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揺り篭
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魚と聞いちゃ黙っていられねえぜ。元日本人の血がうずく。正直、そろそろお魚食べたいなと思っていたところだった。お肉美味しいんだけどね。食べたくなるじゃない。そういえば絶死の森とかデイライトは地理的にどこら辺なんだろう。地図があればいいんだけど。
花たちに教えてもらった場所へ向かう。あ、何か違うなここら辺。何ていうか空気が澄んでいる?
「はぁ、はぁ、どうやらこの辺りは浄化による良い影響をとても受けているようです」
えっちらおっちら移動するシュレア。
こういう微妙な距離移動する時は、わざわざ樹渡り使わないみたいだけど大変そうだな。
「へー、そういうこともあるんだね」
「はい。地道に浄化した成果です。手助けすれば自然は自分の力で治っていきます」
真摯に見つめる瞳には、美しい川が流れていた。
力強く水が岩を打ち付ける音。せせらぎ。細かい水しぶきが森を冷たく濡らす。
樹木や岩にびっしり苔生して、一面緑色だ。
すごい落ち着く光景だな……。
マイナスイオンを感じる。
「自然は強く、美しく、何度でも立ち上がるのです」
本当にその通りだ。
「となると、あそこに魚たちがいるのかな」
「おそらくは。向かってみましょう」
「い……ゥ」
うんしょ、うんしょと歩くシュレアを手伝って川辺に向かう。まさかだけど、魔獣の魚じゃないよな?
川を覗き込む。
川底に何やら影がちらちらと……。
「おさかなだ!」
「興奮しすぎです」
テンション上がりまくりの僕を、シュレアがたしなめる。
いや、だってお魚だよ?
川魚だよ?
うわー、どうやって食べようかな。
シンプルに塩焼きだろうか。それともフライ?
塩漬けにしてもいい。
もしかしたら、今の僕なら生でもいけるかもしれない。
うっは、夢が広がる。
「シュレア、川魚獲りたいんだけどいいかな?」
「乱獲しなければ問題ないです」
そうだね、せっかく定着したのに乱獲で絶滅したら元も子もない。ほどほどが一番だ。
そうと決まれば……よし。
その辺から適当に枝を拾い、先端を切り鋭く尖らせる。簡易的な銛の完成だ。
練喚攻を贅沢にも二層まで発動。
研ぎ澄まされた感覚で狙いを定める……。
魚影が重なる。ここだっ!
びしゅっ!
「いえーい、おさかなゲットー!」
川に突き刺さった銛を引き抜くと、ぴちぴちと跳ねる二匹のお魚。
一回やってみたかった。銛を投げて漁獲。ワイルドだろ?
「川魚とったどーーー!」
これも一回言ってみたかった。満足。
「……ていうかこのお魚大きいな」
興奮して気付かなかったが、川魚にしてはでかい。普通に両手で持つサイズだ。
見た目は鮎っぽいけど……あ、角が生えてる。見なかったことにしよう。
成人男性なら一匹で十分だな。今の僕でもこの二匹でも大丈夫そうだ。
「ほら、シュレア見てよ。とれた……よ」
「はい、よかったですね」
シュレアに自慢しようとすると、彼女の手はいつの間にか木製のかごがあって、その中にたくさんのお魚。な、なんで。
「ケイは効率が悪いですね。ここは森の中。賢樹魔法が最も効果的に働く場所ですよ?」
そう言って指を指す。その方向を見ると、
「ず、ずるい」
何と樹木たちが漁をしていた。
川辺に生えた樹木が腰を屈めるように水面を覗き、枝をしならせて鮭を取る熊みたいパシンッと魚を手掴みで獲っている。
他にも枝と枝を交差させて簡易的な網にして掬いとっていく樹木もいた。
「そんなの反則だよ」
「ケイが頭を使わないのがいけないんです」
ぱしぱしと溜まっていく魚たち。川エビやサワガニのようなのもいる。ていうか乱獲しちゃだめなんじゃないのかよ。
「この程度乱獲には入りませんよ」
ず、ずるい。賢樹ずるい。
手にはぴちぴち跳ねるお魚。くそう、僕だってできるはず。シュレアから力を貰っているんだから。
近くの樹木に手を当てて賢樹魔法を発動させる。大きな樹だ。
「うおおおおおお」
頼む、シュレアみたいに言うことを聞いてくれ!
