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Climax show
73話 真実は時として
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――たとえば今更間違った行為だと気付けたとして、犯した罪が償える訳でもないだろう。
――たとえば今更叶わない恋だと気付けたとして、この気持ちに嘘はつけないだろう。
――アタシはただ、強くなりたかっただけ。
強くなって、アウルの側に居たかっただけ――。
◆◇◆◇
「はぁっ……はぁっ……」
剣を振り終えた少年が、息を切らす。
ようやくと広場に到着したアウルは、アイネがピリムに放り投げられ火術を放たれる瞬間を目に捉えていた。
真っ先に全速力で駆け付け、地に蹲る少女と迫る業火の間に割って入り、無我夢中で剣を振るったのだった。
(いきなりすぎて斬ることしかできかったけど、何とか斬れた……。パシエンスのこの剣……スゴいな。めちゃくちゃ軽くて扱いやすい)
アウルは手元へと視線を落とし、安堵すると共に借り物の剣に向けて感嘆とする。
パシエンスから借り受けた剣は確かに、アウルの本来の装備である剣にも決して引けを取らない程の業物。しかし、火術を切り裂き両断したのは紛れもなくアウルの実力に依るものであった。
「アウルくん……すごすぎ」
その少年の背後にいたアイネが、目を丸くさせポカンとしている。
アウルがこの場へと馳せ参じてくれた事にも驚いてはいたのだが、たった今少年が見せた離れ業を目にしたことで、その驚きは既に忘却の彼方へと失せていたのだった。
「アイネ、大丈夫?」
ちらりと尻目で視線を配りつつ、アウルが心配を寄せる。
「んーと、大丈夫じゃないけど……大丈夫!」
「え? どっち?」
「大好きなピリムに殺されかけてメンタルはぼろぼろだけどケガ自体は大したことないよ~、の要約だよ!」
「わかりづらいって!」
絶体絶命なピンチの直後だというのに相も変わらずなその天真爛漫さ。
張り詰めていたはずのアウルの緊張が少しだけ緩んでしまう。
(調子狂うなあ……もう。えっとピリムは……あそこからまだ動く様子はない、か。だったら――)
「アウル~、先行かないでよ。どうして置いてくのー?」
思考を正し思慮を巡らせていたアウル。
少しだけ遅れて、今度はエリスが広場の中央へと辿り着く。
「そんな事言ってる場合じゃ……。そうだエリス、アイネを診てあげ――」
「ふぅん、そのコがエリスっていうんだあ♪ カワイイ子だね」
「――っ!?」
冬の到来を予感させるような冷たい秋風に刺されたかの如く、ぞくりと全身に悪寒が走る。
少女との距離は優に5ヤールトは離れていた。
つい数秒前にその間合いは確認をしていた上に、常に横目には姿を残していた。
だがエリスへと指示を送ろうとし、ほんの僅かだけ視線を離したその隙に接近を許してしまったのだった。
「ピリ……ム……」
冷や汗がたらりと頬を伝う。
普段の少女の運動能力は付き合いの長さと肩を並べて戦ってたこともあってか、ある程度アウルは把握をしていた。だからこその、この動揺ぶりなのだろう。
「アウル、どうしたの? 驚いちゃってぇ」
そんな少年の狼狽えなど気にすることもなく、ピリムはいつも以上に気安く接してくる。
「そうだアウル、聞いてよ! アタシね、アイネに勝ったんだよ! すごいでしょ?」
満面の笑みで喜びを口にするピリム。
その様はまるで、満点の回答用紙を見せびらかしでもするかのよう。
つい先程まで親友を手にかけようとしていたのも相まってか、その純真無垢さはひどく不気味なものだった。
「…………っ」
明らかに、ピリムの様子がいつもと異なる事にアウルは気付く。
しかし不審に思ったのもつかの間。
少女は、小悪魔的な色香を若干と漂わせながら、アウルの耳元へと囁く。
「アタシ、強くなったんだよ」
――ずっと言えずにいた。
「だからさ……言うね」
――いや、認めずにいたんだ。
「アウル、すきだよ」
少女は遂に、少年へ想いを曝け出した――。
「……え?」
藪から棒、寝耳に水、青天の霹靂――。
不意を指す言葉はいくらでもあるだろう。
それらを用い、掛けられた言葉をどれだけ噛み砕いたとしても、その唐突な告白には困惑するしか無かった。
それまでの警戒心や憂慮などは完全にあさっての方向へと消え失せ、少年は思考が停止する――。
「アウルから離れてっ!」
――エリスが割って入るまでは。
ここへと来る直前に預かっていたパシエンスの剣の鞘。
それを力強く握り締め、ピリムの後頭部をエリスが狙う。
「……なによアンタ」
背後からの急襲にも関わらず、ピリムはいとも簡単に鞘を後ろ手で受け止める。
それと同時に振り向きざま。少女はもう片方の手でエリスの喉元へと掴みかかる――。
「――っっ」
エリスは身を屈ませて回避。
次いで懐へと潜り込み、逆手で持ち替えた鞘の先端を下腹部に思い切り捩じ込む――。
「……ッ!」
肋骨の砕ける音が鈍く響いた。
ピリムの身体が“く”の字となり、そのまま石畳を転がっていく。
「エリス! やりすぎだって!」
思考停止から解かれたアウルが慌て、隣に立つエリスを諌める。
「……なにが?」
「なにが、じゃないだろ!? ピリムは人間なんだ! 今のはどう見たってやりすぎだって言ってるんだよ!」
「やりすぎ? 馬鹿を言わないで、アウル。むしろ足りないくらいよ」
「はあ? 何を言って…………っっ!」
エリスがいつも見せていた柔和な面持ち。
それはとうに失せ、殺気をまとわせた冷たい眼差しが暗く光る。
アウルは生唾をごくりと。ピンと、背すじが張力を増す。
「……アウル、先に言っておくね。“私の特性――認識は、人間にしか通用しない”。それは前、話したよね?」
「……え? う、うん」
唐突な話題の変更にアウルは怪訝を抱くが、頷いた。
それに対しエリスは、問い返されるのを拒否でもするかのよう更に言葉を紡ぐ。
「私は広場に着いてからまず、アイネちゃんと“あの子”……二人と視線を合わせてすぐに“特性”を使ったわ」
「……!」
そうだったのか、とアウルはエリスの抜け目の無さに感服する。しかしまだ、話の結論が見えてこない。
「でも、二人の“認識”を変えることは出来なかったの。多分アイネちゃんは……魔女の血が混ざっている影響だと思う。断定はできないけどね」
「…………」
徐々に、徐々にではあるが、嫌な予感がアウルの胸中でざわめいてく。
「“あの子”は人間、それは私も知っているよ。アウルの中に居たときから“あの子”の事は良く視てたし、カレリアちゃんの次に嫉妬してた相手だもん」
少しの私情を挟ませたそのあと、エリスは結論を告げる。
「――でも今の“あの子”は私やアウルと同じ、魔神の力が身体に宿っている。それだけは間違いないわ」
「……そんな……嘘だ! ありえないよ!」
アウルは首を横に振り、認めようとはせず。
しかし――。
「痛ったいなぁ、もう……」
仰向けに倒れていた少女が何事も無かったかのように、むくりと起き上がったのだ。
「……ピリム?」
アウルが恐る恐ると名を口にする。
エリスの鞘での一撃は、確実に肋の骨を砕いていた筈。
嫌な感触が音となって、自身の耳にも届いていたからだ。
その負傷の度合いから、自力で起き上がる事など到底不可能だろう。
まずは病院へと運んで行き、それから改めて『なぜこんな事態になったのか』と、本人の口から訊き出そうと思っていたのだ。それなのに――。
「なんで……」
ここへ来るまでにアウルは、自戒でもするかの如く散々と決意をしていた。
『自分の目で見てから判断を下す』と――。
しかしいざ目の当たりにしてみると認めたくない、受け入れたくない真実が、そこに在ったのだ。
