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「あなたは剣よりも魔法が得意なのだから、そちらをどうにかしましょう」
王都へと向かう道中、マキシムには剣術を諦めさせ、魔法に特化させるようにした。休憩の度に魔法の練習に付き合う。
私の以前の印象では攻撃魔法が得意だったと思っていたがどうも違うようで、それは本人も思うところだったようだ。
「ファイアアロー!」
「アイスアロー!」
「サンダーアロー!」
「全然ダメだ!なんで!?うおおおぉ!吹けよ風、呼べよ嵐!マウンテンストーム!!」
一通り叫び終えて力尽きたのか仰向けに倒れてしまった。
「とーさま、だいじょうぶ?」トトトトと走り寄る息子が可愛い。錐揉式に飛びついてぷくぷくなほっぺに頬擦りしたいわ。結局蟠りを感じていたのは私だけで、カミーユは嬉しそうにしてくれていたのだということが、あれから一緒に過ごすようになってわかったのだった。私の膝の上で居眠りし出した時なんて、言葉に出来ない感情が溢れ出して叫びそうになったほどよ!乳母に落ち着かせてもらったから大声でカミーユを起こさずに済んだわ。
一方ではマキシムが「なんでだぁ、魔法なんて技名叫んで力込めれば出るんじゃないのか……?」と鼻声でぼやいている。よくよく見れば目にもうっすら涙が溜まっているようだ。私もまさかここまでとは思わなかったので頭が痛い。どうしたものかしら……
「攻撃が駄目なら防御とか……?」
何気なく言った一言だったが、マキシムはぱぁっと顔を明るくして立ち上がった。
「それだ!ようし、ガードウォールぅぅぅお!?」
何とも締まらない詠唱になったが、マキシムの前面には確かに魔法の障壁が張られているようだ。
「マキシム、そのままで」
カミーユを後ろに下がらせ、剣で軽く小突いてみる。
「成功ね、ちゃんと出来ているわ」
「ううぅ、良かった……良かったよう!これでみんなを護れる……ぅおお゛お゛ん゛」
その場で泣き崩れる旦那のあまりのその様に素直に喜べなくなってしまったけど、カミーユが頭をよしよしと撫でているのを見て、ちょっと可笑しくなって私も一緒に頭を撫でていた。
王都へと向かう道中、マキシムには剣術を諦めさせ、魔法に特化させるようにした。休憩の度に魔法の練習に付き合う。
私の以前の印象では攻撃魔法が得意だったと思っていたがどうも違うようで、それは本人も思うところだったようだ。
「ファイアアロー!」
「アイスアロー!」
「サンダーアロー!」
「全然ダメだ!なんで!?うおおおぉ!吹けよ風、呼べよ嵐!マウンテンストーム!!」
一通り叫び終えて力尽きたのか仰向けに倒れてしまった。
「とーさま、だいじょうぶ?」トトトトと走り寄る息子が可愛い。錐揉式に飛びついてぷくぷくなほっぺに頬擦りしたいわ。結局蟠りを感じていたのは私だけで、カミーユは嬉しそうにしてくれていたのだということが、あれから一緒に過ごすようになってわかったのだった。私の膝の上で居眠りし出した時なんて、言葉に出来ない感情が溢れ出して叫びそうになったほどよ!乳母に落ち着かせてもらったから大声でカミーユを起こさずに済んだわ。
一方ではマキシムが「なんでだぁ、魔法なんて技名叫んで力込めれば出るんじゃないのか……?」と鼻声でぼやいている。よくよく見れば目にもうっすら涙が溜まっているようだ。私もまさかここまでとは思わなかったので頭が痛い。どうしたものかしら……
「攻撃が駄目なら防御とか……?」
何気なく言った一言だったが、マキシムはぱぁっと顔を明るくして立ち上がった。
「それだ!ようし、ガードウォールぅぅぅお!?」
何とも締まらない詠唱になったが、マキシムの前面には確かに魔法の障壁が張られているようだ。
「マキシム、そのままで」
カミーユを後ろに下がらせ、剣で軽く小突いてみる。
「成功ね、ちゃんと出来ているわ」
「ううぅ、良かった……良かったよう!これでみんなを護れる……ぅおお゛お゛ん゛」
その場で泣き崩れる旦那のあまりのその様に素直に喜べなくなってしまったけど、カミーユが頭をよしよしと撫でているのを見て、ちょっと可笑しくなって私も一緒に頭を撫でていた。
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