樹木の葉脈に沿って魔力が流れていくのが分かる。
おお、これが樹木の中か。
なんだがやけ、に、
暖か、
イ?
ぷつん。
ぴゅーっ。
一瞬のブラックアウト。あれ、何が起きた?
いい匂いがする、これはシュレアの樹液の香り……。優しい森の薫り……。
「ケイ、いきなり成樹にお願いするなんて無茶が過ぎますよ」
僕はシュレアの膝の上にいた。いつも通りの膝枕。シュレアはこの体勢をよくしてくれるんだよなあ。さわさわと手を伸ばす……あたっ、払われた。
「僕どうなったの?」
「魔力回路に負荷がかかりすぎて焼き切れました」
ぶっ。
めちゃくちゃやばいやつじゃん。優秀な魔術師ほど致命傷になってずたぼろになりそう。
「そうですね。普通の人間なら良くて一生寝たきり。悪ければその場で爆発。もちろん魔法は使えなくなります」
シュレアは嫌そうに僕の鼻の下を拭ってくれる。あ、鼻血が出てたのね。
「でもケイは亜人の契約者です。回復力は比べようがないですし、魔力のパスを辿って私が修復したので問題ありません」
流石賢樹。なんてことないぜ!
いや、でも気をつけなきゃな。無茶は良くない。今日は無茶しないって決めたんだし。
「シュレアの監督不足もありますが、まさかこんなに早く無茶をするとは思いませんでした」
ぐっ。おっしゃる通りだ。
はしゃぎ過ぎてしまった。
「お魚は十分獲ったので今日はもういいでしょう。それよりも罰が必要ですね、樹縛」
はっと周りを見る。
いつの間にかしゅるしゅると、シュレアの触手が僕の四肢と胴体を絡めとっていた。
「どうやらこんな状況でも繁殖には余念が無い様子。優しく搾り取ってあげましょう」
僕の樹木が触手たちによって絡め取られていく。
し、しかたないじゃん。
だってシュレアいい匂いだし、しゃがむとずっとちらちら見えるんだよ。しかも、この前買ったやつちゃんと穿いてくれているし。最近気付いたけどこの子、真面目で健気で世話焼きなんだよ。あと結構尽くすタイプ。そんなの無理ですよ。可愛すぎる。
「この前は良いようにされましたが今日はそうはいきませんよ」
「うおっ」
僕は触手によって空中にうつ伏せで吊り下げられる。牛の搾乳をイメージしてくれると分かりやすいかな。搾られるのは乳ではなさそうだけど。
「ふむんっ」
シュレアの不健康ジト目で綺麗な顔が眼前に。頬に優しく手を添えてそっと口付け。
「むおおおおおおお」
その間見えないところでは触手たちが大暴れ。あらゆる背徳的な感覚が襲ってくる。
「ふん……」
悶える僕を満足そうに眺め、良いように口付けしてくる。うっすら上気している。なんていうか、予想通りの結果を出して喜ぶ研究者とその被験体って感じだ。
しゅしゅしゅ。
ちなみにシュレアは人型だけど、内臓の位置まで同じでは無いらしい。自由に移動できるそうだ。
にゅこにゅこにゅこ。
だから例の触手もただの触手ではなく。まあ、繁り触手とでも言っておこうか。
「んむうううううう」
「だめですよ、ゆっくり反省してください」
シュレアの瞳が紅く光る。
え、やばくない。
いつの間にか、ざわざわ、と樹木が取り囲んでいる。
僕たちの周りには木の根やら幹やら葉が絡み合って、籠のようなものが形成されていた。
シュレアと揺り籠の周りには祝福するように花々が咲き乱れ、その真ん中に一番美しい花が咲いている。僕はその花弁の中に囚われ、身動きも、思考も止まっていく。
外部と遮断された樹の揺り籠。そんな感じ。
「少しはシュレアの怖さを知ってもらいましょう。大丈夫、他の二人と比べてシュレアには獣性はありません。冷静にギリギリを見極めますから、楽にしていて下さい」
しゅしゅしゅ。ちゅぷぷ。
蔦が揺りかごを何重にも取囲み、光がどんどん失われていく。どんどん感覚が鋭敏になっていく。