「……わかって、アウル。“あの子”――ピリム・ネスロイドはもう既に、人間じゃないんだよ」
真実は時として、残酷なものである――。
――たとえば今更叶わない恋だと気付けたとして、この気持ちに嘘はつけないだろう。
――アタシはただ、強くなりたかっただけ。
強くなって、アウルの側に居たかっただけ――。
◆◇◆◇
「はぁっ……はぁっ……」
剣を振り終えた少年が、息を切らす。
ようやくと広場に到着したアウルは、アイネがピリムに放り投げられ火術を放たれる瞬間を目に捉えていた。
真っ先に全速力で駆け付け、地に蹲る少女と迫る業火の間に割って入り、無我夢中で剣を振るったのだった。
(いきなりすぎて斬ることしかできかったけど、何とか斬れた……。パシエンスのこの剣……スゴいな。めちゃくちゃ軽くて扱いやすい)
アウルは手元へと視線を落とし、安堵すると共に借り物の剣に向けて感嘆とする。
パシエンスから借り受けた剣は確かに、アウルの本来の装備である剣にも決して引けを取らない程の業物。しかし、火術を切り裂き両断したのは紛れもなくアウルの実力に依るものであった。
「アウルくん……すごすぎ」
その少年の背後にいたアイネが、目を丸くさせポカンとしている。
アウルがこの場へと馳せ参じてくれた事にも驚いてはいたのだが、たった今少年が見せた離れ業を目にしたことで、その驚きは既に忘却の彼方へと失せていたのだった。
「アイネ、大丈夫?」
ちらりと尻目で視線を配りつつ、アウルが心配を寄せる。
「んーと、大丈夫じゃないけど……大丈夫!」
「え? どっち?」
「大好きなピリムに殺されかけてメンタルはぼろぼろだけどケガ自体は大したことないよ~、の要約だよ!」
「わかりづらいって!」
絶体絶命なピンチの直後だというのに相も変わらずなその天真爛漫さ。
張り詰めていたはずのアウルの緊張が少しだけ緩んでしまう。
(調子狂うなあ……もう。えっとピリムは……あそこからまだ動く様子はない、か。だったら――)
「アウル~、先行かないでよ。どうして置いてくのー?」
思考を正し思慮を巡らせていたアウル。
少しだけ遅れて、今度はエリスが広場の中央へと辿り着く。
「そんな事言ってる場合じゃ……。そうだエリス、アイネを診てあげ――」
「ふぅん、そのコがエリスっていうんだあ♪ カワイイ子だね」
「――っ!?」
冬の到来を予感させるような冷たい秋風に刺されたかの如く、ぞくりと全身に悪寒が走る。
少女との距離は優に5ヤールトは離れていた。
つい数秒前にその間合いは確認をしていた上に、常に横目には姿を残していた。
だがエリスへと指示を送ろうとし、ほんの僅かだけ視線を離したその隙に接近を許してしまったのだった。
「ピリ……ム……」
冷や汗がたらりと頬を伝う。
普段の少女の運動能力は付き合いの長さと肩を並べて戦ってたこともあってか、ある程度アウルは把握をしていた。だからこその、この動揺ぶりなのだろう。
「アウル、どうしたの? 驚いちゃってぇ」
そんな少年の狼狽えなど気にすることもなく、ピリムはいつも以上に気安く接してくる。
「そうだアウル、聞いてよ! アタシね、アイネに勝ったんだよ! すごいでしょ?」
満面の笑みで喜びを口にするピリム。
その様はまるで、満点の回答用紙を見せびらかしでもするかのよう。
つい先程まで親友を手にかけようとしていたのも相まってか、その純真無垢さはひどく不気味なものだった。
「…………っ」
明らかに、ピリムの様子がいつもと異なる事にアウルは気付く。
しかし不審に思ったのもつかの間。
少女は、小悪魔的な色香を若干と漂わせながら、アウルの耳元へと囁く。
「アタシ、強くなったんだよ」
――ずっと言えずにいた。
「だからさ……言うね」
――いや、認めずにいたんだ。
「アウル、すきだよ」
少女は遂に、少年へ想いを曝け出した――。
「……え?」
藪から棒、寝耳に水、青天の霹靂――。
