絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

文字の大きさ
62 / 291

揺り篭

しおりを挟む
 魚と聞いちゃ黙っていられねえぜ。元日本人の血がうずく。正直、そろそろお魚食べたいなと思っていたところだった。お肉美味しいんだけどね。食べたくなるじゃない。そういえば絶死の森とかデイライトは地理的にどこら辺なんだろう。地図があればいいんだけど。

 花たちに教えてもらった場所へ向かう。あ、何か違うなここら辺。何ていうか空気が澄んでいる?

「はぁ、はぁ、どうやらこの辺りは浄化による良い影響をとても受けているようです」

 えっちらおっちら移動するシュレア。
 こういう微妙な距離移動する時は、わざわざ樹渡り使わないみたいだけど大変そうだな。

「へー、そういうこともあるんだね」

「はい。地道に浄化した成果です。手助けすれば自然は自分の力で治っていきます」

 真摯に見つめる瞳には、美しい川が流れていた。

 力強く水が岩を打ち付ける音。せせらぎ。細かい水しぶきが森を冷たく濡らす。
 樹木や岩にびっしり苔生して、一面緑色だ。

 すごい落ち着く光景だな……。

 マイナスイオンを感じる。

「自然は強く、美しく、何度でも立ち上がるのです」

 本当にその通りだ。

「となると、あそこに魚たちがいるのかな」

「おそらくは。向かってみましょう」

「い……ゥ」

 うんしょ、うんしょと歩くシュレアを手伝って川辺に向かう。まさかだけど、魔獣の魚じゃないよな?

 川を覗き込む。
 川底に何やら影がちらちらと……。

「おさかなだ!」

「興奮しすぎです」

 テンション上がりまくりの僕を、シュレアがたしなめる。

 いや、だってお魚だよ?
 川魚だよ?
 
 うわー、どうやって食べようかな。
 シンプルに塩焼きだろうか。それともフライ? 
 塩漬けにしてもいい。
 もしかしたら、今の僕なら生でもいけるかもしれない。
 うっは、夢が広がる。

「シュレア、川魚獲りたいんだけどいいかな?」

「乱獲しなければ問題ないです」

 そうだね、せっかく定着したのに乱獲で絶滅したら元も子もない。ほどほどが一番だ。

 そうと決まれば……よし。

 その辺から適当に枝を拾い、先端を切り鋭く尖らせる。簡易的な銛の完成だ。

 練喚攻を贅沢にも二層まで発動。

 研ぎ澄まされた感覚で狙いを定める……。

 魚影が重なる。ここだっ!

 びしゅっ!

「いえーい、おさかなゲットー!」


 川に突き刺さった銛を引き抜くと、ぴちぴちと跳ねる二匹のお魚。

 一回やってみたかった。銛を投げて漁獲。ワイルドだろ?

「川魚とったどーーー!」

 これも一回言ってみたかった。満足。

「……ていうかこのお魚大きいな」

 興奮して気付かなかったが、川魚にしてはでかい。普通に両手で持つサイズだ。

 見た目は鮎っぽいけど……あ、角が生えてる。見なかったことにしよう。

 成人男性なら一匹で十分だな。今の僕でもこの二匹でも大丈夫そうだ。

「ほら、シュレア見てよ。とれた……よ」

「はい、よかったですね」

 シュレアに自慢しようとすると、彼女の手はいつの間にか木製のかごがあって、その中にたくさんのお魚。な、なんで。

「ケイは効率が悪いですね。ここは森の中。賢樹魔法が最も効果的に働く場所ですよ?」

 そう言って指を指す。その方向を見ると、

「ず、ずるい」


 何と樹木たちが漁をしていた。

 川辺に生えた樹木が腰を屈めるように水面を覗き、枝をしならせて鮭を取る熊みたいパシンッと魚を手掴みで獲っている。

 他にも枝と枝を交差させて簡易的な網にして掬いとっていく樹木もいた。

「そんなの反則だよ」

「ケイが頭を使わないのがいけないんです」

 ぱしぱしと溜まっていく魚たち。川エビやサワガニのようなのもいる。ていうか乱獲しちゃだめなんじゃないのかよ。

「この程度乱獲には入りませんよ」

 ず、ずるい。賢樹ずるい。

 手にはぴちぴち跳ねるお魚。くそう、僕だってできるはず。シュレアから力を貰っているんだから。

 近くの樹木に手を当てて賢樹魔法を発動させる。大きな樹だ。

「うおおおおおお」

 頼む、シュレアみたいに言うことを聞いてくれ!
  
 樹木の葉脈に沿って魔力が流れていくのが分かる。

 おお、これが樹木の中か。

 なんだがやけ、に、

 暖か、
 
 イ?

 ぷつん。
 ぴゅーっ。

 一瞬のブラックアウト。あれ、何が起きた?

 いい匂いがする、これはシュレアの樹液の香り……。優しい森の薫り……。

「ケイ、いきなり成樹にお願いするなんて無茶が過ぎますよ」

 僕はシュレアの膝の上にいた。いつも通りの膝枕。シュレアはこの体勢をよくしてくれるんだよなあ。さわさわと手を伸ばす……あたっ、払われた。

「僕どうなったの?」

「魔力回路に負荷がかかりすぎて焼き切れました」

 ぶっ。

 めちゃくちゃやばいやつじゃん。優秀な魔術師ほど致命傷になってずたぼろになりそう。

「そうですね。普通の人間なら良くて一生寝たきり。悪ければその場で爆発。もちろん魔法は使えなくなります」

 シュレアは嫌そうに僕の鼻の下を拭ってくれる。あ、鼻血が出てたのね。

「でもケイは亜人の契約者です。回復力は比べようがないですし、魔力のパスを辿って私が修復したので問題ありません」

 流石賢樹。なんてことないぜ!