陽の光が完全に失われ、五感もシュレアによって管理されてしまった。
真っ赤なシュレアの瞳と、うっすらとした輪郭。
むせ返る樹液の濃密な香り。
口唇は彼女とずっと繋がっていて、無理矢理甘い味の蜜を流し込まれる。
聴こえるのはぴちゃぴちゃという水音だけ。
触覚は口内を蹂躙する舌と、僕の樹木を草木の成長のようにゆっくりと責め立てる彼女の密林。
直感した。これはやばい。でも何もできない。
ぷすっ。
あ、なんか針みたいの刺された……。あぁ、思考が蕩けていく……。まあいっか。このまま溶けても幸せか……。
「ふふ、ケイの思考が手に取るように分かります。余計なことは考えず、この揺り籠の中で眠りなさい」
僕は眠る。骨まで蕩かす微睡みの中で。
精を吐き出し、震えるような、頂の向こうに何度も到達する。
ただシュレアの綺麗な顔と幸せな表情、真っ赤な瞳が夢にまで侵入してきて、時間の感覚がよくわからなくなって……。
そして。
………………
…………
……
「川魚うめえーーー」
「おいしいですね」
その後普通に解放されてご飯を食べた。川魚は普通に塩焼き。めっちゃボリューミーで脂も乗ってる。うんま。
身体中ぐっちゃぐっちゃだったけど、シュレアが綺麗に触手で舐めとってくれた。
あと、なんかすごいスッキリした。身体中の毒素が抜けたというか。デトックス?
「シュレアも久しぶりに自然の中でゆっくり堪能できました」
つやつやしている。
あれかな、自然と一体化するのが一番楽なのかもね。それならたまにはいいかもな……。正直、あの揺り籠はやばい。ダメ男を徹底的に甘やかす母性と快楽の檻だ。でも、僕は囚われている。仕方ない。どんまいどんまい。
「また、来ましょうね」
にこり、と控えめに笑うシュレアが可愛すぎてどうにかなりそうだった。あの真っ赤な瞳はまだ僕の脳裏に刻まれている。
花たちに教えてもらった場所へ向かう。あ、何か違うなここら辺。何ていうか空気が澄んでいる?
「はぁ、はぁ、どうやらこの辺りは浄化による良い影響をとても受けているようです」
えっちらおっちら移動するシュレア。
こういう微妙な距離移動する時は、わざわざ樹渡り使わないみたいだけど大変そうだな。
「へー、そういうこともあるんだね」
「はい。地道に浄化した成果です。手助けすれば自然は自分の力で治っていきます」
真摯に見つめる瞳には、美しい川が流れていた。
力強く水が岩を打ち付ける音。せせらぎ。細かい水しぶきが森を冷たく濡らす。
樹木や岩にびっしり苔生して、一面緑色だ。
すごい落ち着く光景だな……。
マイナスイオンを感じる。
「自然は強く、美しく、何度でも立ち上がるのです」
本当にその通りだ。
「となると、あそこに魚たちがいるのかな」
「おそらくは。向かってみましょう」
「い……ゥ」
うんしょ、うんしょと歩くシュレアを手伝って川辺に向かう。まさかだけど、魔獣の魚じゃないよな?
川を覗き込む。
川底に何やら影がちらちらと……。
「おさかなだ!」
「興奮しすぎです」
テンション上がりまくりの僕を、シュレアがたしなめる。
いや、だってお魚だよ?
川魚だよ?
うわー、どうやって食べようかな。
シンプルに塩焼きだろうか。それともフライ?
塩漬けにしてもいい。
もしかしたら、今の僕なら生でもいけるかもしれない。
うっは、夢が広がる。
「シュレア、川魚獲りたいんだけどいいかな?」
「乱獲しなければ問題ないです」
そうだね、せっかく定着したのに乱獲で絶滅したら元も子もない。ほどほどが一番だ。
そうと決まれば……よし。
その辺から適当に枝を拾い、先端を切り鋭く尖らせる。簡易的な銛の完成だ。
練喚攻を贅沢にも二層まで発動。
研ぎ澄まされた感覚で狙いを定める……。
魚影が重なる。ここだっ!
