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背けては居られない
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「はつみん、はつみん!」
学校、私の机に両腕と、その上に小さな頭を乗せて、少し高い声で私を呼ぶ友人。
首の角度が絶妙にあざといその毛先のはねた少々ボサボサな頭を、返事の代わりに緩く撫でると、まあるい大きな目をすっと細めて満足気に微笑んだ。
まるで猫みたいだ。
「あのね!えっちゃんがね……」
同い年のはずなのに何処かたどたどしい話し方で『えっちゃん』こと江藤優翔(えとうゆうか)、優翔ちゃんの話をし始める。
「ピューラーで野菜むいてて、手の爪まで一緒にむいた話をしてくるんだよ!」
プクッとふくらんだ頬をつつきながら話を聞いていると、どうやらまた優翔ちゃんが笑い話と称して、全く笑えない少々グロテスクな話をしたようだ。
「はつみ~ん。」
若干唇を尖らせながら上目遣いで見上げてくる友人、さよちゃん(本名石川小夜里(いしかわさより))の頭を撫でながら件の人物を呼び出す。
「優翔ちゃん?ちょっとおいで?」
この時、優しく笑顔で呼ぶことを心がける。
ビクッと肩を揺らした優翔ちゃんが渋々といった様子で近くまで来た。
どうやら、先程までのさよちゃんの話が聞こえていたようだ。まぁ、大きな声で話していたから当然と言えば当然なのだけれど。
「まず、ひとついい?」
笑顔のまま問いかけると、優翔ちゃんは黙ったまま目を逸らした。
「優翔ちゃん?」
にっこりとしたまま、声をワントーン低くする。
「……。」
それでも目を合わせようとしないので、優翔ちゃんの両肩に手を置いて、
「優翔ちゃん?お返事は?」
びくりと肩が揺れた。
ダメ押しのように、一音づつ区切りながらもう一度、
「お へ ん じ は ?」
と問うと、蚊が泣いたような小さな声で、
「……はい。」
と返ってきた。
「まず、1つ目ね。ピューラーで爪を剥いた話は、笑い話とは言わないし、全く面白くもないし笑えないの。わかる?」
にっこりと反論はないよね?という気持ちを込めていつもよりワントーン低い声を意識して出した。
「……でも、ほんとに面白いと思ったんだ。」
拗ねたように目線を外しながら優翔ちゃんが言った。
「面白くない。」
ピシャリと否定をした後に続けて、
「2つ目、さよちゃんはグロテスクなの苦手なのわかるよね?」
「でも、美羽(みつは)さん。全然グロくないだろ?」
懲りない優翔ちゃんは未だに反論をしてくる。
「世間一般と価値観ズレてるのをそろそろわかってって私何回言ったっけ?」
そこまで言うと、ぐぬぬと唸って何も言わなくなった。
「優翔ちゃん?さよちゃんになんか言うことないの?」
もうわかるよね?と今度はいつもの声色で優しく問いかけた。
こくりと頷いた優翔ちゃんは、とてとてとさよちゃんに近寄って、一言
「ごめんなさい。」
と謝った。
さよちゃんは優翔ちゃんが近付いたことで今度はどんなグロい話をする気かと警戒しながら少し後ずさった。
ほんとに、猫みたいだ。
後ずさって警戒を解かないさよちゃんに、オロオロした優翔ちゃんが、
「もう言わないから、逃げないでくれ~。」
なんて言ってるのが本当に面白くて、思わず笑ってしまった。
学校、私の机に両腕と、その上に小さな頭を乗せて、少し高い声で私を呼ぶ友人。
首の角度が絶妙にあざといその毛先のはねた少々ボサボサな頭を、返事の代わりに緩く撫でると、まあるい大きな目をすっと細めて満足気に微笑んだ。
まるで猫みたいだ。
「あのね!えっちゃんがね……」
同い年のはずなのに何処かたどたどしい話し方で『えっちゃん』こと江藤優翔(えとうゆうか)、優翔ちゃんの話をし始める。
「ピューラーで野菜むいてて、手の爪まで一緒にむいた話をしてくるんだよ!」
プクッとふくらんだ頬をつつきながら話を聞いていると、どうやらまた優翔ちゃんが笑い話と称して、全く笑えない少々グロテスクな話をしたようだ。
「はつみ~ん。」
若干唇を尖らせながら上目遣いで見上げてくる友人、さよちゃん(本名石川小夜里(いしかわさより))の頭を撫でながら件の人物を呼び出す。
「優翔ちゃん?ちょっとおいで?」
この時、優しく笑顔で呼ぶことを心がける。
ビクッと肩を揺らした優翔ちゃんが渋々といった様子で近くまで来た。
どうやら、先程までのさよちゃんの話が聞こえていたようだ。まぁ、大きな声で話していたから当然と言えば当然なのだけれど。
「まず、ひとついい?」
笑顔のまま問いかけると、優翔ちゃんは黙ったまま目を逸らした。
「優翔ちゃん?」
にっこりとしたまま、声をワントーン低くする。
「……。」
それでも目を合わせようとしないので、優翔ちゃんの両肩に手を置いて、
「優翔ちゃん?お返事は?」
びくりと肩が揺れた。
ダメ押しのように、一音づつ区切りながらもう一度、
「お へ ん じ は ?」
と問うと、蚊が泣いたような小さな声で、
「……はい。」
と返ってきた。
「まず、1つ目ね。ピューラーで爪を剥いた話は、笑い話とは言わないし、全く面白くもないし笑えないの。わかる?」
にっこりと反論はないよね?という気持ちを込めていつもよりワントーン低い声を意識して出した。
「……でも、ほんとに面白いと思ったんだ。」
拗ねたように目線を外しながら優翔ちゃんが言った。
「面白くない。」
ピシャリと否定をした後に続けて、
「2つ目、さよちゃんはグロテスクなの苦手なのわかるよね?」
「でも、美羽(みつは)さん。全然グロくないだろ?」
懲りない優翔ちゃんは未だに反論をしてくる。
「世間一般と価値観ズレてるのをそろそろわかってって私何回言ったっけ?」
そこまで言うと、ぐぬぬと唸って何も言わなくなった。
「優翔ちゃん?さよちゃんになんか言うことないの?」
もうわかるよね?と今度はいつもの声色で優しく問いかけた。
こくりと頷いた優翔ちゃんは、とてとてとさよちゃんに近寄って、一言
「ごめんなさい。」
と謝った。
さよちゃんは優翔ちゃんが近付いたことで今度はどんなグロい話をする気かと警戒しながら少し後ずさった。
ほんとに、猫みたいだ。
後ずさって警戒を解かないさよちゃんに、オロオロした優翔ちゃんが、
「もう言わないから、逃げないでくれ~。」
なんて言ってるのが本当に面白くて、思わず笑ってしまった。
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