさあ、王都の人間ってどうも信用し切れないっつーかさあ?だったら妖でもいいか。イマイチだったらちょっと配置換えするかもだけどさぁ。
結果、シルキーに来てもらって大正解だった。掃除くらいしてくれたら……と軽い気持ちだったのだが、朝起きたら騎士たちの飯とかテーブルに出てるらしいし、鎧もピカピカ。青いサーコートは洗剤の花の香りがしたらしい。マジかよ!?俺とティグレの朝食は無かったぞ!
「あ、あのね……リオの分は俺が作りたいってお願いしたんだ」
はにかみ可愛いかよチクショウ…!でもさあ、ティグレ少年や?君、侍従だよね?執事見習い、侍従ときて、次は料理人でも目指すつもりなのかい?
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