ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
272 / 787
三章

263話

 お母さまやお祖母様のご友人と少しお話ししたり、顔も覚えてない学園の同窓生に声を掛けられたりしながらなんとかやり過ごした。
 概ね感じ良い人たちでホッとしてたけど、やっぱりハーボット家の孫だとか義理とはいえイダルンダ娘だったのにと若干面白くないと思ってる人たちもいる。
 犯罪者を出した家は一族郎党処されるのが当たり前な世界だから言い分は分からなくもない。
 でもほぼ甘い汁吸ってないのに知らんって感じだよね。


 宴は夜遅くまで続くけど私のためかグレーデン一行は早めに下がることに。
 セリウスさまたちは残って婚活をって言いにくいよね。
 侍従長さんから今夜はお泊まりして明日、デレード側と赤斑病の話を決めていって欲しいって言われちゃって。
 ウヘァ、って顔しちゃったよね。

 お祖父様もアーロンお兄さんも残ることになったので一緒にお茶を飲むことに。

「はぁ、いきなり大きな仕事になってしまいましたね」
 お兄さんが深いため息を吐く。
「大陸で広がっていくのは予想してましたけど海外ですもんね」

 赤斑病と同じ系統の病気じゃないと効かないと思うから慎重に進めないといけない話だ。

「お兄さん、あ。男爵になられたんだからお兄様って言わないとダメですね」
「いや、柄にもないからお兄さんでいいです」
 テレてるお兄さんはちょっと可愛い。
「義妹って言ってもらえて嬉しかったです」
「・・・お兄さんっって言ってくれるから」
 うふふ、きょうだいって言えばあの変な絡み方してくる義姉キミーしかいなかったから、優しいお兄さんがいるのは嬉しい。

「そう言えばカイダール卿の兄のシェザール卿はカイダール領でアーロンの手伝いをしてくれることになった」
 おお~。お祖父様が穏やかな表情で教えてくれた。ハーボット家憎しでも人間性を見て決めたんだろうな。

「さっきは人前だったので言うのを避けたのですが、お母さまがお父様の遺した薬草の種を保管していましたので土地の改良が済み次第お渡ししたいと思っています」
「「え?」」
 お兄さんもお祖父様もすんごい目を見開いてる。
「当時はよくわからなかったのですが母が自分に先が無いと思っただろう時期に全ての薬草を収穫して畑を潰したんです。劣化防止の棚に処理を施した薬草と種があったのでいつか落ち着いた先で育てようと思っていたのですがあの土地が再び蘇るならそちらで育てた方がいいと思って」

 お祖父様が唖然としている。

「死期を悟っていたのか・・・」

 あ、さらりと言っちゃいけない情報だった?

「おそらくカイダールの帰還を期待しながら最後まで遺された物を守るために残ったんだな」
 
 ああ、誰にも助けを求めなかった理由ってそう言うことなのかな?
 今となっては本心はもうわからないけど。

 あの領地の薬草畑を眺めるお母さまは確かに幸せそうだった気がする。

 旧オレイユ領にはアッガスの式典後、ジュリアスさまの都合がつき次第行くことに。
 
 お祖父様たちが退出後、セリウスさまたちが食べ足りないって言い出して、ルルゥがマジックバッグからお弁当を色々出して食べ始めた。

「やっぱりルルゥの方が上手いんだよなー」
「まぁ宴の分は冷めちゃってるしね~」

 一応保温プレートは使われてたんだけどね。

「ラーメン食べたいなー」
 ってクラウスさまが無茶を言うと思ったらルルゥがマジックバッグから魔道具コンロを出して鍋をセット。もう一台出して麺を茹でる。
 って準備万端~!!

「グレーデン家のコックですからぁ☆」

 湯切りはどうすんだい?

 って思ったら湯切り網に麺を入れて皮袋で覆って「ブン!」って。
 マジっすか?
 皮袋は一回一回〈洗浄〉すれば良いって。

 具材もバッチリ用意できてるよ。

「絶対食べたくなる味なんだものぉ」

 どんだけ~!

 思いっきり引きつつもジュリアスさまに少し分けてもらったよ。うま。

 なぜか王様が一緒に麺啜ってる。いつの間に入り込んだのか。

「ノックはしたんだぞ?誰も聞いてくれんかったから入って来た」

 返事がなきゃ諦めるべきでしょうが!って言うか自らやって来たの!?

「絶対に夜食を食べると思ったんだ」

 いや、王様何言ってんだ。
 
 ズズズズーっとなんの躊躇いなく普通に汁啜ってるの。

「これはうちのコックにも作れるのか?」

 王様はルルゥににじりよる。

「ええ、作り方自体は難しくないですよぅ」
「早速教えてやってくれ」

 ルルゥ、今夜は徹夜かも知れない。

「これは夜に食べると危険な気がする」

 うーん?ここの人たちあんまデブらないみたいだし、気にするなら血糖値かな?

 ちゃっかりデザートも要求してからルルゥを連れて出ていっちゃった。

「えい」

 私のアイテムバッグから土鍋で炊いたご飯を出してスープに投入。
 ブッフェではやっぱり物足りなかった。

「「何それぇ」」

 セリウスさまとクラウスさまが麺じゃなく米を入れたことに驚いてるけど、美味しいんだからいいのよ。

「どうぞ」

 ちょっと煮込む方がいいけど、別にこのままでも味は変わらないもんね。
 
 みんなで山ほど食べてからそれぞれ与えられた部屋に。

「疲れたな」

 王宮の侍女さんにガッツリお風呂のお世話をされてやっとベッドに入れた。

 ジュリアスさまのお腹に顔を乗せて少し甘える。腹筋良き。


「明日は早めに出ような」

 お話が済んだら速攻で帰ろう。







感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます

青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。 藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。 溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。 その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。 目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。 前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。 リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。 アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。 当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。 そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。 ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。 彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。 やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。 これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。

嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。

しあ
恋愛
目が覚めるとお腹が痛い! 声が出せないくらいの激痛。 この痛み、覚えがある…! 「ルビア様、赤ちゃんに酸素を送るためにゆっくり呼吸をしてください!もうすぐですよ!」 やっぱり! 忘れてたけど、お産の痛みだ! だけどどうして…? 私はもう子供が産めないからだだったのに…。 そんなことより、赤ちゃんを無事に産まないと! 指示に従ってやっと生まれた赤ちゃんはすごく可愛い。だけど、どう見ても日本人じゃない。 どうやら私は、わがままで嫌われ者の皇后に憑依転生したようです。だけど、赤ちゃんをお世話するのに忙しいので、構ってもらわなくて結構です。 なのに、どうして私を嫌ってる皇帝が部屋に訪れてくるんですか!?しかも毎回イラッとするとこを言ってくるし…。 本当になんなの!?あなたに構っている時間なんてないんですけど! ※視点がちょくちょく変わります。 ガバガバ設定、なんちゃって知識で書いてます。 エールを送って下さりありがとうございました!

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?