 いや、でも気をつけなきゃな。無茶は良くない。今日は無茶しないって決めたんだし。

「シュレアの監督不足もありますが、まさかこんなに早く無茶をするとは思いませんでした」

 ぐっ。おっしゃる通りだ。
 はしゃぎ過ぎてしまった。

「お魚は十分獲ったので今日はもういいでしょう。それよりも罰が必要ですね、樹縛」

 はっと周りを見る。

 いつの間にかしゅるしゅると、シュレアの触手が僕の四肢と胴体を絡めとっていた。

「どうやらこんな状況でも繁殖には余念が無い様子。優しく搾り取ってあげましょう」

 僕の樹木が触手たちによって絡め取られていく。

 し、しかたないじゃん。

 だってシュレアいい匂いだし、しゃがむとずっとちらちら見えるんだよ。しかも、この前買ったやつちゃんと穿いてくれているし。最近気付いたけどこの子、真面目で健気で世話焼きなんだよ。あと結構尽くすタイプ。そんなの無理ですよ。可愛すぎる。

「この前は良いようにされましたが今日はそうはいきませんよ」

「うおっ」

 僕は触手によって空中にうつ伏せで吊り下げられる。牛の搾乳をイメージしてくれると分かりやすいかな。搾られるのは乳ではなさそうだけど。

「ふむんっ」

 シュレアの不健康ジト目で綺麗な顔が眼前に。頬に優しく手を添えてそっと口付け。

「むおおおおおおお」

 その間見えないところでは触手たちが大暴れ。あらゆる背徳的な感覚が襲ってくる。

「ふん……」

 悶える僕を満足そうに眺め、良いように口付けしてくる。うっすら上気している。なんていうか、予想通りの結果を出して喜ぶ研究者とその被験体って感じだ。
 
 しゅしゅしゅ。

 ちなみにシュレアは人型だけど、内臓の位置まで同じでは無いらしい。自由に移動できるそうだ。

 にゅこにゅこにゅこ。

 だから例の触手もただの触手ではなく。まあ、繁り触手とでも言っておこうか。

「んむうううううう」

「だめですよ、ゆっくり反省してください」

 シュレアの瞳が紅く光る。

 え、やばくない。

 いつの間にか、ざわざわ、と樹木が取り囲んでいる。
 僕たちの周りには木の根やら幹やら葉が絡み合って、籠のようなものが形成されていた。
 シュレアと揺り籠の周りには祝福するように花々が咲き乱れ、その真ん中に一番美しい花が咲いている。僕はその花弁の中に囚われ、身動きも、思考も止まっていく。

 外部と遮断された樹の揺り籠。そんな感じ。

「少しはシュレアの怖さを知ってもらいましょう。大丈夫、他の二人と比べてシュレアには獣性はありません。冷静にギリギリを見極めますから、楽にしていて下さい」

 しゅしゅしゅ。ちゅぷぷ。

 蔦が揺りかごを何重にも取囲み、光がどんどん失われていく。どんどん感覚が鋭敏になっていく。

 陽の光が完全に失われ、五感もシュレアによって管理されてしまった。

 真っ赤なシュレアの瞳と、うっすらとした輪郭。
 むせ返る樹液の濃密な香り。
 口唇は彼女とずっと繋がっていて、無理矢理甘い味の蜜を流し込まれる。
 聴こえるのはぴちゃぴちゃという水音だけ。
 触覚は口内を蹂躙する舌と、僕の樹木を草木の成長のようにゆっくりと責め立てる彼女の密林。

 直感した。これはやばい。でも何もできない。
 
 ぷすっ。

 あ、なんか針みたいの刺された……。あぁ、思考が蕩けていく……。まあいっか。このまま溶けても幸せか……。

「ふふ、ケイの思考が手に取るように分かります。余計なことは考えず、この揺り籠の中で眠りなさい」

 僕は眠る。骨まで蕩かす微睡みの中で。
 精を吐き出し、震えるような、頂の向こうに何度も到達する。

 ただシュレアの綺麗な顔と幸せな表情、真っ赤な瞳が夢にまで侵入してきて、時間の感覚がよくわからなくなって……。

 そして。

………………


…………
 
……

「川魚うめえーーー」

「おいしいですね」

 その後普通に解放されてご飯を食べた。川魚は普通に塩焼き。めっちゃボリューミーで脂も乗ってる。うんま。

 身体中ぐっちゃぐっちゃだったけど、シュレアが綺麗に触手で舐めとってくれた。

 あと、なんかすごいスッキリした。身体中の毒素が抜けたというか。デトックス?

「シュレアも久しぶりに自然の中でゆっくり堪能できました」

 つやつやしている。
 あれかな、自然と一体化するのが一番楽なのかもね。それならたまにはいいかもな……。正直、あの揺り籠はやばい。ダメ男を徹底的に甘やかす母性と快楽の檻だ。でも、僕は囚われている。仕方ない。どんまいどんまい。

「また、来ましょうね」

 にこり、と控えめに笑うシュレアが可愛すぎてどうにかなりそうだった。あの真っ赤な瞳はまだ僕の脳裏に刻まれている。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

処理中です...