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サンドメール河
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にゅくくっ、にゅぷ、ぬぷぷぅっ!
『アヒッ!』
『ケ、ケイ? ど、どうしたの?』
「いや霧穴が気持ちよすぎて……ちょっと締め付け抑えてくれる?」
『ご、ごめん。ケイが喜んでくれるかな、と思ったら嬉しかったから』
えへへ、とテヘペロでもしてそうなサンドリアの声。サンドリ穴も『ごめんね♡ごめんね♡』とゆるふわ謝り嬉しめ付けで謝意を伝えてきた。この名器め。こちとら射意がマックスだというのに。
「じゃあこれから……プテュエラがご飯食べ終わったらそっちに行くよ」
「う、うん。お願い。あとね、トリスさんなんだか具合が悪いみたい。水辺からあんまり離れられないんだって」
む。具合が悪いのか。魔素中毒か? 浄火してあげる必要があるな。
水に関連した亜人なのだろうか。うーん、やっぱり人魚とか?
「わかった。じゃあサンドリアはしばらくトリスさんの側にいてあげてくれる?」
「う、うん。わかった」
亜人通信を終わらせ、今起きたことを二人に伝える。
「サンドメール河にいたとは。……そう言えばあの人は水棲系の亜人でしたね。すっかり忘れていました」
「くっ、もう少し捜索範囲を広げていれば私が見つけられていたのに」
悔しそうなプテュエラ。もしかして誰が早く見つけられるか競争してたのかな?
そうこうしている内に、マスグーフが焼き上がった。ほんとはじっくり食べる予定だったけど、急遽予定ができてしまったので急ぎながら食べる。
超巨大な鯵の開きみたいな見た目だ。
あと巨大なだけあって、骨がヤバい。背骨は言うまでもないが小骨が小骨じゃない。一つ一つが割り箸くらいある。吸血鬼の心臓に突き立てられそうなサイズだ。でもその他はぷるっぷるほわっほわの白身だ。小骨以外小骨じゃないの。
「骨邪魔だから取っちゃおうか。中骨は……外すと崩れそうだし、見えてる小骨だけでも取りたいな。プテュエラいける?」
「問題ない。我が精緻なる魔力操作をみるがいい」
実は羽痩せするタイプのプっぱいをぷりりん、と張ってドヤる。そして翼をはためかせるとマスグーフの中からぴゅんしゅんと小骨が飛び出した。うおっ、飛んでった小骨が地面や木に刺さってる。これもうそういう技じゃん。時止めて使うやつじゃん。エジプト辺りで。
「プテュエラ、さすがだね。ありがとう」
「ふっ、我が殲風魔法に死角無し」
くぴぴーん、と軍帽を傾けてニヤリ。だめだモード入ったかもしれない。さっさと食べていつものプテュエラに戻ってもらおう。
「ふわっふわの身質だね」
「ふむ……シンプルな調理方法でしたがどうなるんでしょうか」
「くんくん……い、良い匂いだな。ケイ、早く食べよう!」
プテュエラが待ち切れない、と言わんばかりに翼をバサバサ、鉤爪をフミフミしている。
「そうだね。じゃ、頂きます」
マイ箸でつまむとほろりと崩れる。水っぽくなくジューシーな見た目だ。
口に放り込む。
カリッ、ハムッ!
