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三章
493話
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会議をする広場で一瞬揉めた。
ここはアッガスでシーズ家なので一番偉いのはレオルカさま。
だけどグレーデン辺境伯領の一つなので、ジュリアスさまがいない席では妻の私か代行で来てるセリウスさまが上座に着くべきとか。
めんどくさいな。
「ここを率いてるのはレオルカさまでしょ?」
「そうよぉ~、頑張ってちょうだいねぇ」
私とお義母さまの声で「あ、はい」って納得してくれた。
外務大臣と次官とかぞろぞろ入ってきて、席に着いていく。
めんどくさいことを言うらしい役人たちは結構な下座だぞ。よく態度がビッグでいられるもんだ。
『さて、此度のことはナギからの連絡が入ったのが急だったこともあり、グレーデンの皆さまとアッガス領民には無理を言って申し訳ないと陛下からお言葉を預かっています。私ども外交を任されている部門の者たちが予想外に使えなかったことを含め、私からも深く謝罪申し上げる』
大臣と一緒に来た人たちが深々と頭を下げた。
公用語が半分以上聞き取れなかった役人たちが困惑してる。
しかし、大臣が上手だったなぁ。トップに先に謝られちゃうとこの後ネチネチいびれないじゃん?
お義母さまとシャロンさまもひんやり微笑んでるよ。
『言葉が通じないと嫌味の言いようもないですねぇ』
『本当に。よく平気な顔をしていられること』
レオルカさまとセリウスさまが真顔で固定してる。嫌味の応酬に混ざりたくないんだね。
ガルフ侯爵は、さわやかに見える笑顔のままで、チラリと役人たちの選定理由を教えてくれた。
『彼ら王都でもあんな感じでね。王都での歓迎に支障が出そうだったから、こちらで鍛えていただこうかと宰相閣下のご提案で。私の力不足を棚に上げておまかせするしかなかった。まことにすまぬ』
ぶっちゃけすぎだけど、うちに丸投げして良い理由ではないな。
『彼らの半分は旧ハーボット勢の罪にはならなかった者でね。首にもできず』
要するに使えないから罪は犯してない、ただの手駒や数合わせ、尻尾切り要員とか、目眩し要員みたいな末端だった残り。
ハーボットの後始末の一端だから、〈私〉に投げても良いって判断だったのかな?
仮に私に押し付けるのは良しだったとして、レオルカさまたちは完全な巻き添えだな。
半分は、人手不足になって雇ったコネありな奴ららしい。むーん。
さわやかなおっさんは敵と認定したぞ。あと、宰相は〈抜けないくん〉あげるのやめた。〈禿げるくん〉を作って献上したいかも。
いや、ハーボットの搾りかすの処理くらい私もするべきかな!?
『とりあえず、うちでは外交のために公用語を使える者には昇給、昇格を約束した。試験を受けることになる。外務の役人たちも同じようにした方が良いのでは?』
レオルカさまがそう言うとガルフ侯爵と隣席の人たちが目が笑ってない顔で、
『仕官試験では一応合格はしてるはずなんだがね』
『ははは』
これはコネによる不正が蔓延ってるのかなぁ。
『まぁ今はそんなどうでも良いことは置いておこう!ナギ国の方たちに心地よく過ごしてもらわないと』
そんなわけで、到着から三日、船旅の疲れを癒してもらって、グレーデンから改造馬車を出して十日かけての移動、途中の宿泊や食事のことなど、王宮での私とルルゥのお仕事など一通り話し合った。
途中でダメ役人たちがキレた。
「我々にも分かるよう話すべきだ」
だって。
「これからやってくる方々は公用語しか使わないが、お前たちはどうやって接待する気なのかね?」
ガルフ侯爵が冷ややかに言うと、
「通訳を通して」
なんて言うものだから、
「お前たちは通訳を連れてきているのか?」
って返されて青くなった。
「通訳を経費で落とすほどの職務を担っていたかね?」
どうやら役人たちは、通訳を雇うって考えになる程度に中途半端なボンボンたちだな。
しかし、普通にレイドラアース語で話してあげてるガルフ侯爵優しいね。
『ナギ国のお客人のいる場で、私たちがこちらの言葉で話し合うのは良いことではないとは思い至らないかね?』
「は?・・・言葉・・・思う???」
中途半端にしか聞き取れないみたいで何も言い返してこなくなった。
外交の役人、おバカでもなれたのか。高給取り??羨ましいね!!!
