ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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三章

205話 メロンはスイカ味 ★

 夜ご飯の後、王様とリックさまはアーロンお兄さまを含めて、お祖父さまと伯父さまとで色々お話し合いをした。
 お話合いのあと、王様はめっちゃ嫌々していたけど、リックさまに引き摺られて魔法陣で王都に帰っちゃった。
「いやだぁ!スローライフがしたい~!もう息子に譲るからー!」
「あなたの息子はまだ幼いではないですか。その前に私が引退しますし」
 美少年な王子様たちではまだ荷が重いよ。王様ファイト~。
 そういえば、コリナーイ伯爵とかの事話すの忘れた。ま、いっか。あれだけ言っておいたんだから諦めるはず。いやでも《コリナーイ》って名前だしどうかな⁉

 私はお祖父様さまにお祖母さまの遺産のうちネイマーシュ国、実家のクリスタニア家由来ではなさそうな自筆の書類や写本、一族に継承していくべき魔道具などはマーベルハント家に管理してもらいたい事、お母さまとお父さまの遺産のうち薬学に関わるものや権利をいずれアーロンお兄ささまに渡す前提で預かって欲しいことを伝えた。

 権利とかほとんどが気軽に動かしていいものじゃないらしくて、移譲に関する契約書や委任状とかしっかりした手続きと記録をしなくちゃらしい。後日グレーデン家からセバスチャンが手続きに来てくれることになった。
 家族間でも大変なのね。お祖母さまやお母さまの遺産だから全部お祖父さまさまにお渡ししてもおかしくないのに。

 財産だ、遺産だ、権利だとか、メグミの時に体験したことがなかったので、ジュリアスさまがずっと付き添ってお話を聞いてくれていたので、本当に心強かった。

 遺産のことを知らされたのが私がまだオレイユ家にいて先が見えなくて困ってる時なら、何がなんでもしがみついたかもしれない。
 オレイユ家というより、ハーボット家はもしも私がこれだけのものを得るって知ってたらリーシャを手放さなかっただろう。きっとリーシャが遺産を渡さないと抵抗したら殺してでも奪っていたかも。

 今は全面的に守ってくれる家族がいて幸せだから、遺産は是が非でも欲するものじゃないんだ。皮肉だね。

 葬儀(棺の移動)は無事に済んで、遺産のことも見通しがたったの。とりあえずこれで安心だ。

 伯父さまとの魔道具の確認は簡単に済んだ。お祖母さまの作動や管理、魔力補充など一括でするための魔道具は素晴らしかった。
 伯父さまは歴史、民族学研究者で魔道具作りは出来ないそう。なので故障したりしたら私が直すか王国魔術師に依頼することに。多分リックさまにしか頼めないレベル。機密がいっぱいだから。

 明日は帰路につくため、マーベルハント家を出る。
 従兄弟たちとはあまり話せなかったけどいやな感じはなかったので、今後は仲良くなれることを期待しよう。

 ……最後の夜はやっぱり少し寒くて切ない。

 

 朝食を頂いてから出発だ。
 コックさんたちがルルゥに「行かないでぇ」って縋ってる。どこに行っても大人気ね。

「また来てちょうだいね」
「叔母様さまもぜひ」
 
 カンダルー教授とジョシュ先生は予定通りしばらくマーベルハント家に滞在するそう。

 お祖父さまはちょっと寂しそう。

「また近いうちにグレーデンに行かせてもらうからな」
「はい、絶対来てください」

 ジュリアスさまが長く領地を離れてるわけにはいかないので長居はできないけど、お母さまのことも含めて、マーベルハント家に来られて本当に良かった。

 ニーナが家族と離れたくないってなるかもとちょっとだけ心配してたけど、ちゃんと私の侍女に復帰してくれた。キリッとしたニーナのお母さんの目が潤んでるから申し訳ない気持ちもある。でもニーナにはそばにいて欲しいので、ニーナの家族には心を込めて挨拶をした。


 お祖父さまが王様とお話しした中に転移陣についてもあって、辺境のみに許されていた自領と王都の転移陣設置を伯父さまの代まで限定的に使用許可が出た。しかもマーベルハント家とグレーデン家間の転移も許可された。
 今回帰るのは自力。向こうで転移陣の魔道具を展開させないといけないので。
 私の魔導書や魔道具、マーベルハント家の書庫、カンダルー教授とお祖父さまの研究などで行き来するロスを省くための処置だそう。
 ニーナの里帰りが容易になったので良かった。


 帰路の馬車はやっぱりハイスピード。
 すぐさま景色が変わっていく。

 休憩場所のそばに小さな村に立ち寄った。
 魔馬、馬車、騎士さんの大きさをみて村人がビビってしまったけど、チェイスさんが軽めな話し方で声をかけるとすぐに打ち解けてもらえた。チェイスさん、すごいコミュ力だね。

 村の食堂で少し腹拵えしてから畑を見せてもらった。なんとメロンがあった。
 メロンの形をしたウリかもしれないって疑いつつ【鑑定】したらスイカだった。
 名称は《ストー》で甘くてショリショリしているそうだ。ショリショリしたスイカって皮の部分多そうだな。
 
 私の様子を見ていたルルゥが早速スイカを購入してくれる。

「水分多いな」
「結構甘い」
 すぐに切り分けてみんなで味見。
 中は薄紫だったのと種が白くて量が多かった。
 映え?映えるのかな。

 予定している出荷に差し障らない程度に欲しいと伝えてたくさん買ってもらった。

 これはグレーデンでも育つかな?

 次の休憩は原っぱだったのでピクニックと思ったら、道中に遭遇した獲物を焼くって言いだして、バーベキューセットが出てきたよ。

 あれだけのスピード出しているのに、遭遇したからってよく毎回狩りできるねぇ。

 原っぱにいたトカゲを丸焼きにしようとしてる騎士さんがいてアズライトが激怒してた。君はトカゲじゃないんだからいいんじゃね?

「お、良いもん来たな」

 セリウスさまが嬉しそうに砂埃を立てて走ってくる獲物をロックオンした。

「早いもの勝ちっすよねー」
「やった。結構肥えてるぞ!」

 交戦的な騎士さんたちばかりなのでみんなで体勢を整える。

「コカトリスか」
「群れですね。ちょっと参加してきます」

 サーキスさまも行っちゃった。

 ちょっと遠目だけどサクサク倒してるのがわかる。すごい。

 難易度はわからないけど結構な魔獣だったよね。って、ここ魔の森じゃないのに群れでいるの⁉やばくない?

「魔の森から出てきちゃったんですか?」

「そうだな。あれは走り回っているうちに戻り方を忘れるからたまに外に出てしまうんだ」
 何その鳥頭?って鳥だったね。

「次の休憩先で報告を入れればいいだろう」

 みんなそれぞれ獲物を引きずってきて、
「肉祭りっす」
「ハーブ鳥丸焼き」
「唐揚げ山盛りがいい」
ってテンション高いのはいいけど、食べることばっかりだ。

 3~5mは軽くありそうな鳥。
 たまに食卓に大きい卵がでるときはコカトリスの卵って言ってたからこの鳥、欲しい。鶏舎みたい飼えないかな?大きすぎる?

 結局、みんなでコカトリス三羽を食べた。おいしー。

 次の街で泊まった。宿についてからジュリアスさまはサーキスさまを連れて、街の長にコカトリスの報告に行っちゃった。




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