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Climax show
68話 第四の動き
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建国からおよそ三百年に渡って軍に仕え、どの時代に於いても稀代の実力者を輩出し、名声を築いてきた一族。
それが――“ピースキーパー家”。
もちろん彼ら以外にも、武芸に秀でた他の名門は存在していた。
しかしその殆どが魔神族との激しい争いなどによって志半ばで命を散らし、血脈を途絶えさせてしまっていたという。
そんな中、ピースキーパー家だけは常に戦線の第一線に身を置きながら、目覚ましい戦果を上げ続けてきたのだ。
その名家の初代当主であるフラウシェル・ピースキーパーが編み出した戦闘技術、“リーベ・グアルド”。
この技術は近接戦闘に於ける相手の攻撃の種類に応じて『極限下での最良・最適・最善な回避と防御を突き詰め、選択する』といったもの。
扱えさえすれば、“無傷での戦闘勝利”の確率が飛躍的に向上するのだ。
だが『会得には相当の素質と労苦が要する』という理由と
『敵の対象が人間よりも魔神であるケースが増加』という懸案で、軍内では必ずしも必修とされる技術では無いのが現状でもある。
魔術の技術が確立され、“魔術全盛時代”とまで揶揄されている近代に於いてなら尚更。
今では才能を見込まれた精鋭達にしかその技術は伝えられていなく、一般兵達は魔術や剣術の鍛錬に余念を割くことしか出来ないのであった。
そんな背景があるリーベ・グアルドだが、回避や防御に用いる動きは大まかに分けて3つ存在する――。
――すなわち、“躱す”・“受け止める”・“弾く”だ。
動きの詳細については読んで字の如くなので割愛とするが、この3つが相手の攻撃を防ぐ為の基本の動作となるのであった。
しかし近年、現代の技術の伝承者にしてピースキーパー家当主であるヴェルスミス・ピースキーパー。
その彼が新たな可能性として考案したとされる動きが、軍上層内で密かに話題となっていたのだ。
それが――――。
◇◆◇◆
「……あたいの攻撃を押し返した、だと? ヒト族風情のオマエが?」
『馬鹿な』とでも言わんばかりに、クィンが至近距離で対峙する男へと問い返す。
拳の怪我は腕を下ろす頃には既に修復が済んでいた。
そう、ダメージ自体は全く問題は無い。
クィンにとっては“蟻の一噛み”程度のものだったからだ。
少女が問題としているのは『何故攻撃が通じないのか』
その一点のみなのだ。
「ああ、その通りだ」
疑問に対しアダマスは、悪魔のような形相でにんまりと笑みを見せながら肯定してみせた。
彼はクィンの拳が向かってくると同時に掌を素早く突き出し、受け止めてみせた。
攻撃が最大威力を発揮する打点から手前の箇所にて止めることで、威力を未然に殺したのであった。
最初に防いだ際も同様で、当たると同時に腹部を突き出し腹筋を僅かに膨張させ、拳が触れるタイミングを早めさせていた。
そう、相手の攻撃が到達するタイミングを早めたり遅らせたりすることで威力を減少させるこの動きこそが、リーベ・グアルドに於ける第四の動き――“ずらす”なのだ。
しかしこの動き、口では簡単に説明は出来ても実際に扱うとなれば、極めて高い集中力と類稀なるほどの動体視力が要される。
ヴェルスミスですら実戦では殆ど扱った事がなく、況してや上位魔神のような難敵中の難敵相手では試す気すら起きないであろう。
(……動きの理屈自体は私にもわかる。だがそれでも、実戦で扱おうなんて思いもするものか……!)
少し離れた所にて唖然としながら、フェリィが率直な意見を心の中で口走る。
(それに、あんな使い方私は見た事がないぞ……!)
ちなみにクィンの拳が裂けたのは、対極の方向から掌や腹筋を一本の線となるように突き出した事によって、霧散される筈だった威力がそのまま自らの拳に返ってきたのだという理由。
彼女が驚いているのは、ヴェルスミスが考え生み出した新たな動きを完全に会得し、更には昇華させているその扱い方を目の当たりにしたからだ。
(これが、アダマス様の実力……!)
