ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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三章

167話

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 翌朝、朝食を食べながら、お義母さまが「訓練場に見学に行きましょうねぇ」って誘ってくれた。
 お義父さまの訓練とか見たすぎるけど危なそうだからダメだと思ってたのでちょっとびっくり。
「母上、母上も危ないんで訓練場に近付かないでください」
「いやよぉ!旦那さまの剣術が見られる機会なんて滅多に無いのよう?」
 ジュリアスさまが渋い顔で却下したけどお義母さまは譲らない。

「兄上、さすがに母上がいたら全力出して危険な目に遭わせるなんてことはないはずなんで良いんじゃないですか~」
 セリウスさまの取りなしでジュリアスさまが折れた。

「セバスチャン、ルーデウス、すまないが今日は母上とリーシャについていてくれ」
 ジュリアスさまは普段はルルゥって呼ぶのに騎士とかの仕事の時はルーデウスって言っちゃうっぽい?

「承知いたしました」
「了解したわぁ」

 セバスチャンとルルゥは結界術や防御が得意だそうで、アランやジェイクに追加で護衛に加わってくれるそう。
 ちなみにお義母さまは外出時だけ護衛が付くけど特定の人はいない。いざという時は自身で多少応戦できるし、普段は元騎士の侍女さんたちが付いてるからって。
 お義母さまカッコ良すぎる。

「護身術も淑女の心得よぅ!でもリーシャちゃんは習っちゃダメよぅ!だって抵抗できちゃうと余計に攻撃してくるバカもいるから危険ですものねぇ」
 以前そう言われた。攻撃されちゃうならお義母さまはなぜ良いのか?ちょっと解せぬ。
 でもならず者みたいな相手なら体格差やリーチを考えると達人クラスまで上達しないと勝負にならないかなって思って納得?

 ジュリアスさまはお仕事休んで付いていたいと言ってくれたけど、サーキスさまに引きずられてご出勤。合掌。

 お義母さまの抱っこで訓練場まで運ばれると、騎士さんたちが訓練場の家具や備品を運び出していた。
「いくら建物が頑丈でも中身は保たないっすから」
 なんてこったい!!

「リーシャさま、錬金術用のお部屋は結界張りますね」
 唖然としていたらセバスチャンが術を掛けてくれた。
 中は薬品や薬草のために〈状態保存〉掛けてあるから道具なども壊れないだろうけど、どんだけ~。

「大奥様、奥様、絶対に私の側を離れないようにお願いしますよ」
 セバスチャンが念押しした。
「わかってるわぁ」
「わかりました」
 普段はジュリアスさまのそばに控え、柔和に笑ってジュリアスさまをやり込めたりはしてるけど、ちょっと取っ付きやすそうなイメージなのにいざとなるとキリっとなるんだね。
 ルルゥも今日は口数少なく控えてる。

「整列!!」
 アンゼリカさまたちと屋敷に詰めてる護衛騎士さんたちが集まって、お義父さまに敬礼。
「ワシは全員でも良いんじゃがさすがに狭いでのぉ、勝ち抜きで残った10人と稽古をするぞ」
「「「「「「はっ!!よろしくお願いします」」」」」」

 なんか自衛隊が紹介される番組とかこんな感じでやってたよねぇときっちり揃って動く様子を眺める。

 お義父さまは今立っている場所でそのまま見守るようだ。

 
 くじ引きで男女関係なく対戦相手を決めて訓練場の中で三つの場所に分かれて試合始めた。 
 迫力満点の剣術をお義母さまと観戦。

「あらあの子の動き良いわねぇ」
「いえ、あちらの方が上手い返しをして隙をうまく作っていますよ」
「そう~?私はあっちの子、体幹がしっかりしてるから良いと思うわぁ」
 お義母さまとセバスチャン、ルルゥで少し若い騎士さんたちを見定めている。
 剣の扱いが上手いとか足捌きとか言われてもそうなんだーくらいしか言えないけど、それぞれ研鑽を積んできているのは見て取れる。

「あの子、アンゼリカを模倣しすぎて動きが悪くなってるわねぇ」

「あっちはロジャーさんですね」

 どうやら憧れている人に寄せすぎたりしている人がいるらしい。

「悪くは無いですが向き不向きはありますからね」

 しばらく経ったら10人になったのでついにお義父さまが動く。

 一人ずつ相手をするのかと思ったらなんと10対1。

 お義父さまを中央にみんなで取り囲む。
 間合いを詰めようとジリジリ足を動かしている人もいるがお互いを見合ってなかなか動けない。
 まだお義父さまは剣に手をかけてもいない。

 焦れたのか10人の中で比較的若い青年が切り掛かった。

「ヤァ!!」
 
 ドン!

「はっっぁ!!」
 隙を見たつもりの女性騎士が突進した。

 ッザザー!
 