じゅわぁ~っ。
「おいおい美味すぎるでしょ、これ」
「……調理方法を工夫するだけでこんなにも変わるのですね」
「うおおおおおっ、カリカリふわふわ、じゅんじゅわだっ!」
高火力かつ遠火でじっくり焼き上げたギンヌンガカープのマスグーフは、ひっじょーっに美味だった。
シュレアの言う通り、焼き方一つでこんなに美味しくなるとは思わなかったよ。
外は皮がパリパリで、中にはジューシーな脂をたっぷり蓄えた白身がぎゅっちり詰まってる。ほろほろなのに弾力があって、うまみが弾ける。
血抜きしていないので臭みが心配だったが、そんなものは一切ない。ほんとにパクパクいける。
「いやー、これいくらでもいけるね」
「ケイ、これは他に味付けはないのですか?」
「あるみたいだよ。本場ではトマト塗ったりレモン搾ったり、ハーブと一緒に焼いたりするみたいだ」
「ふむ。ぜひ試してみたいですね」
「だな。素のままでこれだけうまいんだ。味付けしたらもっとうまくなるぞ」
「ええ。楽しみです。プテュエラ、また見かけたら採ってきてください」
「はは。もちろんだ。でもシュレア。ハーブといってもお前のハーブを塗ったりするんじゃないぞ?」
「む、蒸し返さないでください。ケイ以外にそんなことしません」
「ケイにもするな、と言いたいところだが……」
「僕はシュレアのすべてを受け入れる。エブリシングウェルカム、オールウェイズ、テンダーラビングシュレア」
「うむ。これくらい頭がおかしくなければ亜人の契約者など務まらないのかもしれんな」
「……まあ、ケイの包容力だけは嫌いではありません」
せっかく言動不一致お姉さんが、僕の顔をお食べ《BKO》してくれるんだから、乗らないほうが失礼だよ。ジオス神よ、今日もまた一つ新たな性癖と仲良くなれたと思います。どうぞ今後も見守っていてください。
あっという間にマスグーフを平らげてしまいそうだったんだけど、
「長老トリスはお腹を空かせているかもしれません」
というシュレアの提言により、半身を残した。僕とシュレアは味見程度だったので、ほとんどはプテュエラの胃に収まり、彼女も美味しいものをたらふく食べたので元気ハツラツだ。
てかトリスさんって長老なんだよね。亜人の長老ってどんな感じなんだろう……。ふつーにおばはんか? さすがにそれは……ないよね? でも妙齢のお姉様の可能性は大いにあり得る。
プテュエラは飛んでいくので「一緒に行くか?」と聞かれたが、シュレアが「シュレアの樹渡りのほうが速いです」と食い気味にインターセプトしてきたので、そっちで赴くことになった。プテュエラは苦笑していた。
「……ケイ、ありがとうございます」
一緒に入った狭い樹木の中で、彼女は僕をその腕に抱え耳元で囁く。
「何がだい?」
「なんでもありません」
濃密な樹木とシュレアの匂い。まるで彼女体内にいるみたいだ。
「……早く子供が欲しいものです」
「ど、どうしたの急に?」
きゅううう、と後ろから僕の首元に顔を埋め熱い息が直接かかる。
「そしたら、子供と一緒にたくさんケイに『大嫌い』と言えますから」
……シュレアとシュレアキッズに『パパ、臭いです』『パパくさーい』『パパ、キモいです』『パパきもーい』『パパ、大嫌いです』『パパだいきらーい』と言われる日々か。ふつーのお父さんなら血を吐いて倒れるな。
「その日はそんなに遠くないと言っておこうか」
「ふ、楽しみににしてますよ」
後ろからパパ棒を両手で握られ、よしよしされたので、しばらく勃起してしまう。
「……まったく、仕方ないですね」
そう言ってシュレアは僕の前に回り込み、脚を広げレースの下着をずらし、僕を迎え入れてくれた。にゅくにゅくの密着密林空間は熱く湿っていて、続けざまに三回出したところで、終わりにした。その後は挿入したまま、くちゅくちゅとしばらく接吻し続け、「……そろそろ行きますか」とシュレアが気まずそうに咳払いした辺りで樹渡りした。
「む、遅かったな二人とも。樹渡りの方が速いんじゃないのか……くんくん……おい」
「申し訳ありません、プテュエラ。繁りました」
プテュエラが何か言う前にシュレアが先に謝った。
「……まあ別に構わないさ。私も今ついたところだからな。気持ちよかったか?」
「はい。とても濃いのを三回出してもらいました。孕むのもそう遠くないかもしれません。まだお腹が熱いです」
「ふむ。なら喜ばしいことだな。ケイ、そろそろ私の番だからな」
「うん、分かってるよ」
プテュエラは本能的でアホっぽいところもあるけと、ちゃんと弁えているし理性的な性格だからね。だからこそ、たまには彼女を思いっきり甘やかしてあげないといけない。
「ならいいんだ。さて、サンドリアはこの近くだと思うが……」
プテュエラが辺りを見渡す。今気づいたけど、河の流れるような音が聴こえるな。
「あ、ケイにプティ姉、シュレ姉、こ、こっちだよ」
すると樹木の間からサンドリアがひょっこり顔を出した。気弱な三白眼をへにょっと曲げて、ふわふわと飛びながら嬉しそうに近づいてくる。
「あれ、サンドリアってプテュエラたちをそんなふうに呼んでたっけ?」
「う、ううん。さ、最近こう呼び始めたの。え、えっと、みんなあたしより、お姉さんだし、その、みんな頼りになるし、その、ほんとにお姉さんみたいだから……」
もじもじとはにかむサンドリアをプテュエラとシュレアが撫でる。
「サンドリアがそうやって慕ってくれるのはとても嬉しいぞ」
「いつでもシュレア頼っていいです。お姉さんに任せなさい」
プテュエラは慣れた感じで笑っているが、シュレアはなんか張り切ってる感じだ。
「え、えへへ。姉さんがたくさんいて、あたし、幸せだなあ」
ふにゃ、と笑うサンドリア。うーん、尊い。
「それで、トリスさんはどこにいるの?」
「あ、あっちだよ。大きな河があって、その中で蹲るように休んでたの。ま、周りの景色と同化してたから、魔獣にも気づかれてなかった」
へぇー、ステルス機能があるのか?