“戦闘狂”の名は伊達ではないというのが、彼女の脳裏に改めて刷り込まれたのであった。
「……何をした? 魔術か?」
「さあ、なんだろうな」
詰め寄るように尋ねたクィンに対し、アダマスは惚けた口調で応戦。
その態度を受けて少女はぎり、と歯を軋ませ――。
「答えろっっ!」
澄んだトーンの声で太く怒声を上げ、クィンはその場で同じ目線の高さにまで跳躍。
50アインク以上もあった身長差はなくなり、宙空にて少女はアダマスの顔面へと拳を放つ。
だがアダマスは首をくいっと傾けるだけでそれを回避。
クィンは相手に息つく暇を与えぬようにと、足を交えた連撃を更に繰り出す。
しかしやはりどれも当たらず。隙を作らねば身体に触れることすら出来ないと再確認を強いられたのであった。
「じゃあそろそろ俺の番だな、ああ」
避け続けている最中でありながらアダマス。
呟くと同時、素肌が露わとなっている少女の腹部へと左ストレートを叩き込む――。
「……効かんな」
だが、開戦早々のオープニングアタックの時と同様、アダマスの攻撃は一切のダメージを少女に与えることが出来なかったのだ。
「ああ、そうか。なら……これはどうだ?」
アダマスは特に気にするでもなく続けて次弾を放つ。
クィンの着地を待たずして、今度は山なりの軌道を描いた蹴りが少女の脳天目掛けて襲う――。
「…………!」
素足の踵によるハンマーのような一撃が、ブロンドの髪を生やした頭頂へと一直線。
当然、クィンは瞬時に攻撃の軌道から打点を割り出し、当たるであろう箇所にマナを集中させて防ごうとする。
この方法はクィンに限らず、上位魔神ならどの個体でも反射的に行う防御。
攻撃の威力にもよるが、少なくとも手足を用いた人間の打撃であれば、ダメージを十割遮断することができた。
永年に近い過去をどれだけ遡っても、この防御を看過できた者はいない、とクィンは認識をしていた。
だが――。
(――なっ!?)
アダマスの蹴りが鞭のようなしなりを見せる。そう、当たる直前にて軌道が変化したのだ。
そしてそのまま、足の甲がクィンの鼻っ面へとねじ込まれたのである。
「っっ……!?」
思いも寄らない軌道の変化にクィンは反応できず、まともに喰らってしまう。
「なんだ、効くじゃないか。ああ」
鼻を抑え、蛇口をひねりでもしたかのように真っ青な鼻血をボトボトと垂れ流しているクィン。
アダマスはそれを見下ろし、相も変わらず笑みを浮かべ続けている。
「じゃあ、次は脚だ。きちんと防いでくれよ?」
試すように彼はそう宣言すると、右脚での下段蹴りを少女の細い大腿部へと放つ――。
「――っ!」
少女は床から片足を離し、膝を上向かせ、防御の構えをとる。
しかし、迫り来る脚は再び直前で軌道を変え、少女の側頭部を思い切り蹴り抜く――。
「~~~~~~っ!」
全く警戒をしていなかった位置への被弾。
当然防ぐ事は敵わず、蹴られた衝撃でクィンはそのまま石壁へと吹き飛び、激突してしまう。
(ただの力任せではなく、技術も駆使できるのか……!)