びしゅっ!
「いえーい、おさかなゲットー!」
川に突き刺さった銛を引き抜くと、ぴちぴちと跳ねる二匹のお魚。
一回やってみたかった。銛を投げて漁獲。ワイルドだろ?
「川魚とったどーーー!」
これも一回言ってみたかった。満足。
「……ていうかこのお魚大きいな」
興奮して気付かなかったが、川魚にしてはでかい。普通に両手で持つサイズだ。
見た目は鮎っぽいけど……あ、角が生えてる。見なかったことにしよう。
成人男性なら一匹で十分だな。今の僕でもこの二匹でも大丈夫そうだ。
「ほら、シュレア見てよ。とれた……よ」
「はい、よかったですね」
シュレアに自慢しようとすると、彼女の手はいつの間にか木製のかごがあって、その中にたくさんのお魚。な、なんで。
「ケイは効率が悪いですね。ここは森の中。賢樹魔法が最も効果的に働く場所ですよ?」
そう言って指を指す。その方向を見ると、
「ず、ずるい」
何と樹木たちが漁をしていた。
川辺に生えた樹木が腰を屈めるように水面を覗き、枝をしならせて鮭を取る熊みたいパシンッと魚を手掴みで獲っている。
他にも枝と枝を交差させて簡易的な網にして掬いとっていく樹木もいた。
「そんなの反則だよ」
「ケイが頭を使わないのがいけないんです」
ぱしぱしと溜まっていく魚たち。川エビやサワガニのようなのもいる。ていうか乱獲しちゃだめなんじゃないのかよ。
「この程度乱獲には入りませんよ」
ず、ずるい。賢樹ずるい。
手にはぴちぴち跳ねるお魚。くそう、僕だってできるはず。シュレアから力を貰っているんだから。
近くの樹木に手を当てて賢樹魔法を発動させる。大きな樹だ。
「うおおおおおお」
頼む、シュレアみたいに言うことを聞いてくれ!
樹木の葉脈に沿って魔力が流れていくのが分かる。
おお、これが樹木の中か。
なんだがやけ、に、
暖か、
イ?
ぷつん。
ぴゅーっ。
一瞬のブラックアウト。あれ、何が起きた?
いい匂いがする、これはシュレアの樹液の香り……。優しい森の薫り……。
「ケイ、いきなり成樹にお願いするなんて無茶が過ぎますよ」
僕はシュレアの膝の上にいた。いつも通りの膝枕。シュレアはこの体勢をよくしてくれるんだよなあ。さわさわと手を伸ばす……あたっ、払われた。
「僕どうなったの?」
「魔力回路に負荷がかかりすぎて焼き切れました」
ぶっ。
めちゃくちゃやばいやつじゃん。優秀な魔術師ほど致命傷になってずたぼろになりそう。
「そうですね。普通の人間なら良くて一生寝たきり。悪ければその場で爆発。もちろん魔法は使えなくなります」
シュレアは嫌そうに僕の鼻の下を拭ってくれる。あ、鼻血が出てたのね。
「でもケイは亜人の契約者です。回復力は比べようがないですし、魔力のパスを辿って私が修復したので問題ありません」
流石賢樹。なんてことないぜ!