不意を指す言葉はいくらでもあるだろう。
それらを用い、掛けられた言葉をどれだけ噛み砕いたとしても、その唐突な告白には困惑するしか無かった。
それまでの警戒心や憂慮などは完全にあさっての方向へと消え失せ、少年は思考が停止する――。
「アウルから離れてっ!」
――エリスが割って入るまでは。
ここへと来る直前に預かっていたパシエンスの剣の鞘。
それを力強く握り締め、ピリムの後頭部をエリスが狙う。
「……なによアンタ」
背後からの急襲にも関わらず、ピリムはいとも簡単に鞘を後ろ手で受け止める。
それと同時に振り向きざま。少女はもう片方の手でエリスの喉元へと掴みかかる――。
「――っっ」
エリスは身を屈ませて回避。
次いで懐へと潜り込み、逆手で持ち替えた鞘の先端を下腹部に思い切り捩じ込む――。
「……ッ!」
肋骨の砕ける音が鈍く響いた。
ピリムの身体が“く”の字となり、そのまま石畳を転がっていく。
「エリス! やりすぎだって!」
思考停止から解かれたアウルが慌て、隣に立つエリスを諌める。
「……なにが?」
「なにが、じゃないだろ!? ピリムは人間なんだ! 今のはどう見たってやりすぎだって言ってるんだよ!」
「やりすぎ? 馬鹿を言わないで、アウル。むしろ足りないくらいよ」
「はあ? 何を言って…………っっ!」
エリスがいつも見せていた柔和な面持ち。
それはとうに失せ、殺気をまとわせた冷たい眼差しが暗く光る。
アウルは生唾をごくりと。ピンと、背すじが張力を増す。
「……アウル、先に言っておくね。“私の特性――認識は、人間にしか通用しない”。それは前、話したよね?」
「……え? う、うん」
唐突な話題の変更にアウルは怪訝を抱くが、頷いた。
それに対しエリスは、問い返されるのを拒否でもするかのよう更に言葉を紡ぐ。
「私は広場に着いてからまず、アイネちゃんと“あの子”……二人と視線を合わせてすぐに“特性”を使ったわ」
「……!」
そうだったのか、とアウルはエリスの抜け目の無さに感服する。しかしまだ、話の結論が見えてこない。
「でも、二人の“認識”を変えることは出来なかったの。多分アイネちゃんは……魔女の血が混ざっている影響だと思う。断定はできないけどね」
「…………」
徐々に、徐々にではあるが、嫌な予感がアウルの胸中でざわめいてく。
「“あの子”は人間、それは私も知っているよ。アウルの中に居たときから“あの子”の事は良く視てたし、カレリアちゃんの次に嫉妬してた相手だもん」
少しの私情を挟ませたそのあと、エリスは結論を告げる。
「――でも今の“あの子”は私やアウルと同じ、魔神の力が身体に宿っている。それだけは間違いないわ」
「……そんな……嘘だ! ありえないよ!」
アウルは首を横に振り、認めようとはせず。
しかし――。
「痛ったいなぁ、もう……」
仰向けに倒れていた少女が何事も無かったかのように、むくりと起き上がったのだ。
「……ピリム?」
アウルが恐る恐ると名を口にする。
エリスの鞘での一撃は、確実に肋の骨を砕いていた筈。
嫌な感触が音となって、自身の耳にも届いていたからだ。
その負傷の度合いから、自力で起き上がる事など到底不可能だろう。
まずは病院へと運んで行き、それから改めて『なぜこんな事態になったのか』と、本人の口から訊き出そうと思っていたのだ。それなのに――。
「なんで……」
ここへ来るまでにアウルは、自戒でもするかの如く散々と決意をしていた。
『自分の目で見てから判断を下す』と――。
しかしいざ目の当たりにしてみると認めたくない、受け入れたくない真実が、そこに在ったのだ。
「……わかって、アウル。“あの子”――ピリム・ネスロイドはもう既に、人間じゃないんだよ」
真実は時として、残酷なものである――。
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