前世で不遇すぎたおっさん、女神に憐れまれてチート貰ったので好きに生きてみる

紫楼

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二章

アトス ⑤

 宿に戻ると良い香りがした。夕食の準備中といったところか。断ったのはもったいなかったかな。でも久々に一人になれるので存分にボッチを堪能する。
 受付で鍵を貰って部屋に入るとすぐに〈ルーム〉だ。

 買い物に出る前に風呂に入ったから気分的に余裕がある。脱ぎ捨てて歩かずにリビングで上着や装備をまとめて置いた。
 冷蔵庫から缶ビールを出して飲みながらさっき買った野菜を料理に使う。
 こっちの野菜はこっちの野菜だけ使って料理だ。カレーにでもと思ったが王都まで行く間のスープを作ることにした。なにもかもごった煮だ。
 外では凝ったものが食べられないし、オッサンたちが腹に溜まるものがないと切なそうにしているので具材は大きめに。野菜だけでは物足りないので〈無限収納〉に入れてある魔獣肉を軽く焼いてから混ぜた。
 ついでにピザ生地も追加だ。ほかの連中もちょいちょい食うので減りが早い。メシの礼にと干し肉やら道中に狩った肉をくれたりするので一応ウィンウィンだ。
 下手したら肉の方が高いかもな……
 冷蔵庫のビールが尽きたので段ボール箱から出して冷やしておく。

 煮込んでいる間にタバコで一服だ。
「……ふー」
 ゆっくりと口の中に広がる苦味がうれしい。
 咥えタバコでスマホを開いて〈ネットショピング〉で今夜のメシを検索する。
 物産展コーナーは北陸だった。カニ食いたい。場所が違うだけで弁当やラーメン、酒と好きなものに手を出すので他の物産展と買うものは似たり寄ったりだ。
 でもうまそうなものが多くてついポチポチ。
 有名らしい和菓子屋や洋菓子屋の品物も買う。
 地酒と鯖寿司や海鮮弁当は当然たくさん買いだめしたぞ。
 物産展のものは神たちも絶対欲しがるからまとめ買いで〈贈る〉ボタンを押す。

 そんなわけで今夜のメシはベタにマス寿司とラーメンに決めた。
 まずはラーメンを。うまいよ。久しぶりのラーメンはやべぇだろ……我を忘れて三杯食った。〈無限収納〉に入れればのびない冷めないなので追加でいろんな名店のを買ってしまった。勢いってやばいよな。我に返ってみたら〈無限収納〉の中に九州のラーメンもいっぱい入ってたさ……
 落ち着いたので一回スープの鍋の火を落としてから、マス寿司と日本酒タイムだ。
 ついでなのでカニもだす。ボイルされた毛ガニだ。
 俺はミソはあまり好まないので本当は食べやすいタラバ脚で十分だが、味わいのしっかりした毛ガニは最高に酒に合う。
 酒もカニもチマチマ食べていたら、深夜だ。風呂でまったりしてから寝た。

 朝はコーヒーを立ててトーストにハムのっけて思い出す。宿のメシを断ってないのを思い出して、慌てて口の中に突っ込んで、タバコを一本だけ吸って着替えて〈ルーム〉を出た。
 部屋を気持ち荒らしてから階下に下りるとふわっと料理の匂いが。
 食堂に入って声を掛けるとすぐに席に案内されて料理が出てきた。さすが高級宿。
 料理はシンプルに野菜を炒めたものと肉厚のハムを焼いたもの、具の少ないスープだ。多少香辛料の味がする。わりとうまい。
 トーストを食べた後だが、しっかり食べれた、若さって素晴らしい。

 ギルドに向かってみると朝の喧騒で混雑だ。〈隠者の指輪〉を使って気配を薄くしてダンジョンかダンジョン付近で依頼が出ていないか依頼板を見てみた。
 ダンジョン内の薬草採りがあったのでそれにしようと思ったら若い冒険者と手が重なったので譲った。俺は心遣いのできるおじさん。
 まぁ、何か倒せば稼ぎになるのでいいかととりあえず受付にダンジョンに向かうことを伝えるかとマルシアさんの列に並んだ。もう怒られたくないからな。

 大人気列だから待ち時間が長く……癖が出る。思わずタバコを出して吸ってしまった。

 ザワザワ……
 
 何か変わった匂いがするけど元がなんだといった感じにみんなキョロキョロしている。〈隠者の指輪〉の効果は低めにしていたけど結構効果が高かったのか……

「ちょっと来い」
 やらかしたーと思っていたら、朝帰りらしいドットたちにギルドの奥の階段を上って二階に連れていかれた。







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