男が見せた“絶技”とも呼ぶべき華麗な足技。
フェリィは空いた口が塞がらず、アダマスの戦いぶりにただただ目を奪われるばかりであった。
――と、その時。
教会の入り口である扉が、軋んだ音と共に開かれたのだ。
「――――っ!」
埃臭く、薄暗い聖堂内。
そこへ久方ぶりに陽光が射し込む。
背を向けていたアダマスと、へたり込んだままのフェリィは、眩しさに目を細めつつも入り口の方へと視線を送る。
「はぁ、ようやく追い付けたわ……」
逆光を背に、溜め息まじりのその言葉を吐いたのは透き通るように細い声を持つ女性。
その声を聴いただけで、アダマスは人物の特定を完了させる。
「――ああ、ジェスか。早かったな」
彼が愛称で呼んだ相手、それは――第10団士のジェセル・ザビッツァであった。
それが――“ピースキーパー家”。
もちろん彼ら以外にも、武芸に秀でた他の名門は存在していた。
しかしその殆どが魔神族との激しい争いなどによって志半ばで命を散らし、血脈を途絶えさせてしまっていたという。
そんな中、ピースキーパー家だけは常に戦線の第一線に身を置きながら、目覚ましい戦果を上げ続けてきたのだ。
その名家の初代当主であるフラウシェル・ピースキーパーが編み出した戦闘技術、“リーベ・グアルド”。
この技術は近接戦闘に於ける相手の攻撃の種類に応じて『極限下での最良・最適・最善な回避と防御を突き詰め、選択する』といったもの。
扱えさえすれば、“無傷での戦闘勝利”の確率が飛躍的に向上するのだ。
だが『会得には相当の素質と労苦が要する』という理由と
『敵の対象が人間よりも魔神であるケースが増加』という懸案で、軍内では必ずしも必修とされる技術では無いのが現状でもある。
魔術の技術が確立され、“魔術全盛時代”とまで揶揄されている近代に於いてなら尚更。
今では才能を見込まれた精鋭達にしかその技術は伝えられていなく、一般兵達は魔術や剣術の鍛錬に余念を割くことしか出来ないのであった。
そんな背景があるリーベ・グアルドだが、回避や防御に用いる動きは大まかに分けて3つ存在する――。
――すなわち、“躱す”・“受け止める”・“弾く”だ。
動きの詳細については読んで字の如くなので割愛とするが、この3つが相手の攻撃を防ぐ為の基本の動作となるのであった。
しかし近年、現代の技術の伝承者にしてピースキーパー家当主であるヴェルスミス・ピースキーパー。
その彼が新たな可能性として考案したとされる動きが、軍上層内で密かに話題となっていたのだ。
それが――――。
◇◆◇◆
「……あたいの攻撃を押し返した、だと? ヒト族風情のオマエが?」
『馬鹿な』とでも言わんばかりに、クィンが至近距離で対峙する男へと問い返す。
拳の怪我は腕を下ろす頃には既に修復が済んでいた。
そう、ダメージ自体は全く問題は無い。
クィンにとっては“蟻の一噛み”程度のものだったからだ。
少女が問題としているのは『何故攻撃が通じないのか』
その一点のみなのだ。
「ああ、その通りだ」
疑問に対しアダマスは、悪魔のような形相でにんまりと笑みを見せながら肯定してみせた。
彼はクィンの拳が向かってくると同時に掌を素早く突き出し、受け止めてみせた。
攻撃が最大威力を発揮する打点から手前の箇所にて止めることで、威力を未然に殺したのであった。
最初に防いだ際も同様で、当たると同時に腹部を突き出し腹筋を僅かに膨張させ、拳が触れるタイミングを早めさせていた。
そう、相手の攻撃が到達するタイミングを早めたり遅らせたりすることで威力を減少させるこの動きこそが、リーベ・グアルドに於ける第四の動き――“ずらす”なのだ。
しかしこの動き、口では簡単に説明は出来ても実際に扱うとなれば、極めて高い集中力と類稀なるほどの動体視力が要される。
ヴェルスミスですら実戦では殆ど扱った事がなく、況してや上位魔神のような難敵中の難敵相手では試す気すら起きないであろう。
(……動きの理屈自体は私にもわかる。だがそれでも、実戦で扱おうなんて思いもするものか……!)
少し離れた所にて唖然としながら、フェリィが率直な意見を心の中で口走る。
(それに、あんな使い方私は見た事がないぞ……!)
ちなみにクィンの拳が裂けたのは、対極の方向から掌や腹筋を一本の線となるように突き出した事によって、霧散される筈だった威力がそのまま自らの拳に返ってきたのだという理由。
彼女が驚いているのは、ヴェルスミスが考え生み出した新たな動きを完全に会得し、更には昇華させているその扱い方を目の当たりにしたからだ。
(これが、アダマス様の実力……!)
