3 / 4
プロローグ
2
しおりを挟む
攻略対象(ヒーロー)とヒロインが苦難を乗り越えて結ばれる。ヒロインにだけ優しい世界。
そんな世界に憧れないと言ったら嘘になってしまうけど、でも、違う。
私のヒーローは1人だけ。昔から、ずっと……。
転生、なんて、しかも前世でプレイしたゲームの世界だなんて、きっとみんな信じてはくれないのでしょう。
でも、間違いないのです。
……あの日、目が覚めて転生したことに気づいてから早3年。
高熱を出して寝込んでいた私は3日間に渡って夢を見ました。
この間までの朧気な記憶が少しだけではありますがはっきりしました。
鏡に映る自分の姿を見ながら何回目かの確認をします。
ピンクゴールドの髪にレッドピンクの瞳。
そして、私の名前は「アリシア、もう体調は大丈夫かしら?」
母様が部屋の外から声をかけてきました。
急いでベッドに潜り込んだ私は確信します。
やはり、ここは乙女ゲーム「FlowersLover」の世界で、私はその主人公、アリシアでした。
「アリシア?入るわよ。」
母様がゆっくりとドアを開けて中に入ってくる。
杖を着いた母様はゆっくりゆっくりとこちらに歩いてきます。
母様の杖については設定資料集で見た覚えがあるのだけれども思い出せません。
自分の前世のことも曖昧です。
名前が竹内杏だったということと、お父さんに殺されたことは覚えているけれど、どんな暮らしをしていたかなどは覚えていません。
「熱は下がったようだけれど、少しぼんやりしているわね。」
大丈夫かしら?なんて言いながら私の額に手を当てる母様。
でも、このままでは病弱な母様に熱をうつしてしまいます。
「おかあしゃま、アリシアはだいじょうぶでしゅ。もうしゅこしやしゅんでいりぇばきっとよくなりましゅ。だかりゃおかあしゃまもおへやにもどってやしゅんでくりゃさい。」
回らない舌を使って話したら、拙い喋り方になってしまいました。
でも仕方がないのです。
なぜならアリシアはまだ2歳なのだから。
そんな世界に憧れないと言ったら嘘になってしまうけど、でも、違う。
私のヒーローは1人だけ。昔から、ずっと……。
転生、なんて、しかも前世でプレイしたゲームの世界だなんて、きっとみんな信じてはくれないのでしょう。
でも、間違いないのです。
……あの日、目が覚めて転生したことに気づいてから早3年。
高熱を出して寝込んでいた私は3日間に渡って夢を見ました。
この間までの朧気な記憶が少しだけではありますがはっきりしました。
鏡に映る自分の姿を見ながら何回目かの確認をします。
ピンクゴールドの髪にレッドピンクの瞳。
そして、私の名前は「アリシア、もう体調は大丈夫かしら?」
母様が部屋の外から声をかけてきました。
急いでベッドに潜り込んだ私は確信します。
やはり、ここは乙女ゲーム「FlowersLover」の世界で、私はその主人公、アリシアでした。
「アリシア?入るわよ。」
母様がゆっくりとドアを開けて中に入ってくる。
杖を着いた母様はゆっくりゆっくりとこちらに歩いてきます。
母様の杖については設定資料集で見た覚えがあるのだけれども思い出せません。
自分の前世のことも曖昧です。
名前が竹内杏だったということと、お父さんに殺されたことは覚えているけれど、どんな暮らしをしていたかなどは覚えていません。
「熱は下がったようだけれど、少しぼんやりしているわね。」
大丈夫かしら?なんて言いながら私の額に手を当てる母様。
でも、このままでは病弱な母様に熱をうつしてしまいます。
「おかあしゃま、アリシアはだいじょうぶでしゅ。もうしゅこしやしゅんでいりぇばきっとよくなりましゅ。だかりゃおかあしゃまもおへやにもどってやしゅんでくりゃさい。」
回らない舌を使って話したら、拙い喋り方になってしまいました。
でも仕方がないのです。
なぜならアリシアはまだ2歳なのだから。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる