ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
785 / 787
三章

773話

 アランとジェイクが、ツァイトの背に革製のベルトと鞍? 椅子かな? のような道具を装着する。
 私、恐竜の着ぐるみを着た人におんぶされるような見た目になるのでは?
「ぎゃう」
 ツァイトが伏せの状態で「乗って」と合図をくれる。アランにひょいと持ち上げられて、ツァイトの背にに乗せられ、腰に緩めのベルトを巻かれた。
 手綱と鎧を使ってする合図を説明される。
 ツァイトは私の元に来る前にラヴァたちから人間との関わり方を、騎士さんから騎獣としての初級訓練を受けているんだって。まだ子供なのにすごいね。
 
「今日は飛行訓練はしませんので、ご心配なく」
 ワイバーンに乗って移動する感覚を掴めってことみたい。
 むー、騎士さんたちには生温かい目で見守られてる…視線がすごいよ。
「よし、ツァイト、ゆっくりな」
 アランがツァイトの首を撫でて指示を出す。
 ツァイトが体を起こすと視界が高くなった。
「グギャ!」
そうしてツァイトが体を極力揺らさないようにゆっくりと歩き出すと、騎士さんたちが「「「おー」」」とガッツポーズをしたりサムズアップをしたり。

 ・・・ちょっと楽しい。
 いつもはジュリアスさまが後ろにいて支えてくれたけど、一人で乗ってるって言うこの状況が新鮮で面白い。
 でもやっぱり視線が。
 自分の姿は見えないのでどう見られてるのか。
 なんとなくだけど、田舎の遊園地にある小さい子向けの大きな動物の乗り物とか、子供用電動自動車に乗っている、我が子を見守っている親のような視線だと思う。
 身長が小さいだけなのに、もうガリガリじゃないのに。いつまで経っても子供を見守る保護者目線で見てるんだよ。

「グルォー」
「グォオオオオォ」
 ゆっくり歩くツァイトにラヴァたちより若いワイバーンたちが何か声を掛けているみたい。
「グアァグァ」
 何かを言い返す仕草をしたツァイトは怒ってるのかな? ワイバーンたちに文句を言われてるような気もする。

(主、あやつらは自分達が主の騎獣に選ばれなかったことと、ツァイトが小さくなれて自分達と違う暮らしをするのが羨ましいんだの)
 アズライトが念話で話しかけてきた。
(きっとツァイトだけ美味しいものを食べているに違いないと言っておるの)
 食いしん坊か。
(本音は可愛い主を乗せてズルい、であろうの)
 あら?
(あそこを見てみるとわかるの。筋肉質でむさ苦しい男ばかりじゃからのぅ、可愛い子供を乗せる機会なんて滅多にないから文句が出るのも仕方ないとラヴァたちが言っておるの)

 私がワイバーンだったら、マッチョを乗せられたら感動に打ち震えるけどなぁ。
 好みの問題は仕方ない。
 ワイバーンたちもグレーデンの人たちも可愛いものが好きすぎるからね。

「グォグォ」
 ツァイトが私を振り返って何か話してる。
(少し駆け足になってもいいかと言っておるの)
 アズライトの通訳で私はツァイトの耳の下あたりを撫でてて「ゆっくりね」と伝える。
 鎧に足をしっかりかけて、綱を短めの持ち替えて前傾になって振り落とされない姿勢をとった。

「「「「おおーー! 奥方様しっかりー」」」」
「「「グギャオォオオー!」」」
と、騎士さんたちに応援されてしまう。
 姿勢を変えただけなのにワイバーンも騎士さんたちも大騒ぎだよ。あなたたち、私のことは良いから訓練に戻ってよね。

 タッタッタッタッとツァイトがこ気味よく駆けると、初めての騎乗がうまくできたつもりになって嬉しくなる。お義父さまに肩車されてるのと大差はないんだけど、自分が手綱を持ってるっていう体験が、少しだけ自信につながる気がする。

 アランたちが後ろから走ってついてきて、私が落ちないように見守ってくれている安心感も大きい。
(何かあれば我が魔法で受け止めるからの、心配は何もないの)
 それは先に言っておいてよね。

 しばらくツァイトがゆっくり駆けてくれてたら、騎士さんとワイバーンたちが、訓練放棄していることがルークの耳に入ったようで雷が落ちたよ。

 お昼は、ワイバーンたちと食べるためにバーベキューになったので、今日はみんな訓練にならないよ。

 私の騎乗訓練は結局、屋敷の厩舎近くでやることになった。
 何かあったらジュリアスさまがすぐ駆けつけられるようにってことだったけど、私には護衛も付いてて、アズライトたちもいるからとルークが説得したそう。



_____________

 間が空きまして申し訳ないです

 別作の大幅改稿中で、脳みそがキャパオーバーです
そして自分の文章の書き癖がひどいのでこれも全部直したくて

 なるべく更新したいので脳のリフレッシュをしつつ、頑張りたいと思います。

 急に気温が下がって風邪をひきやすい季節になりました
 皆様もご自愛くださいね

感想 6

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』

富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間―― 目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。 そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。 一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。 選ばれる側から、選ぶ側へ。 これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】モブなのに最強?

らんか
恋愛
 「ミーシャ・ラバンティ辺境伯令嬢! お前との婚約は破棄とする! お前のようなオトコ女とは結婚出来ない!」    婚約者のダラオがか弱そうな令嬢を左腕で抱き寄せ、「リセラ、怯えなくていい。私が君を守るからね」と慈しむように見つめたあと、ミーシャを睨みながら学園の大勢の生徒が休憩している広い中央テラスの中で叫んだ。  政略結婚として学園卒業と同時に結婚する予定であった婚約者の暴挙に思わず「はぁ‥」と令嬢らしからぬ返事をしてしまったが、同時に〈あ、これオープニングだ〉と頭にその言葉が浮かんだ。そして流れるように前世の自分は日本という国で、30代の会社勤め、ワーカーホリックで過労死した事を思い出した。そしてここは、私を心配した妹に気分転換に勧められて始めた唯一の乙女ゲームの世界であり、自分はオープニングにだけ登場するモブ令嬢であったとなぜか理解した。    (急に思い出したのに、こんな落ち着いてる自分にびっくりだわ。しかもこの状況でも、あんまりショックじゃない。私、この人の事をあまり好きじゃなかったのね。まぁ、いっか。前世でも結婚願望なかったし。領地に戻ったらお父様に泣きついて、領地の隅にでも住まわせてもらおう。魔物討伐に人手がいるから、手伝いながらひっそりと暮らしていけるよね)  もともと辺境伯領にて家族と共に魔物討伐に明け暮れてたミーシャ。男勝りでか弱さとは無縁だ。前世の記憶が戻った今、ダラオの宣言はありがたい。前世ではなかった魔法を使い、好きに生きてみたいミーシャに、乙女ゲームの登場人物たちがなぜかその後も絡んでくるようになり‥。    (私、オープニングで婚約破棄されるだけのモブなのに!)  初めての投稿です。  よろしくお願いします。

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。 【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】 本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。 Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited. © 魯恒凛 / RoKourin

世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました

由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。 ——皇子を産めるかどうか。 けれど私は、産めない。 ならば—— 「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」 そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。 毒を盛られても、捨てられず。 皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。 「お前は、ここにいろ」 これは、子を産めない女が ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。 そして—— その寵愛は、やがて狂気に変わる。