【絶対幼女伝説】 〜『主人公は魔王なのに』を添えて〜

是呈 霊長(ぜてい たまなが)

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紳士さん

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   是呈 霊長


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 ─────世界を構成し、ヒトビトやモンスターが生きるのに必要と言われるぎょう
 数多あるその中でも、"火"、"水"、"風"、"雷"、"地"、"光"、そして"闇"の7つは特に、世界のバランスを保つ根幹である元素の為、七大行ななだいぎょうと呼ばれる。
 そして、七大行はそれぞれ司るがいる。王は、行が暴走せぬよう管理したり、他にもそれを使い国やヒト、モンスター等を従え、発展させたりしてバランスを保っていた。
 

 丸くて白パンに目と口、それに棒のような手足が生えた謎の生物が上質な赤いローブをまとっている。豪華絢爛で一切の妥協の無い最上質の家具から、ここが貴族の屋敷か城である事がわかる。
 その謎の生物は、赤髪で紫の瞳でこれもまた上質なドレスを着た4歳くらいの少女に、昔話の本を読み聞かせている。
 少なくとも不審者ではなく相応の位は持っているようだ。
 昔話を聞く少女の背中には小さな鳥のような金色の翼が生えており、普通のニンゲン種ではなく天使、もしくは身体的特徴の少ない鳥人のような姿である。
「しかし、ある時魔王を名乗る吸血鬼が世界を征服していきました。王達も抵抗しますが、火、水、風、雷と、着実に倒されてしまいます。
 何故行を司る王たるモノ達が負けるのか? それは、魔王も七大行のひとつ、闇の王だったからです。それだけではありません!
 吸血鬼である魔王は負けたモノたちから、血を供物として捧げさせました。捧げたモノ達は魔王の命令は絶対に破れなくなり、血を手に入れた魔王も、捧げたモノ達の力を我がものとして、際限なく強くなっていきました!!
 そんな魔王は地上の全てを征服し、世界を闇で包んでしまいました!!!」
 謎生物が昔話を語るのに熱がはいる。
「まっくらけ!?」
 赤髪の少女は、驚いた顔で謎生物に聞く。
「そうですじゃ! 真っ暗で、灯火でもないと何も見えないんですな!」
「こわー」
 謎生物は昔話に戻る。さっきまでの熱のは入り様とは一転して、淡々と読み始める。
「魔王はそこから100年、世界を我が物としました。魔王の圧政は凄まじく、まず子どもが産まれれば逆らわないように血を捧げさせ、万全を期す為に食べ物や、武具を作るための鉱石や魔石を税として奪いとり、そして大人から手に入れた魔力を使って城の結界維持をして、生命の活力でもあるまでもを捧げさせられた。
 そのせいでヒトビトは困窮し、食糧不足からの窃盗や強盗、奪い合いからのいざこざや戦争行為が起き、力無きヒト達は餓死するモノが多く、生き残ったモノも病に悩まされ、ヒトビトの心にはもう希望の光は殆ど残っていませんでした」
「どく? あちゃちゃー。まおうは、なんでそんなことするの?」
「恐れていたのですじゃ……」
「なにがこわかったの?」
「最後まで聞けばわかりますな」
「ケチ」
 謎生物は下を向くが、すぐに居直り続きを読み始める。
「唯一倒されず、生き残っていた光の王も力が弱まり、闇に包まれ希望の光が失われた世界では動く事もままならない状態でしたが、そのヒトビトの状況を見て最後の決心をしました。もう皆の悲しい姿を見たくなかったのです。自身が戦ったとしても闇に覆われた世界ではまともに力が出ずに負ける。万が一自分が負ければ、この世界はもうお終いです。なので、慎重に、慎重に、探しました。闇の中でも心の光が消えない、そして困っている人に手を伸ばせる優しさを持つモノを。
 そして、魔王が世界征服してから100年が経つ少し前、見つけたのです。光満ちた子どもを。その子はまだ母親のお腹の中に居ましたが、光の王には感じたのです。その子の放つ輝きが。