ふーむ。河でステルス機能……なんだろう?
「サンドリアはよく見つけられたね?」
「あ、あたしの霧も一応水とは親和性があるから。河の水分を利用して、霧を発生させれば、すごーく広い探知もできるんだよ?」
「ああ、なるほどね。千霧魔法はすごいなあ」
「え、えへへ。そうだよ、すごいんだよ……じゃあ、先導するね。あ、シュレ姉はあたしが抱っこするよ」
「む、シュレアはお姉さんだから一人で歩けますが」
「シュレア、妹分の顔を立たせるのも姉の役目だぞ」
「……分かりました。お願いします、サンドリア」
「う、うん。任せて。よいしょっ」
なんかめっちゃ微笑ましいシーンを見れたな……。
サンドリアはその細腕からは信じられないパワーを発揮し、シュレアを後ろから抱えるように持ち上げる。そのまま霧雲に乗って、ふよふよと移動し始めた。彼女の本体は巨大百足怪獣だからね。見た目よりパワーあるのは当然だろう。
ふよふよサンドリアとざわざわシュレアが他愛もない話をしているのを聴きながら、プテュエラの羽を鞄から取り出した櫛で梳く。気持ちよさそうに目を細める彼女を見て満足する僕。
五分程歩いただろうか。それは急に現れた。
「いやデッッッッカ」
鬱蒼とした密林を抜けたその先、目の前に広がっていたのは、まるで大地を割って流れる清竜だった。
「うわ……すご……」
思わず漏れた声が、自然と掻き消えるほどの音が、辺りに満ちていた。
ごぉおおおおお……
深く、どこか喉鳴りを思わせるような低音。
それがひたすらに、終わりなく続いている。
水面はただ広く、そして重々しく蠢いていた。澄んではいない。だが濁っているとも違う。生命の層が何層にも折り重なった、そんな荘厳な深さがあった。
「これが……サンドメール河……?」
思わず呟く。
すると、シュレアが隣で言った。
「はい。絶死の森に古くから流れる大河です。この数十年は魔素によって汚染され、毒々しい色になっていましたが……これは素晴らしい変化ですね」
シュレアはとても嬉しそうに枝角をぴからせていた。
両岸は遠く霞み、視界の限界に消えている。森の生き物たちの気配すら薄れ、ただこの河がすべてを呑みこんでいた。
その時、遠くの川面で何かが跳ねた。
「……あれは?」
「大きなヒレが見えたので、バルギュロスかもしれませんね」
ごぉおおおお……ざうぅぅ……ぼぅん、ぼぅん……
大河が囁くように、僕たちの耳を満たし続けていた。
「それで、トリスさんはどこに?」
辺りを見回してもそれらしき人影は見えない。
「あ、そこにいるよ。今、ケイのことを観察してたみたい。トリスさん、こ、この人がケイだよ。あ、あたしに種くれる人」
サンドリアのぶっちゃけた紹介のあと、彼女の後方でその異形の姿が徐々に明らかになる。
……そ、そうきたかぁ。
「……んぁ~、ご紹介ありがとなぁ~。で、あんたがタネズ・ケイかぁ。手前っちがトリスカイデイカだぜぃ。よろしくなぁ~」
妙に老成した、くたびれた感のある中年ロリ……。
くすんだ金髪を可愛らしく束ねてあくびするその姿は……黄金の体躯を持つ十三脚の蛸だった。
『アヒッ!』
『ケ、ケイ? ど、どうしたの?』
「いや霧穴が気持ちよすぎて……ちょっと締め付け抑えてくれる?」
『ご、ごめん。ケイが喜んでくれるかな、と思ったら嬉しかったから』
えへへ、とテヘペロでもしてそうなサンドリアの声。サンドリ穴も『ごめんね♡ごめんね♡』とゆるふわ謝り嬉しめ付けで謝意を伝えてきた。この名器め。こちとら射意がマックスだというのに。
「じゃあこれから……プテュエラがご飯食べ終わったらそっちに行くよ」
「う、うん。お願い。あとね、トリスさんなんだか具合が悪いみたい。水辺からあんまり離れられないんだって」
む。具合が悪いのか。魔素中毒か? 浄火してあげる必要があるな。
水に関連した亜人なのだろうか。うーん、やっぱり人魚とか?
