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碧の空3
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涙が頬を伝う感じがした。
そっと目を開けるけれど、何故自分が泣いているのか分からなかった。
いつもそうだ。
寝て起きたときに泣いていても、何故自分が泣いているのか覚えていない。
何か夢を見ていたことは覚えているのに
内容を思い出すことが出来ない。
何か、何か大事なことのはずなのに、
今日は土曜日。
学校に行く必要もない。
だから、もう一度眠ったらわかったりしないだろうか?
馬鹿な考えだなと自分でも思うけれど、
そうならいいのにと思う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目が覚めて時計に目をやると10時30分といういつもより大分遅い時間だった。
のそりと起き上がると寝過ぎたせいか頭が内側から鈍く痛んだ。
しばらくベッドの上で壁に背中を預けて考える。
結局夢の内容は分からなかっった。
今日1回目に目が覚めたときのなんと言い表せば良いかわからないさびしさが、いつもなら気にしないようなことを頭から消してくれない。
もう少しで何かがわかるようなモヤモヤした気持ちが胸に積み重なってとぐろを巻いているようななんとも言えない苦しさを産む。
僕は一体何を見たのだろうか?
つらつらと考えても仕方の無いことを考えていると、思考を中断させるようにがちゃりと部屋のドアが開いた。
そこからこちらをそっと覗いたのは、母だった(家にいるのは母と僕しか居ないのだから当然といえば当然である)。
「あら碧起きてたのね~!」
いつも通りの明るい母を見ていたらモヤモヤと考えていたことが何となく今ではなくていいような気がした。
「うん、今日はちょっと寝過ぎたよ。」
頭が痛いや、なんて言ってみる。
くすくすと母に笑われて、僕も可笑しくなって笑った。
そうそう、と母が思い出したように笑うのをやめて話し始めた。
「今日、何も予定がないなら一緒にテーマパークにいかない?」
某テーマパークのペアチケットを差し出しながら、もちろん行くわよね!と目をキラキラさせている母にいかないとは言えず、
「わかった。用意するね。」
と答える。
急いで用意をして母の車に乗り込んだときにそういえば、と思い出して、
「そのペアチケットどうしたの?」
思いつきで買うには少し高額な気がして聞いてみると、
「この間残業を押し付けられた~!って言ってたじゃない?そのときの上司がお礼にってくれたのよ!しかもペアチケット!」
……それは、一緒に行こうって意味だったのでは…?
この母は大分鈍い。主に恋愛面に関して。
上司の人もデートのお誘いをしたのに気付いて貰えないなんて気の毒だなぁ。
気の毒な上司の人を思って遠い目をしていると、久しぶりのネズミの国が嬉しいのかうきうきしながら運転している母が目に入って、この母に「一緒に行きましょう」と素直に言えなかった上司の人が悪いなと思い直してとりあえず楽しんでおこうと窓の外を眺めた。
冬の真っ青な空はどうぞ楽しんでおいで!と言っているようで思わず笑顔になった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ネズミの国に着いて一番最初に向かったのはグッズショップだった。
そこでやっと、家を出る前に被っていたニット帽とマフラーを没収された理由がわかった。
母が手に取っているのは、ネズミの国らしい女の子の好きそうな可愛らしいもふもふのダッ○ィーのファンキャップとグローブとマフラーだった。全部ダッ○フィーで揃えられているのを見てそういえば母は○ッキーとミ○ーよりもダッ○ィーとシェ○ーメイの方が好きだったなあと思った。現実逃避である。
会計を済ませたあと案の定買ったグッズをキラキラした目で渡そうとしてくる母に負けて、ダッ○ィーのグッズを身につけた。
母はと言うとノリノリでシェ○ーメイのグッズを身につけて「ペアルック~!」と言って喜んでいる。
まぁ、良いか。
周りを見てみると何人かグッズフル装備の男性がいた。その隣にはだいたい恋人らしき女性がいて、幸せそうに歩いていた。
……それを見たらなんだかモヤモヤしてきて、何となく空のことが頭を過ぎった。
そういえば、空もこのテーマパークが好きだったな。
「…お!…………碧!」
ぼーっとしていると、母が顔を覗き込みながら僕の名前を呼んでいた。
「あ、ごめん。どうしたの?」
「もう!せっかく来たんだからぼーっとしてないで楽しく遊びましょうよ!」
何に乗る?それとも買い食いする?お昼ご飯はまだ早いわよねぇ?なんて、マップを見ながらそわそわ問いかけてくる。
僕はネズミの国には特に興味はないし、好きなキャラクターもいないけれど、まるで絵本の中に入ったような場所にいるといつもより少しだけテンションが上がった。
何をするのか決めたらしい母の隣を歩きながら密かに心を躍らせていると、
前方から『あ!!』っと声が上がった。
そちらを見ると男女何人かのグループがこちらに手を振りながら近付いて来た。
そっと目を開けるけれど、何故自分が泣いているのか分からなかった。
いつもそうだ。
寝て起きたときに泣いていても、何故自分が泣いているのか覚えていない。
何か夢を見ていたことは覚えているのに
内容を思い出すことが出来ない。
何か、何か大事なことのはずなのに、
今日は土曜日。
学校に行く必要もない。
だから、もう一度眠ったらわかったりしないだろうか?
