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【妹視点】「おしめ替えてくれた人と恋愛とか絶対無理!」
私、シャーロットは異世界転生者だ。しかもこの世界は『海の聲が聞こえる』とかいうどこかで見たタイトルの女性向けスマホゲームだった。
シャーロットという少女が海で遭難した王子を助け、男爵家の養女になって聖女認定されて学園でスクールラブに勤しむというサクセスストーリーだ。んなわけあるかい。シンデレラも真っ青ご都合ストーリーじゃないの。
攻略対象は5人。シークレット1人。その全員に婚約者がいるっていうのに、あざといというよりはわざとらしいシャーロット・ハルフォードはそれぞれの婚約者から攻略対象を略奪する。ルートによっては全員と体の関係を持つ清楚系ビッチ。クソだ。マジクソ。こういうのがビッチクソって言うんだよ。一体何人の人生ぶち壊してんだよ。
それって私だけどね!?
いやあああああ!!マジ嫌なんですけど!?私そんなクズになりたくない!!しかもシークレット攻略対象ってお兄ちゃんなんだよ?お兄ちゃんと私は確かに血は繋がってないよ!?だって私ママの連れ子だもん!でもね!お兄ちゃんはお兄ちゃんなのよ!お兄ちゃんと恋愛なんてヤダヤダヤダ絶対ヤダアアアアアアアア!!!
そう転げ回ったのが生後6ヶ月のあの日。おしめかな?とか言って、えらく美少年だったお兄ちゃんにデリケートゾーンを見られました。おしめ替えてくれた人と恋愛とか絶対無理!
私は頑張った。ビッチクソクズ女にならないように。
まず教会に足繁く通わない。だって神様に気に入られちゃうんだもん。ハルフォード男爵とエンカウントしちゃうんだもん。ヤダヤダ冗談じゃない。
教会では女の子たちが縫い物とか刺繍とか習うんだけど、私はパパとお兄ちゃんにくっついていって船に乗った。当時8歳。ママが悲鳴をあげてたけど、私は海にも愛されたらしく、私が船に乗るとそこだけ魚群が群れまくったらしい。パパを含む漁師のおっちゃんたちと漁業組合の組合長に頭を下げられて、ママは泣く泣く諦めた。
真っ白な肌は小麦色に。裁縫も刺繍もできない女になるだろうけど、食卓はいつも高級海鮮が並んでいて余は満足じゃ。裁縫なんかできなくったって、こんだけ海に愛されてりゃあ嫁の貰い手なんか選び放題だ!漁師のおっちゃんたちが笑う。
船に乗り始めて1年。運命のイベントがやってくる。王太子エンカウントイベントが。
『贄の儀式』とかいう海の魔女様に生贄を捧げる儀式がある。ゲームではこの国の国王の歳の離れた弟が贄として投げ入れられ、うっかり一緒に来てた第一王子が「にいさまー!」とか言いながら甲板から身を乗り出して溺れるんだ。
……うん?当然無視したよ?
最低だけどごめん。私がヒロインになった方がたくさんの死者が出るのよ。だから尊い犠牲になってね。私がナームーと手を合わせた先で、事もあろうにお兄ちゃんが飛び込んだ。
ちょ…!!??
やめてやめてやめてやめて!!お兄ちゃんなにやってんのよ!?王子が死んだって嬉しくも悲しくもないけど、お兄ちゃんが死ぬのは絶対イヤ!!!
ギャン泣きした私が手を伸ばした先で、お兄ちゃんが海に飲まれて消えていく。
イヤだよ!!お兄ちゃん!!!
その時だ。真っ白な光が世界を包んで、時が止まった。
荒れ狂う波も飛沫も、全てが止まった。
光に包まれたなにかが、ふわりと宙に浮いていた。
「…………あおい、ちゃん…?」
それが、異世界転生した私と、異世界転移したあおいちゃんの再会だった。
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