「わかった。じゃあサンドリアはしばらくトリスさんの側にいてあげてくれる?」
「う、うん。わかった」
亜人通信を終わらせ、今起きたことを二人に伝える。
「サンドメール河にいたとは。……そう言えばあの人は水棲系の亜人でしたね。すっかり忘れていました」
「くっ、もう少し捜索範囲を広げていれば私が見つけられていたのに」
悔しそうなプテュエラ。もしかして誰が早く見つけられるか競争してたのかな?
そうこうしている内に、マスグーフが焼き上がった。ほんとはじっくり食べる予定だったけど、急遽予定ができてしまったので急ぎながら食べる。
超巨大な鯵の開きみたいな見た目だ。
あと巨大なだけあって、骨がヤバい。背骨は言うまでもないが小骨が小骨じゃない。一つ一つが割り箸くらいある。吸血鬼の心臓に突き立てられそうなサイズだ。でもその他はぷるっぷるほわっほわの白身だ。小骨以外小骨じゃないの。
「骨邪魔だから取っちゃおうか。中骨は……外すと崩れそうだし、見えてる小骨だけでも取りたいな。プテュエラいける?」
「問題ない。我が精緻なる魔力操作をみるがいい」
実は羽痩せするタイプのプっぱいをぷりりん、と張ってドヤる。そして翼をはためかせるとマスグーフの中からぴゅんしゅんと小骨が飛び出した。うおっ、飛んでった小骨が地面や木に刺さってる。これもうそういう技じゃん。時止めて使うやつじゃん。エジプト辺りで。
「プテュエラ、さすがだね。ありがとう」
「ふっ、我が殲風魔法に死角無し」
くぴぴーん、と軍帽を傾けてニヤリ。だめだモード入ったかもしれない。さっさと食べていつものプテュエラに戻ってもらおう。
「ふわっふわの身質だね」
「ふむ……シンプルな調理方法でしたがどうなるんでしょうか」
「くんくん……い、良い匂いだな。ケイ、早く食べよう!」
プテュエラが待ち切れない、と言わんばかりに翼をバサバサ、鉤爪をフミフミしている。
「そうだね。じゃ、頂きます」
マイ箸でつまむとほろりと崩れる。水っぽくなくジューシーな見た目だ。
口に放り込む。
カリッ、ハムッ!