馬鹿な考えだなと自分でも思うけれど、
そうならいいのにと思う。
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目が覚めて時計に目をやると10時30分といういつもより大分遅い時間だった。
のそりと起き上がると寝過ぎたせいか頭が内側から鈍く痛んだ。
しばらくベッドの上で壁に背中を預けて考える。
結局夢の内容は分からなかっった。
今日1回目に目が覚めたときのなんと言い表せば良いかわからないさびしさが、いつもなら気にしないようなことを頭から消してくれない。
もう少しで何かがわかるようなモヤモヤした気持ちが胸に積み重なってとぐろを巻いているようななんとも言えない苦しさを産む。
僕は一体何を見たのだろうか?
つらつらと考えても仕方の無いことを考えていると、思考を中断させるようにがちゃりと部屋のドアが開いた。
そこからこちらをそっと覗いたのは、母だった(家にいるのは母と僕しか居ないのだから当然といえば当然である)。
「あら碧起きてたのね~!」
いつも通りの明るい母を見ていたらモヤモヤと考えていたことが何となく今ではなくていいような気がした。
「うん、今日はちょっと寝過ぎたよ。」
頭が痛いや、なんて言ってみる。
くすくすと母に笑われて、僕も可笑しくなって笑った。
そうそう、と母が思い出したように笑うのをやめて話し始めた。
「今日、何も予定がないなら一緒にテーマパークにいかない?」
某テーマパークのペアチケットを差し出しながら、もちろん行くわよね!と目をキラキラさせている母にいかないとは言えず、
「わかった。用意するね。」
と答える。
急いで用意をして母の車に乗り込んだときにそういえば、と思い出して、
「そのペアチケットどうしたの?」
思いつきで買うには少し高額な気がして聞いてみると、
「この間残業を押し付けられた~!って言ってたじゃない?そのときの上司がお礼にってくれたのよ!しかもペアチケット!」
……それは、一緒に行こうって意味だったのでは…?
この母は大分鈍い。主に恋愛面に関して。
上司の人もデートのお誘いをしたのに気付いて貰えないなんて気の毒だなぁ。
気の毒な上司の人を思って遠い目をしていると、久しぶりのネズミの国が嬉しいのかうきうきしながら運転している母が目に入って、この母に「一緒に行きましょう」と素直に言えなかった上司の人が悪いなと思い直してとりあえず楽しんでおこうと窓の外を眺めた。
冬の真っ青な空はどうぞ楽しんでおいで!と言っているようで思わず笑顔になった。
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ネズミの国に着いて一番最初に向かったのはグッズショップだった。
そこでやっと、家を出る前に被っていたニット帽とマフラーを没収された理由がわかった。
母が手に取っているのは、ネズミの国らしい女の子の好きそうな可愛らしいもふもふのダッ○ィーのファンキャップとグローブとマフラーだった。全部ダッ○フィーで揃えられているのを見てそういえば母は○ッキーとミ○ーよりもダッ○ィーとシェ○ーメイの方が好きだったなあと思った。現実逃避である。
会計を済ませたあと案の定買ったグッズをキラキラした目で渡そうとしてくる母に負けて、ダッ○ィーのグッズを身につけた。
母はと言うとノリノリでシェ○ーメイのグッズを身につけて「ペアルック~!」と言って喜んでいる。
まぁ、良いか。
周りを見てみると何人かグッズフル装備の男性がいた。その隣にはだいたい恋人らしき女性がいて、幸せそうに歩いていた。
……それを見たらなんだかモヤモヤしてきて、何となく空のことが頭を過ぎった。
そういえば、空もこのテーマパークが好きだったな。
「…お!…………碧!」
ぼーっとしていると、母が顔を覗き込みながら僕の名前を呼んでいた。
「あ、ごめん。どうしたの?」
「もう!せっかく来たんだからぼーっとしてないで楽しく遊びましょうよ!」
何に乗る?それとも買い食いする?お昼ご飯はまだ早いわよねぇ?なんて、マップを見ながらそわそわ問いかけてくる。
僕はネズミの国には特に興味はないし、好きなキャラクターもいないけれど、まるで絵本の中に入ったような場所にいるといつもより少しだけテンションが上がった。
何をするのか決めたらしい母の隣を歩きながら密かに心を躍らせていると、
前方から『あ!!』っと声が上がった。
そちらを見ると男女何人かのグループがこちらに手を振りながら近付いて来た。
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