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プロローグ
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「そう?何かあったらすぐに言うのよ?」
母様は心配そうに私の顔をのぞき込みます。
「だいじょうぶでしゅ!わたしももう2しゃいでしゅかりゃ!」
「そうね、もう2歳になったのね……。ゆっくり休みなさい。」
そう言って私の額にキスをすると母様は部屋を出ていきました。
……整理しましょう。まずここは前世でプレイした「FlowersLover」、フララバの世界。まだ確信は持てないですが。
そして、もしここがフララバの世界だとするのなら私、アリシアは主人公の『アリシア・レーノン』です。
フララバの舞台となるのは、グラーデリア学園という魔力を持つものが15歳から通う学園です。
確か攻略対象は4人。
ストーリーの詳細は、いまいち思い出すことが出来ませんが……。
攻略対象のことはあまり思い出すことが出来ないのですが、このゲームの悪役令嬢のことはよく覚えています。
ハノリア・レーノン、彼女はこのガーデンベルク王国の貴族の中で二番に身分の高いレーノン侯爵家の長女です。
……そうです。彼女は私の姉なのです。
彼女はゲームの中でアリシアを苛め抜きました。ものを隠すなど小さなものから、アリシアのことを『卑しい平民の子』と呼んだり、大人数で囲んで罵ったり、家の中でもアリシアの大事なものを壊したり……。
挙げればキリがないくらいに、色々なことをしました。
……でも、私は知っているのです。
彼女は確かにアリシアをいじめます。
いじめ自体は決してしてはいけないことです。
しかし、彼女にもあるのです。
アリシアへの罪悪感が、アリシアを愛したい気持ちが、アリシアを許したい気持ちが、それでもアリシアを許せない理由が、あるのです。
私がこのフララバというゲームで一番好きなキャラクター、それは攻略対象の誰でもなく、ましてやアリシアでもなく、悪役令嬢なのです。
だから、私は彼女を助けたいのです。
助けるだなんて恩着せがましいけれど、少しでも彼女の心の奥深くにある暗い闇を取り去りたいのです。
母様は心配そうに私の顔をのぞき込みます。
「だいじょうぶでしゅ!わたしももう2しゃいでしゅかりゃ!」
「そうね、もう2歳になったのね……。ゆっくり休みなさい。」
そう言って私の額にキスをすると母様は部屋を出ていきました。
……整理しましょう。まずここは前世でプレイした「FlowersLover」、フララバの世界。まだ確信は持てないですが。
そして、もしここがフララバの世界だとするのなら私、アリシアは主人公の『アリシア・レーノン』です。
フララバの舞台となるのは、グラーデリア学園という魔力を持つものが15歳から通う学園です。
確か攻略対象は4人。
ストーリーの詳細は、いまいち思い出すことが出来ませんが……。
攻略対象のことはあまり思い出すことが出来ないのですが、このゲームの悪役令嬢のことはよく覚えています。
ハノリア・レーノン、彼女はこのガーデンベルク王国の貴族の中で二番に身分の高いレーノン侯爵家の長女です。
……そうです。彼女は私の姉なのです。
彼女はゲームの中でアリシアを苛め抜きました。ものを隠すなど小さなものから、アリシアのことを『卑しい平民の子』と呼んだり、大人数で囲んで罵ったり、家の中でもアリシアの大事なものを壊したり……。
挙げればキリがないくらいに、色々なことをしました。
……でも、私は知っているのです。
彼女は確かにアリシアをいじめます。
いじめ自体は決してしてはいけないことです。
しかし、彼女にもあるのです。
アリシアへの罪悪感が、アリシアを愛したい気持ちが、アリシアを許したい気持ちが、それでもアリシアを許せない理由が、あるのです。
私がこのフララバというゲームで一番好きなキャラクター、それは攻略対象の誰でもなく、ましてやアリシアでもなく、悪役令嬢なのです。
だから、私は彼女を助けたいのです。
助けるだなんて恩着せがましいけれど、少しでも彼女の心の奥深くにある暗い闇を取り去りたいのです。
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