じゅわぁ~っ。
「おいおい美味すぎるでしょ、これ」
「……調理方法を工夫するだけでこんなにも変わるのですね」
「うおおおおおっ、カリカリふわふわ、じゅんじゅわだっ!」
高火力かつ遠火でじっくり焼き上げたギンヌンガカープのマスグーフは、ひっじょーっに美味だった。
シュレアの言う通り、焼き方一つでこんなに美味しくなるとは思わなかったよ。
外は皮がパリパリで、中にはジューシーな脂をたっぷり蓄えた白身がぎゅっちり詰まってる。ほろほろなのに弾力があって、うまみが弾ける。
血抜きしていないので臭みが心配だったが、そんなものは一切ない。ほんとにパクパクいける。
「いやー、これいくらでもいけるね」
「ケイ、これは他に味付けはないのですか?」
「あるみたいだよ。本場ではトマト塗ったりレモン搾ったり、ハーブと一緒に焼いたりするみたいだ」
「ふむ。ぜひ試してみたいですね」
「だな。素のままでこれだけうまいんだ。味付けしたらもっとうまくなるぞ」
「ええ。楽しみです。プテュエラ、また見かけたら採ってきてください」
「はは。もちろんだ。でもシュレア。ハーブといってもお前のハーブを塗ったりするんじゃないぞ?」
「む、蒸し返さないでください。ケイ以外にそんなことしません」
「ケイにもするな、と言いたいところだが……」
「僕はシュレアのすべてを受け入れる。エブリシングウェルカム、オールウェイズ、テンダーラビングシュレア」
「うむ。これくらい頭がおかしくなければ亜人の契約者など務まらないのかもしれんな」
「……まあ、ケイの包容力だけは嫌いではありません」
せっかく言動不一致お姉さんが、僕の顔をお食べ《BKO》してくれるんだから、乗らないほうが失礼だよ。ジオス神よ、今日もまた一つ新たな性癖と仲良くなれたと思います。どうぞ今後も見守っていてください。
あっという間にマスグーフを平らげてしまいそうだったんだけど、
「長老トリスはお腹を空かせているかもしれません」
というシュレアの提言により、半身を残した。僕とシュレアは味見程度だったので、ほとんどはプテュエラの胃に収まり、彼女も美味しいものをたらふく食べたので元気ハツラツだ。
てかトリスさんって長老なんだよね。亜人の長老ってどんな感じなんだろう……。ふつーにおばはんか? さすがにそれは……ないよね? でも妙齢のお姉様の可能性は大いにあり得る。
プテュエラは飛んでいくので「一緒に行くか?」と聞かれたが、シュレアが「シュレアの樹渡りのほうが速いです」と食い気味にインターセプトしてきたので、そっちで赴くことになった。プテュエラは苦笑していた。
「……ケイ、ありがとうございます」
一緒に入った狭い樹木の中で、彼女は僕をその腕に抱え耳元で囁く。
「何がだい?」
「なんでもありません」
濃密な樹木とシュレアの匂い。まるで彼女体内にいるみたいだ。
「……早く子供が欲しいものです」
「ど、どうしたの急に?」
きゅううう、と後ろから僕の首元に顔を埋め熱い息が直接かかる。
「そしたら、子供と一緒にたくさんケイに『大嫌い』と言えますから」
……シュレアとシュレアキッズに『パパ、臭いです』『パパくさーい』『パパ、キモいです』『パパきもーい』『パパ、大嫌いです』『パパだいきらーい』と言われる日々か。ふつーのお父さんなら血を吐いて倒れるな。
「その日はそんなに遠くないと言っておこうか」
「ふ、楽しみににしてますよ」
後ろからパパ棒を両手で握られ、よしよしされたので、しばらく勃起してしまう。
「……まったく、仕方ないですね」
そう言ってシュレアは僕の前に回り込み、脚を広げレースの下着をずらし、僕を迎え入れてくれた。にゅくにゅくの密着密林空間は熱く湿っていて、続けざまに三回出したところで、終わりにした。その後は挿入したまま、くちゅくちゅとしばらく接吻し続け、「……そろそろ行きますか」とシュレアが気まずそうに咳払いした辺りで樹渡りした。
「む、遅かったな二人とも。樹渡りの方が速いんじゃないのか……くんくん……おい」
「申し訳ありません、プテュエラ。繁りました」
プテュエラが何か言う前にシュレアが先に謝った。
「……まあ別に構わないさ。私も今ついたところだからな。気持ちよかったか?」
「はい。とても濃いのを三回出してもらいました。孕むのもそう遠くないかもしれません。まだお腹が熱いです」
「ふむ。なら喜ばしいことだな。ケイ、そろそろ私の番だからな」
「うん、分かってるよ」
プテュエラは本能的でアホっぽいところもあるけと、ちゃんと弁えているし理性的な性格だからね。だからこそ、たまには彼女を思いっきり甘やかしてあげないといけない。
「ならいいんだ。さて、サンドリアはこの近くだと思うが……」
プテュエラが辺りを見渡す。今気づいたけど、河の流れるような音が聴こえるな。
「あ、ケイにプティ姉、シュレ姉、こ、こっちだよ」
すると樹木の間からサンドリアがひょっこり顔を出した。気弱な三白眼をへにょっと曲げて、ふわふわと飛びながら嬉しそうに近づいてくる。
「あれ、サンドリアってプテュエラたちをそんなふうに呼んでたっけ?」
「う、ううん。さ、最近こう呼び始めたの。え、えっと、みんなあたしより、お姉さんだし、その、みんな頼りになるし、その、ほんとにお姉さんみたいだから……」
もじもじとはにかむサンドリアをプテュエラとシュレアが撫でる。
「サンドリアがそうやって慕ってくれるのはとても嬉しいぞ」
「いつでもシュレア頼っていいです。お姉さんに任せなさい」
プテュエラは慣れた感じで笑っているが、シュレアはなんか張り切ってる感じだ。
「え、えへへ。姉さんがたくさんいて、あたし、幸せだなあ」
ふにゃ、と笑うサンドリア。うーん、尊い。
「それで、トリスさんはどこにいるの?」
「あ、あっちだよ。大きな河があって、その中で蹲るように休んでたの。ま、周りの景色と同化してたから、魔獣にも気づかれてなかった」
へぇー、ステルス機能があるのか?