 その子の存在が魔王にバレる事のないように、光の王は母親に事情を伝え、心優しい数人の友と一緒に人里離れた辺境の地へと移り住まわせました。結界を張って魔王から見えなくしたその土地に、小さな里を作り、その子が大きくなるまで慎ましやかに生活したのです。
 そして、その子が18になった時、光の王はとうとう役目を伝えました。ひとりの子に、世界を救うという大任を押し付けるのは大変心苦しかったですが、その子は『一人でも多くの人と幸せを共有したい。だから、貴方も悲しまないで』そう笑顔で応え、旅に出ました。
 光の王はその子の勇気を称え、勇者という称号を手授けて、勇者もその名に恥じぬ活躍を見せました。
 着実に闇に覆われた世界を開放し、ヒトビトにも笑顔が戻っていったのです。
 魔王はそれに気が付き、配下のモンスターを送り込みますが、勇者はそれを次々にたおしていきました」
「つよーい! ゆうしゃ、さいきょ?」
「どうですかな? 魔王も強いモンスターを送り込み、勇者は苦しい戦いを迫られたんですな!」
「どうするの? まけちゃう?」
「絶体絶命の勇者! 凄まじい攻撃を耐えきれず倒れた勇者。このまま終わるのか? 答えはノーですじゃ!」
「やた!」
 少女は思わずガッツポーズをする。
「そこに現れたのは、ひとりで魔王軍と戦い続けていた不死身とうたわれる光の戦士! 白い気高き神獣!! そしてそして~、幾千幾億もの破壊の魔法を操る大魔法使い!!!」
「おぉー!!」
 パチパチとふたりは拍手する。
「4ニンになった勇者一行は負け知らず。魔王幹部の水生生物のような頭を持つ邪悪なるモノ、闇の炎を放つドラゴン、ニンゲンで有りながらモンスターを束ねる至高の剣士、それらを倒し魔王のもとへとやってきたんですじゃ」
「はや~い」
「ほんとに早いんですな。そして、苛烈な戦いを6日6晩繰り広げ、ついに魔王を倒せたのですじゃ! 魔王はなかなかしぶとかった」
「おー!」
「しかし、勇者は魔王にとどめを刺さなかったんですじゃ」
「なんで?」
「"一人でも多くの人と幸せを共有したい"これは勇者にとって、魔王もそのひとりだったからですな。
 そして、何故この様な事をしたのか聞いたんですじゃ」
「むむむ!?」
「実は、吸血鬼魔王は呪われていたのですじゃ。誰がそうしたかは判らぬが、そのせいで日の光を浴びれば灰になり、誰でも構わず血を飲めば魔力が暴走して破裂するか、狂ってしまう。そう、魔王は得体の知れぬ呪いをかけた相手をずっと恐れてたんですじゃ!」
「やっとでてきたね!」
 少女は笑顔になるが、すぐに疑問を抱く。
「あれ? でも、みんなから ち をもらったんでしょ?」
「血は口につけても相性が悪くて飲まなかったそうですな。血を捧げる時に魔法で強制的に契約を結んで、力を手に入れた。だから、攻撃もできないようになってたんですじゃ」
「その ち はどうしたの?」
「今でも保管してるらしいですな。いるかわからない吸血鬼の仲間がいつか必要するかもしれないからと」
「へぇー」
「悪い事をしたのは事実ですが、勇者は救うことを選びました。そして、魔王も心の底からの悪人では無いとわかりました。そこで、光の王は魔王に仲直りを提案したのです。魔王はとまどいましたが、勇者に負けて、拾われた命です。それも良いかもしれないと、もう悪い事はしないと誓い、仲直りしました。光の王はそれならと、日の光に吸血鬼を灰にしないように。と、そう約束させたことで、とうとう魔王も日の光を浴びることができたのです」
「やったね!」
「魔王は反省して各地を巡り、自分がボロボロにした世界を復興させていきましたとさ」
「おしまい?」
「おしまい」
 謎生物は本を閉じ、ローブの中にしまう。
「まおうは、いまどうしてるの?」
「お城で眠っておりますじゃ。今で400年程ですかな? 世界がまた危機に瀕した時に、勇者の旅立ちと同じ時に目覚め、共に世界を救うそうですな」
「そっかー。ん?」
「む? 外が騒がしいですな。見てまいりますので、待っててくれますかな?」
「はーい」
「何事ですじゃー!」
 謎の生物は杖を手にして、騒がしく部屋をあとにした。
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