ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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三章

196話 薄味でした ★

 朝食の席でセリウスさまとチェイスさん、騎士さん中では若い人たちが二日酔いしてた。
 しこたま飲めてイイデスネー。

 ポーションを飲めばスッキリするらしいけど、それだと邪道らしい。よくわからないこだわりだよ。

 朝食は硬めのパンと雑穀スープ、鮎っぽい魚を焼いたものとキノコソテーだった。
 味は薄いけど、遠くにキノコ出汁がいるので美味しいほうだと思う。
 王都から辺境に初めて向かうときの街道沿いの食堂は野菜の苦味とかが先に出て素材の味とか楽しむどころじゃなかったもんね。

 食後にすぐ宿を出発した。
 今日も馬車はジュリアスさまとアズライトだけ。
 セリウスさまも立場的には馬車でいいと思うんだけど騎馬のが良いんだって。

「山を抜けたらまたしばらく平原で少ししたら川沿いの道になる」

 おお!窓からの風景が変わるのね。

「多少の危険がある地域だがアモンやチェイスが薙ぎ払うから心配はない」

 セリウスさまとルルゥはこの馬車に並走してるから出番が少なそう。先頭に混ざりたいだろうな。

 しばらく走ったら休憩で停まった。
 すでに河原だった。

 案の定途中で獲物をゲットしていたらしく、ホクホクな笑顔で報告を貰った。
 賞金首もゲットして4人の騎士が最寄りの街に届けに行ったらしい。
 賞金首や特殊魔物の素材は臨時ボーナス的な感じでチームで山分けだからとてもラッキーらしい。

 河原の比較的平坦な場所でバーベキューの準備をしてお昼ご飯。
 ルルゥが下拵えして持ってきていたお肉をドーンと放出。 
 今日の獲物は夜の宿で下拵えする予定だって。

「さぁ、濃い味は宿では出ないからしっかり楽しんでねぇ☆」

「「「「おー!」」」」

 みんな舌が肥えちゃって。昨日の宿飯はこの世界では結構いいレベルだと思ったよ。
 でもお肉スキーだから山菜盛りだくさんは嬉しくなかったのかな?結構お肉も出てたと思うのだけどね。

 ルルゥが下味をつけたお肉からスパイシーな香り。
 焼きたてをジュリアスさまと私に持ってきてくれたので早速いただく。
 んー……ジューシー。鳥かな。
 なんか味はね、全く違うけどスパイスの調合具合とか深みのある味はきっと白いスーツのおじさんがブラボーって言ってくれてそうよ。
 ルルゥに食べさせてあげたいなぁ。あの素晴らしいチキン。
 私には再現できない味だから無理だけど。

 あ、居酒屋のスパイスたっぷり手羽先もいいねぇ。
 あああ!居酒屋飯食べたーい!! 

「うめぇっす!」
「おかわりください」
 騎士さん達、昨日の夜より勢いがある。やっぱルルゥのご飯fは最高だね。
 
 そういえば本邸では見かけない顔も多い。ルルゥご飯、今回が初の人もいるのかな。騎士団棟にもルルゥ直伝のコックさんいるよね?

 サーキスさまとセリウスさまはわりと静かに食べてる。
 まだ二日酔いかしら?眉間がむぃっとしてる。

 ポムとティム、ディディエ、アズライトはたっぷり食べた後にワイワイと水浴びしてる。
 ディディエはまだ小さくて流されちゃったら大変だからか、ニーナが手を添えて水浴びを見守ってる。和む。

「きゃー!」
「いや!」

 サラとネルが突然悲鳴を上げて飛び上がって逃げまどってる。
 騎士さんたちがサッと警戒態勢になって二人を庇って確認すると魔獣ではない普通、普通ってなんだっけ……まだら蛇が捕まった。
 なんだろう。蛇、怖いけどこの世界基準でいうと小さいから逆に「おー」って感心する。普通の蛇がいるんだ。的な。

「これに毒はありませんが巻き付かれると危険なので見つけた時は逃げてください」
 サーキスさまがサラたちに説明してる。
 体長1メートルくらいだけどやっぱり首とか絞められちゃうのかな?

「ルーデウス、食べるか?」
 え。
 いや、もうサーペントとか普通に食べてるし、逆にこっちの方が普通の食材なんだろうけど、なんか躊躇うよ。

「うーん?そうねぇ、小さいから酒に漬けたいわねぇ」

 ハブ酒⁉こっちでも酒に蛇を入れるんだ!
 て言うか本名で呼ばれても怒らないの⁉

「ルルゥさん~、ワシそれを焼いて食いたいのじゃが」

 あらカンダルー教授がおねだりしたよ。

「あらぁ?元気溌剌になりたいのねぇ♡」

 いやルルゥ、教授にもそのノリなの⁉

「ふわっはっは、溌剌までいかんでいいがのぅ、最近体力が落ちとるでちとのぅ」

 サーペントの方が元気でそうな素材だけどねぇ。

「今から捌くから少し待ってくださいねぇ」

 うーん、作業を見えないようにしていよう。

 ってディディエが口にプラーンと咥えてるのなんで⁉

『コックが蛇を喜んだのだと思って獲物を獲ってきたんだの』

 く!主人思いの健気な竜鳥!

 さっきのよりは小さいけど、ディディエにしたら大物だよ。

「ディディ!ありがとうねぇ。でも危ないことはしちゃだめよぅ」
 ルルゥが蛇を受け取ってまた捌く。

 あれはうなぎ!あれはうなぎ!!
 はっ!肝吸い飲みテェ~!いや蛇のじゃなくてね。

 ちょっとしたハプニングだったけどお昼ご飯を食べ終わったので再び移動開始。

 夕刻前に次の街に入れて、昨日より少し小さな宿でお泊まりです。

 本日のお料理はとってもシンプルに塩味でした。
 もはや懐かしくもある。
 原種な味わい。
 アクと渋みが調味料。
 
 騎士さんたちがあからさまにテンション下がりまくりで。……エールが進むね。
 私にエールっていう逃げ場はないからね、無言で食べるよ。

 ポムたちも小さな耳がヘニョってるよ。

「あとでクッキー食べようね」
 さすがになぐさめちゃった。
「プキュキュゥ」
「モキュッ」

 イマイチ盛り上がらない(お店の人ごめんなさい)夕食は早めに解散になった。

 お風呂はお部屋についてるので宿としては可もなく不可もなく。

 今のところ強行軍ではないのでゆったりして過ごせてるのが良い感じかな?

 朝ご飯はひらぺったいピタパンみたいなものに野菜炒め。
 うーん。あまり食が進まないよ。
 私の分、半分以上ジュリアスさまが食べてくれた。
 
 今日も食後すぐに出発です。

 やっぱりほとんど原っぱな車窓を眺めつつ、だいぶグレーデンとは違う種類の草が現れた。
 気温も少し下がってきて。

「リーシャ、これを」
 ジュリアスさまがマジックバッグから例の赤いフードマントを取り出してかけてくれた。おばあちゃんではなくて……おじいちゃんに会いに行きます。

「ありがとうございます」
 とっても可愛いデザインだけど、私の中の赤ずきんちゃん感は消えない。

「可愛いな」
 ジュリアスさまがニコニコと嬉しそうに私を見てるので気にせずに使うよ。



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