ふーむ。河でステルス機能……なんだろう?
「サンドリアはよく見つけられたね?」
「あ、あたしの霧も一応水とは親和性があるから。河の水分を利用して、霧を発生させれば、すごーく広い探知もできるんだよ?」
「ああ、なるほどね。千霧魔法はすごいなあ」
「え、えへへ。そうだよ、すごいんだよ……じゃあ、先導するね。あ、シュレ姉はあたしが抱っこするよ」
「む、シュレアはお姉さんだから一人で歩けますが」
「シュレア、妹分の顔を立たせるのも姉の役目だぞ」
「……分かりました。お願いします、サンドリア」
「う、うん。任せて。よいしょっ」
なんかめっちゃ微笑ましいシーンを見れたな……。
サンドリアはその細腕からは信じられないパワーを発揮し、シュレアを後ろから抱えるように持ち上げる。そのまま霧雲に乗って、ふよふよと移動し始めた。彼女の本体は巨大百足怪獣だからね。見た目よりパワーあるのは当然だろう。
ふよふよサンドリアとざわざわシュレアが他愛もない話をしているのを聴きながら、プテュエラの羽を鞄から取り出した櫛で梳く。気持ちよさそうに目を細める彼女を見て満足する僕。
五分程歩いただろうか。それは急に現れた。
「いやデッッッッカ」
鬱蒼とした密林を抜けたその先、目の前に広がっていたのは、まるで大地を割って流れる清竜だった。
「うわ……すご……」
思わず漏れた声が、自然と掻き消えるほどの音が、辺りに満ちていた。
ごぉおおおおお……
深く、どこか喉鳴りを思わせるような低音。
それがひたすらに、終わりなく続いている。
水面はただ広く、そして重々しく蠢いていた。澄んではいない。だが濁っているとも違う。生命の層が何層にも折り重なった、そんな荘厳な深さがあった。
「これが……サンドメール河……?」
思わず呟く。
すると、シュレアが隣で言った。
「はい。絶死の森に古くから流れる大河です。この数十年は魔素によって汚染され、毒々しい色になっていましたが……これは素晴らしい変化ですね」
シュレアはとても嬉しそうに枝角をぴからせていた。
両岸は遠く霞み、視界の限界に消えている。森の生き物たちの気配すら薄れ、ただこの河がすべてを呑みこんでいた。
その時、遠くの川面で何かが跳ねた。
「……あれは?」
「大きなヒレが見えたので、バルギュロスかもしれませんね」
ごぉおおおお……ざうぅぅ……ぼぅん、ぼぅん……
大河が囁くように、僕たちの耳を満たし続けていた。
「それで、トリスさんはどこに?」
辺りを見回してもそれらしき人影は見えない。
「あ、そこにいるよ。今、ケイのことを観察してたみたい。トリスさん、こ、この人がケイだよ。あ、あたしに種くれる人」
サンドリアのぶっちゃけた紹介のあと、彼女の後方でその異形の姿が徐々に明らかになる。
……そ、そうきたかぁ。
「……んぁ~、ご紹介ありがとなぁ~。で、あんたがタネズ・ケイかぁ。手前っちがトリスカイデイカだぜぃ。よろしくなぁ~」
妙に老成した、くたびれた感のある中年ロリ……。
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