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訪問者の依頼
しおりを挟むソイツは席に腰掛け、長い足を組んだ。どこまでも偉そうな態度だが、嗜める気にもならない。
「依頼引き受けてくれよ。だってお前儲かってないだろ?今日客来たのか?」
「山下様がいらした。骨花を買ってお帰りになったよ。あと錠前。最近はまっているらしい」
「へぇ。良かったじゃないか。骨花が一つ売れれば、お前なら一ヶ月は生活出来るからな。安いものばっか食ってるもんな」
私は黙った。コイツと親しく話したくはない。そんな私にお構い無く話続ける。
「たまにはインスタントラーメン以外も食べなきゃ脚気で死ぬぞ。代々引き継いできた店だろ?後継ぎも残さず死ぬのは親不孝だぞ」
「俺はもうこの店を酒屋からアンティークショップに変えた時点で親不孝だろ」
「そりゃそうか。でもお前の親父さんも爺さんの工場を酒屋にしたんだから、二代揃って家業を継がなかったわけか。面白いな」
鼻で笑うソイツに対してイラつきながら言う。「で?何の依頼だ?」
「ああ、依頼しなきゃな。実は、俺に骨花を作ってほしいんだ」
「無理だな」即答だ。
「は?何でだよ」
意外な返事だったのか、声を荒げた。
「まず、骨がない。猟友会の慎さんから骨をもらっているが、最近使い切ってストックがない。それに、時間もかかる。依頼ってことは時間が限られるだろう?その時間内に終わらせるのはきっと無理だ」
使えねえな、というふうに舌打ちする。
「お前、よくそんな商売根性で生きてきたな。そこは、なんとか頑張ります!って言うのが商売人だろ」
「人それぞれのやり方ってもんがある。話は終わった。帰れ。力になれなくて悪いな」
心を込めずに謝罪する私を、慌てて引き留めた。
「待て、お願いだ。期限はいつでもいいんだ。それに骨だって自分で準備する。お前の余った時間を最大限に使って、最高の骨花を作ってもらえればいい」
こんなにも食い下がった姿を見たことがなかった。それで、少し話を聞いてみようと思った。
「何でそんなに必死なんだ?」
「別になんだっていいだろ。金ならいくらでも払うから」
「だけど骨を集めるのも楽じゃない。きっと大変だろう」
「俺は誰かと違って間抜けじゃあない」
馬鹿にしたように鼻で笑う。その態度が気に食わなくて、やめておくことにした。
「検討してみるよ。でも期待するな」
「色好い返事を待ってるぜ」
遠回しに断っても無駄のようだ。聞こえるように大きな溜め息をつく。
ソイツは立ち上がると、あばよと言い残して去って行った。
体の力が抜けて椅子に座る。無意識に体が強張っていたようだ。
二度と彼が現れないことを祈り、テーブルに伏せた。
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