 一瞬で二人が後ろ向きに倒れた。

 
 これは訓練になってるの?
 撃ち合いをするとばかり思ってたんだけど一瞬で終わってる。

「叔父上、もう少し遊んでくれないと」
「んー?薙ぎ払っただけじゃがのう」

 そうまだ剣抜いていない。

「相変わらず容赦ないな」
 アンゼリカさまが上から、マデリーさんが下から切り掛かって、残りの六人が横から切先を向けるとやっと剣を握りスッと横に薙ぎ払う。
 六人は四方に吹き飛んで、アンゼリカさまとマデリーさんだけが避けた。
 でもお義父さまの剣は鞘から抜かれてもいない。

「大旦那さま、さすがにもう少し容赦してあげて・・・」
 セバスチャンが思わず口に出すとお義母さまがコロコロ笑う。
「セバスチャン、手を抜いて相手するなんて真似、旦那さまができるわけないでしょう?どれだけ若くても現場に出てる騎士相手に手を抜くなんて失礼なことしないのよぅ」
 それはそうでしょうけども、力量が違いすぎて切ないよ。

 アンゼリカさまが他と間合いを気にしなくて良くなったっからか先程より大胆に剣を振る。

「大振りは良いが脇が甘い」
 
 お義父さまが楽しそうに左右に動く。さっきまでほとんど動いてなかったのに。
 ってことはアンゼリカさま結構すごいんじゃ?
 アンゼリカさまがお義父さまに打ち込む間にマデリーさんは腰から下を狙ってるけどお義父さまは剣の鞘で軽く弾く。

「相変わらず動きが単純ねぇ」

 ルルゥがアンゼリカさまを見ながら呟く。

「ルルゥ?アンゼリカさまのこと苦手なの?」
 昨日も地?が出ちゃったりしてたし。

「いいえ~?でも学園時代を知られてるからやりにくいのよねぇ?」

 ぬ?アンゼリカさまの年齢が予測できちゃうぞ!

「私がまだ純粋で大人しかった頃なんて知られてて嫌だもの~」
「いや貴方に純粋だった頃などない」
「失礼ねぇ!!」

 どうやらセバスチャンも近い年齢だね。
 ルルゥはジュリアスさまと一つ違いって聞いてた気がする。

「うふふ、ルルゥは何気に可愛いのよう?」
「はぁ?」
「ええ?」
 お義母さまが言うとセバスチャンは納得いかなげでルルゥは不思議そうになった。

 ゴオッ!!
 突然爆風が起きてルルゥが私たちを庇ってシールドを展開させるとセバスチャンが結界の魔法陣をすぐさま空に描き出す。

 お義父さまを見ると満面の笑顔のアンゼリカさまが闘気を漲らせて剣を振り下ろしてそれをついに鞘から抜いた剣で受け止めている。
 マデリーさんは今の爆風で剣を飛ばしちゃって終了。

「あははは!初めて叔父上に剣を抜かせた!!」

 おおぅ!

 お義父さまの剣捌きはぶっちゃけ早くて見えない。ただ軽くアンゼリカさまをいなして全くダメージがないのはわかる。

 何度かの打ち合いで私たちの周りの結界はビリビリと限界を訴えて、セバスチャンもルルゥも少し汗をかいてる。

 そしてリックさまが施してくれた堅固な術の集大成である訓練場の壁にヒビが!!!
 すでに壁に植え込んであった私の訓練用の的は割れて弾け飛んでる。風圧すごいな。

「そこまで!!!」

 お義母さまが声を掛けるとお義父さまが止まった。

 アンゼリカさまの勢いが止まりきらなかったのをルルゥが風魔法で邪魔して反らせた。

「旦那さま、やっぱり旦那さまが参加される訓練は魔の森か未開地になさった方がいいわぁ」

 お義母さまがお義父さまの元まで行き、的があった壁や各自で張っていたシールドが保たずに壁に打ち付けられた騎士さんたちが数人指さす。

「おお!!大丈夫か?」
「「「大丈夫です!!!踏ん張りきれなかったのは訓練不足です!!!」」」

 確かに怪我はしてなさそうだけど、こんな状況でもお義父さまを見る目は熱い。

「はぁ、この程度で壊れちまうなら訓練場なんて要らないな」

 アンゼリカさまはめんどくさそうに剣を収めてぼやく。
 いや、騎士団の訓練場や王宮より強化されてたんですけど!?

 幸いヒビが入っただけなので補修して付与魔法を追加したら問題なさそう。

 備え付けられていた棚は木っ端微塵だった。

「アイツ、相変わらずベッグユラント並みの馬鹿力ねぇ」

 ベッグユラントは地球のマウンテンゴリラっぽい生き物。硬い岩を握りつぶしたり、振り回した腕で大型魔獣を吹き飛ばせたりするらしい。
 レディ相手に例えるもんじゃないよ。

「アンゼリカさまは一族の中で一番大旦那さまに似てますから」

 うーん?それも例えちゃうのどうかな?
「それ言ったら一週間は調子に乗るわよ~」

 あら、褒め言葉だった。


 外に出してた備品を戻してもらって、修善はとりあえず後でってことで私たちは本邸に戻った。












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