いや、でも気をつけなきゃな。無茶は良くない。今日は無茶しないって決めたんだし。
「シュレアの監督不足もありますが、まさかこんなに早く無茶をするとは思いませんでした」
ぐっ。おっしゃる通りだ。
はしゃぎ過ぎてしまった。
「お魚は十分獲ったので今日はもういいでしょう。それよりも罰が必要ですね、樹縛」
はっと周りを見る。
いつの間にかしゅるしゅると、シュレアの触手が僕の四肢と胴体を絡めとっていた。
「どうやらこんな状況でも繁殖には余念が無い様子。優しく搾り取ってあげましょう」
僕の樹木が触手たちによって絡め取られていく。
し、しかたないじゃん。
だってシュレアいい匂いだし、しゃがむとずっとちらちら見えるんだよ。しかも、この前買ったやつちゃんと穿いてくれているし。最近気付いたけどこの子、真面目で健気で世話焼きなんだよ。あと結構尽くすタイプ。そんなの無理ですよ。可愛すぎる。
「この前は良いようにされましたが今日はそうはいきませんよ」
「うおっ」
僕は触手によって空中にうつ伏せで吊り下げられる。牛の搾乳をイメージしてくれると分かりやすいかな。搾られるのは乳ではなさそうだけど。
「ふむんっ」
シュレアの不健康ジト目で綺麗な顔が眼前に。頬に優しく手を添えてそっと口付け。
「むおおおおおおお」
その間見えないところでは触手たちが大暴れ。あらゆる背徳的な感覚が襲ってくる。
「ふん……」
悶える僕を満足そうに眺め、良いように口付けしてくる。うっすら上気している。なんていうか、予想通りの結果を出して喜ぶ研究者とその被験体って感じだ。
しゅしゅしゅ。
ちなみにシュレアは人型だけど、内臓の位置まで同じでは無いらしい。自由に移動できるそうだ。
にゅこにゅこにゅこ。
だから例の触手もただの触手ではなく。まあ、繁り触手とでも言っておこうか。
「んむうううううう」
「だめですよ、ゆっくり反省してください」
シュレアの瞳が紅く光る。
え、やばくない。
いつの間にか、ざわざわ、と樹木が取り囲んでいる。
僕たちの周りには木の根やら幹やら葉が絡み合って、籠のようなものが形成されていた。
シュレアと揺り籠の周りには祝福するように花々が咲き乱れ、その真ん中に一番美しい花が咲いている。僕はその花弁の中に囚われ、身動きも、思考も止まっていく。
外部と遮断された樹の揺り籠。そんな感じ。
「少しはシュレアの怖さを知ってもらいましょう。大丈夫、他の二人と比べてシュレアには獣性はありません。冷静にギリギリを見極めますから、楽にしていて下さい」
しゅしゅしゅ。ちゅぷぷ。
蔦が揺りかごを何重にも取囲み、光がどんどん失われていく。どんどん感覚が鋭敏になっていく。
陽の光が完全に失われ、五感もシュレアによって管理されてしまった。
真っ赤なシュレアの瞳と、うっすらとした輪郭。
むせ返る樹液の濃密な香り。
口唇は彼女とずっと繋がっていて、無理矢理甘い味の蜜を流し込まれる。
聴こえるのはぴちゃぴちゃという水音だけ。
触覚は口内を蹂躙する舌と、僕の樹木を草木の成長のようにゆっくりと責め立てる彼女の密林。
直感した。これはやばい。でも何もできない。
ぷすっ。
あ、なんか針みたいの刺された……。あぁ、思考が蕩けていく……。まあいっか。このまま溶けても幸せか……。
「ふふ、ケイの思考が手に取るように分かります。余計なことは考えず、この揺り籠の中で眠りなさい」
僕は眠る。骨まで蕩かす微睡みの中で。
精を吐き出し、震えるような、頂の向こうに何度も到達する。
ただシュレアの綺麗な顔と幸せな表情、真っ赤な瞳が夢にまで侵入してきて、時間の感覚がよくわからなくなって……。
そして。
………………
…………
……
「川魚うめえーーー」
「おいしいですね」
その後普通に解放されてご飯を食べた。川魚は普通に塩焼き。めっちゃボリューミーで脂も乗ってる。うんま。
身体中ぐっちゃぐっちゃだったけど、シュレアが綺麗に触手で舐めとってくれた。
あと、なんかすごいスッキリした。身体中の毒素が抜けたというか。デトックス?
「シュレアも久しぶりに自然の中でゆっくり堪能できました」
つやつやしている。
あれかな、自然と一体化するのが一番楽なのかもね。それならたまにはいいかもな……。正直、あの揺り籠はやばい。ダメ男を徹底的に甘やかす母性と快楽の檻だ。でも、僕は囚われている。仕方ない。どんまいどんまい。
「また、来ましょうね」
にこり、と控えめに笑うシュレアが可愛すぎてどうにかなりそうだった。あの真っ赤な瞳はまだ僕の脳裏に刻まれている。
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