【完結】リオ・プレンダーガストはラスボスである

とうや

文字の大きさ
71 / 160
領地編2

家事妖精シルキー

しおりを挟む


王都へ新年会に呼ばれた。今回は転移門があるので日数も余裕だ。

騎士たちには鎧と一緒に身につけられるサーコート、ティグレにはロングコート風執事服を用意した。共に『プレンダーガストブルー』とか言われる、深い深い蒼い色合だ。この青を出すために、魔獣の血から作る希少染料で5回染めるとか聞いた時には眩暈がした。お察しの通りびっくりお値段。まあ使い捨てではないしっかりした布地だし良いと思う。染め直しもしてくれるらしいし。長い目で見たらお得ですよ!と売り込んできたのは元マグレーディ民の青年商人。

良いんだ……元侯爵令嬢のリサが喜んでいたから良いものなんだろうし。「リリアーナ様の瞳の色…」とか言って、お仕着せを抱きしめながら泣いてしまったのは慌てたけど。いまだにリサと母の関係が聞けてないんだよなあ。学生時代から友人だった?とか匂わせることは聞いたけど、リサは侯爵令嬢だったんだろ?その頃うちは伯爵家だったし、何がどうなって格下爵位の家プレンダーガストの侍女になったのかねぇ?

母といえば、取り壊されたプレンダーガスト邸から日記……というか、なんか呪いの書のような走り書きが見つかった。最後の日付あたりはもう狂っていたのかも知れないが、母は父親クズに捨てられたのを悲観して首を吊ったのではないことがわかった。解離性同一性障害、またはのか。深読みすれば、もしかして『リオ』は『東郷晶おれ』の意識がなければ………ああ、やめておこう。まだ確定じゃないし、知ったところで俺がやることは何も変わらない。

さて、王都に到着してプレンダーガスト侯爵邸王都屋敷に行ってみると、ポチタマが出迎えた。そして玄関ホールに何故か一人の女性が薄灰色の古めかしいドレスを纏い……何故だろう、その顔は『美しい』とは思うがどうしても個性がないというか、印象に残らない。


「家事妖精シルキーだニャ!」

「……は?」

「この間、いっぱいおうちが壊れたから運良く野良シルキーがいたニャー!前のお家はたくさん使用人が居たからやりがいがニャかったらしいのニャー!」


どうやらこの灰色の使用人は家事好きのあやかしの類のようだ。座敷童子のようなモンか。


「俺は王都には余り来ないんだが、いいのか?」

「……………」


こくり。と薄らぼんやりしたシルキーとやらが言葉なく頷いた。まあいずれ管理人を雇わないといけないと思っていた。だってティグレの負担が大きすぎる。でもさあ、王都とかいの人間ってどうも信用し切れないっつーかさあ?だったら妖でもいいか。イマイチだったらちょっと配置換えするかもだけどさぁ。

結果、シルキーに来てもらって大正解だった。掃除くらいしてくれたら……と軽い気持ちだったのだが、朝起きたら騎士たちの飯とかテーブルに出てるらしいし、鎧もピカピカ。青いサーコートは洗剤の花の香りがしたらしい。マジかよ!?俺とティグレの朝食は無かったぞ!


「あ、あのね……リオの分は俺が作りたいってお願いしたんだ」


はにかみ可愛いかよチクショウ…!でもさあ、ティグレ少年や?君、侍従だよね?執事見習い、侍従ときて、次は料理人でも目指すつもりなのかい?



しおりを挟む
感想 76

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された悪役令息は隣国の王子に持ち帰りされる

kouta
BL
婚約破棄された直後に前世の記憶を思い出したノア。 かつて遊んだことがある乙女ゲームの世界に転生したと察した彼は「あ、そういえば俺この後逆上して主人公に斬りかかった挙句にボコされて処刑されるんだったわ」と自分の運命を思い出す。 そしてメンタルがアラフォーとなった彼には最早婚約者は顔が良いだけの二股クズにしか見えず、あっさりと婚約破棄を快諾する。 「まぁ言うてこの年で婚約破棄されたとなると独身確定か……いっそのこと出家して、転生者らしくギルドなんか登録しちゃって俺TUEEE!でもやってみっか!」とポジティブに自分の身の振り方を考えていたノアだったが、それまでまるで接点のなかったキラキライケメンがグイグイ攻めてきて……「あれ? もしかして俺口説かれてます?」 おまけに婚約破棄したはずの二股男もなんかやたらと絡んでくるんですが……俺の冒険者ライフはいつ始まるんですか??(※始まりません)

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...