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【妹視点】「もしかして、ひなこちゃん?」
しおりを挟むお兄ちゃんを助けてくれた翌晩。みんなが寝静まった頃にあおいちゃんはこっそりやってきた。
「もしかして、ひなこちゃん?」……と。
ああ!やっぱりあおいちゃんだった!!
あおいちゃんは前世でお隣に住んでた9歳下の男の子だった、すごくキレイな子で、父子家庭だったからショッピングバッグとかよく持ってたイメージ。あんまりおしゃべりしない子だったけど礼儀正しいし笑顔はめちゃくちゃ可愛いし、近所のおばちゃんたちにも大人気だった。
あおいちゃんはよく歌ってた。死んじゃったお母さんの代わりにお料理して、お茶碗洗って、お掃除して、お洗濯して。多分誰にも聞かれてないと思ってたんだろうけど、近所のみんなはうっとり聞いてた。
綺麗な声。綺麗な歌。流行りの曲とかじゃなくて、ゆったりした童謡とか外国の歌とか。
友達とケンカした時、受験で辛かった時、就職して上司に叱られた時。あおいちゃんの歌は心があったかくなるような歌だった。
それなのに、あおいちゃんの歌がぱったり聞こえなくなって。
ショッピングバッグ持ったあおいちゃんを見なくなって。
お隣の郵便受けに新聞が溜まりはじめて。
おかしいんじゃない?ってママも言い出して。
どこからかすごく臭い臭いがしだして。
パトカーが、隣んちにいっぱい来た。
隣のおじさんが死んでたって………
あおいちゃんは、床に零れたたくさんの血だけ残して居なくなってしまった。
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