“戦闘狂”の名は伊達ではないというのが、彼女の脳裏に改めて刷り込まれたのであった。
「……何をした? 魔術か?」
「さあ、なんだろうな」
詰め寄るように尋ねたクィンに対し、アダマスは惚けた口調で応戦。
その態度を受けて少女はぎり、と歯を軋ませ――。
「答えろっっ!」
澄んだトーンの声で太く怒声を上げ、クィンはその場で同じ目線の高さにまで跳躍。
50アインク以上もあった身長差はなくなり、宙空にて少女はアダマスの顔面へと拳を放つ。
だがアダマスは首をくいっと傾けるだけでそれを回避。
クィンは相手に息つく暇を与えぬようにと、足を交えた連撃を更に繰り出す。
しかしやはりどれも当たらず。隙を作らねば身体に触れることすら出来ないと再確認を強いられたのであった。
「じゃあそろそろ俺の番だな、ああ」
避け続けている最中でありながらアダマス。
呟くと同時、素肌が露わとなっている少女の腹部へと左ストレートを叩き込む――。
「……効かんな」
だが、開戦早々のオープニングアタックの時と同様、アダマスの攻撃は一切のダメージを少女に与えることが出来なかったのだ。
「ああ、そうか。なら……これはどうだ?」
アダマスは特に気にするでもなく続けて次弾を放つ。
クィンの着地を待たずして、今度は山なりの軌道を描いた蹴りが少女の脳天目掛けて襲う――。
「…………!」
素足の踵によるハンマーのような一撃が、ブロンドの髪を生やした頭頂へと一直線。
当然、クィンは瞬時に攻撃の軌道から打点を割り出し、当たるであろう箇所にマナを集中させて防ごうとする。
この方法はクィンに限らず、上位魔神ならどの個体でも反射的に行う防御。
攻撃の威力にもよるが、少なくとも手足を用いた人間の打撃であれば、ダメージを十割遮断することができた。
永年に近い過去をどれだけ遡っても、この防御を看過できた者はいない、とクィンは認識をしていた。
だが――。
(――なっ!?)
アダマスの蹴りが鞭のようなしなりを見せる。そう、当たる直前にて軌道が変化したのだ。
そしてそのまま、足の甲がクィンの鼻っ面へとねじ込まれたのである。
「っっ……!?」
思いも寄らない軌道の変化にクィンは反応できず、まともに喰らってしまう。
「なんだ、効くじゃないか。ああ」
鼻を抑え、蛇口をひねりでもしたかのように真っ青な鼻血をボトボトと垂れ流しているクィン。
アダマスはそれを見下ろし、相も変わらず笑みを浮かべ続けている。
「じゃあ、次は脚だ。きちんと防いでくれよ?」
試すように彼はそう宣言すると、右脚での下段蹴りを少女の細い大腿部へと放つ――。
「――っ!」
少女は床から片足を離し、膝を上向かせ、防御の構えをとる。
しかし、迫り来る脚は再び直前で軌道を変え、少女の側頭部を思い切り蹴り抜く――。
「~~~~~~っ!」
全く警戒をしていなかった位置への被弾。
当然防ぐ事は敵わず、蹴られた衝撃でクィンはそのまま石壁へと吹き飛び、激突してしまう。
(ただの力任せではなく、技術も駆使できるのか……!)
男が見せた“絶技”とも呼ぶべき華麗な足技。
フェリィは空いた口が塞がらず、アダマスの戦いぶりにただただ目を奪われるばかりであった。
――と、その時。
教会の入り口である扉が、軋んだ音と共に開かれたのだ。
「――――っ!」
埃臭く、薄暗い聖堂内。
そこへ久方ぶりに陽光が射し込む。
背を向けていたアダマスと、へたり込んだままのフェリィは、眩しさに目を細めつつも入り口の方へと視線を送る。
「はぁ、ようやく追い付けたわ……」
逆光を背に、溜め息まじりのその言葉を吐いたのは透き通るように細い声を持つ女性。
その声を聴いただけで、アダマスは人物の特定を完了させる。
「――ああ、ジェスか。早かったな」
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