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第一章
第4話
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「リナウドさん、あの夜は何故あの場所に?」
警戒心を薄れさせるため、メモ帳は開かずに話を続ける。これで油断して口を滑らせてくれれば楽なのだが。彼の雰囲気から察するに、手強そうだ。
「あの夜はこの病院の仲間と飲み会がありまして。その後、肝試しをしようという話になったのです。」
かなり核心を突いた質問のつもりだったのだが、ことも無さげに話す。すぐに裏取りの出来る内容なので、嘘を吐いている訳でもなさそうだ。しかし、そうなると別の疑問が浮かぶ。
「では、何故あのご遺体を見つけたのはあなただけだったのでしょうか?」
そう、第一発見者は彼一人。つまり、その時彼は一人だったのだ。矛盾になりかねない事柄は早く解決しなければならない。まぁ、返答は想像がついているけれども。
「何でも、初めから私を驚かせる算段だったらしく、途中で一人にされてしまったのですよ。ですから、彼女を見つけた時もドッキリかと近づいてしまいまして……」
予想の範疇の返答だ。まぁこれも裏取り次第か。
本命は凶器についてだ。調べによると、あのメスは廃病院には無かったタイプの物らしい。ならば誰かが持ち込んだ物ということだ。
「すみません、この写真のメスに見覚えは?」
凶器の写真をテーブルに置き、彼の目の前までそっと滑らせる。彼はメガネの位置を直しつつ写真をじっくりと観察し始めた。
「これは……久々に見ましたね」
今度は予想外の返答だ。『久々に見た』だと?一体どういうことだろうか。
「これは十数年前に生産中止になった物です。間違いない。生産性重視の物なので、現在ではまるで使い物になりません。こんな物を使うのは、せいぜい……」
と、そこまで言って言葉を詰まらせる。何か隠したのか?隙を逃さない様、すかさず追及する。
「いえ、警察の方に所感でものを言うべきではないと思っただけですよ。あの、それよりも……」
上手くかわされた気もするが、不安そうに続けられる言葉に意識を割く。手帳を開いていないのだ。覚えるしかない。
「私を疑っておいでですか?」
はい、そうです。とは言えるまい。質問の内容的にも、『関係者全員に聞いていることです』と言う決まり文句は使えないだろう。
「アリバイならあるんですよ。確か、ニュースでは推定死亡時刻は発見される三日前の夕方だとか」
よく調べている。これはマスコミに向けた言葉だが。しかし、そちらからアリバイについて話し始めてくれるのは楽でいい。
「私はその時あの俳優さんの病室で術後検査をしていました。カルテも残っています」
裏取りのしやすい完璧なアリバイだ。これはシロだな、と次の行動について思考を割く。それが悪かったのだろうか、続く言葉を、呑み込むことができなかった。
いや、いくら真剣に聞いても、呑み込むことなど出来ないだろうが。
「それに、あまりにも汚いでしょう?」
情けないことに、『は?』以外の言葉が、頭に浮かばなかった。
警戒心を薄れさせるため、メモ帳は開かずに話を続ける。これで油断して口を滑らせてくれれば楽なのだが。彼の雰囲気から察するに、手強そうだ。
「あの夜はこの病院の仲間と飲み会がありまして。その後、肝試しをしようという話になったのです。」
かなり核心を突いた質問のつもりだったのだが、ことも無さげに話す。すぐに裏取りの出来る内容なので、嘘を吐いている訳でもなさそうだ。しかし、そうなると別の疑問が浮かぶ。
「では、何故あのご遺体を見つけたのはあなただけだったのでしょうか?」
そう、第一発見者は彼一人。つまり、その時彼は一人だったのだ。矛盾になりかねない事柄は早く解決しなければならない。まぁ、返答は想像がついているけれども。
「何でも、初めから私を驚かせる算段だったらしく、途中で一人にされてしまったのですよ。ですから、彼女を見つけた時もドッキリかと近づいてしまいまして……」
予想の範疇の返答だ。まぁこれも裏取り次第か。
本命は凶器についてだ。調べによると、あのメスは廃病院には無かったタイプの物らしい。ならば誰かが持ち込んだ物ということだ。
「すみません、この写真のメスに見覚えは?」
凶器の写真をテーブルに置き、彼の目の前までそっと滑らせる。彼はメガネの位置を直しつつ写真をじっくりと観察し始めた。
「これは……久々に見ましたね」
今度は予想外の返答だ。『久々に見た』だと?一体どういうことだろうか。
「これは十数年前に生産中止になった物です。間違いない。生産性重視の物なので、現在ではまるで使い物になりません。こんな物を使うのは、せいぜい……」
と、そこまで言って言葉を詰まらせる。何か隠したのか?隙を逃さない様、すかさず追及する。
「いえ、警察の方に所感でものを言うべきではないと思っただけですよ。あの、それよりも……」
上手くかわされた気もするが、不安そうに続けられる言葉に意識を割く。手帳を開いていないのだ。覚えるしかない。
「私を疑っておいでですか?」
はい、そうです。とは言えるまい。質問の内容的にも、『関係者全員に聞いていることです』と言う決まり文句は使えないだろう。
「アリバイならあるんですよ。確か、ニュースでは推定死亡時刻は発見される三日前の夕方だとか」
よく調べている。これはマスコミに向けた言葉だが。しかし、そちらからアリバイについて話し始めてくれるのは楽でいい。
「私はその時あの俳優さんの病室で術後検査をしていました。カルテも残っています」
裏取りのしやすい完璧なアリバイだ。これはシロだな、と次の行動について思考を割く。それが悪かったのだろうか、続く言葉を、呑み込むことができなかった。
いや、いくら真剣に聞いても、呑み込むことなど出来ないだろうが。
「それに、あまりにも汚いでしょう?」
情けないことに、『は?』以外の言葉が、頭に浮かばなかった。
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