『ガルフ侯爵、我々は夜に公用語を学時間を作った。そちらの方たちも自信がないなら仲間内で勉強会をした方が良いだろう』
レオルカさま、一緒にやろうとは言わない。セリウスさまがちょっと笑った。
『そうだな、私も自信があるわけではない』
ペラペラだけど!嫌味っぽくないのがすごい。
『私たちも一度復習をしましょう』
『それは助かります』
明るく返事をする人と困惑して何のことかみたいな顔をしてる人との温度差。
公用語って本当に使い機会が少ないから仕方ないけど、外交の人はちゃんと話せないとダメだよ。
ちなみに夕食のことも普通にコースを出すけど余分に食べたいとか贅沢を言いたいなら、獲物を獲ってくるのがグレーデンのやり方だと伝えたら、まとも役人たちがダメ役人たちを睥睨してから、
『私たちは狩は不得手ですので贅沢は申しません。それに美味しい食事を出して頂いて十二分に感謝しております』
って言ってくれた。まともな人がいて良かったよ。役人がみんなダメだったらとドキドキしたよ。
『狩か・・・朝一番なら行っても良いな』
ガルフ侯爵がいい笑顔で肩を回しちゃったよ。
ここはアッガスでシーズ家なので一番偉いのはレオルカさま。
だけどグレーデン辺境伯領の一つなので、ジュリアスさまがいない席では妻の私か代行で来てるセリウスさまが上座に着くべきとか。
めんどくさいな。
「ここを率いてるのはレオルカさまでしょ?」
「そうよぉ~、頑張ってちょうだいねぇ」
私とお義母さまの声で「あ、はい」って納得してくれた。
外務大臣と次官とかぞろぞろ入ってきて、席に着いていく。
めんどくさいことを言うらしい役人たちは結構な下座だぞ。よく態度がビッグでいられるもんだ。
『さて、此度のことはナギからの連絡が入ったのが急だったこともあり、グレーデンの皆さまとアッガス領民には無理を言って申し訳ないと陛下からお言葉を預かっています。私ども外交を任されている部門の者たちが予想外に使えなかったことを含め、私からも深く謝罪申し上げる』
大臣と一緒に来た人たちが深々と頭を下げた。
公用語が半分以上聞き取れなかった役人たちが困惑してる。
しかし、大臣が上手だったなぁ。トップに先に謝られちゃうとこの後ネチネチいびれないじゃん?
お義母さまとシャロンさまもひんやり微笑んでるよ。
『言葉が通じないと嫌味の言いようもないですねぇ』
『本当に。よく平気な顔をしていられること』
レオルカさまとセリウスさまが真顔で固定してる。嫌味の応酬に混ざりたくないんだね。
ガルフ侯爵は、さわやかに見える笑顔のままで、チラリと役人たちの選定理由を教えてくれた。
『彼ら王都でもあんな感じでね。王都での歓迎に支障が出そうだったから、こちらで鍛えていただこうかと宰相閣下のご提案で。私の力不足を棚に上げておまかせするしかなかった。まことにすまぬ』
ぶっちゃけすぎだけど、うちに丸投げして良い理由ではないな。
『彼らの半分は旧ハーボット勢の罪にはならなかった者でね。首にもできず』
要するに使えないから罪は犯してない、ただの手駒や数合わせ、尻尾切り要員とか、目眩し要員みたいな末端だった残り。
ハーボットの後始末の一端だから、〈私〉に投げても良いって判断だったのかな?
仮に私に押し付けるのは良しだったとして、レオルカさまたちは完全な巻き添えだな。
半分は、人手不足になって雇ったコネありな奴ららしい。むーん。
さわやかなおっさんは敵と認定したぞ。あと、宰相は〈抜けないくん〉あげるのやめた。〈禿げるくん〉を作って献上したいかも。
いや、ハーボットの搾りかすの処理くらい私もするべきかな!?
『とりあえず、うちでは外交のために公用語を使える者には昇給、昇格を約束した。試験を受けることになる。外務の役人たちも同じようにした方が良いのでは?』
レオルカさまがそう言うとガルフ侯爵と隣席の人たちが目が笑ってない顔で、
『仕官試験では一応合格はしてるはずなんだがね』
『ははは』
これはコネによる不正が蔓延ってるのかなぁ。
『まぁ今はそんなどうでも良いことは置いておこう!ナギ国の方たちに心地よく過ごしてもらわないと』
そんなわけで、到着から三日、船旅の疲れを癒してもらって、グレーデンから改造馬車を出して十日かけての移動、途中の宿泊や食事のことなど、王宮での私とルルゥのお仕事など一通り話し合った。
途中でダメ役人たちがキレた。
「我々にも分かるよう話すべきだ」
だって。
「これからやってくる方々は公用語しか使わないが、お前たちはどうやって接待する気なのかね?」
ガルフ侯爵が冷ややかに言うと、
「通訳を通して」
なんて言うものだから、
「お前たちは通訳を連れてきているのか?」
って返されて青くなった。
「通訳を経費で落とすほどの職務を担っていたかね?」
どうやら役人たちは、通訳を雇うって考えになる程度に中途半端なボンボンたちだな。
しかし、普通にレイドラアース語で話してあげてるガルフ侯爵優しいね。
『ナギ国のお客人のいる場で、私たちがこちらの言葉で話し合うのは良いことではないとは思い至らないかね?』
「は?・・・言葉・・・思う???」
中途半端にしか聞き取れないみたいで何も言い返してこなくなった。
外交の役人、おバカでもなれたのか。高給取り??羨ましいね!!!
『ガルフ侯爵、我々は夜に公用語を学時間を作った。そちらの方たちも自信がないなら仲間内で勉強会をした方が良いだろう』
レオルカさま、一緒にやろうとは言わない。セリウスさまがちょっと笑った。
『そうだな、私も自信があるわけではない』
ペラペラだけど!嫌味っぽくないのがすごい。
『私たちも一度復習をしましょう』
『それは助かります』
明るく返事をする人と困惑して何のことかみたいな顔をしてる人との温度差。
公用語って本当に使い機会が少ないから仕方ないけど、外交の人はちゃんと話せないとダメだよ。
ちなみに夕食のことも普通にコースを出すけど余分に食べたいとか贅沢を言いたいなら、獲物を獲ってくるのがグレーデンのやり方だと伝えたら、まとも役人たちがダメ役人たちを睥睨してから、
『私たちは狩は不得手ですので贅沢は申しません。それに美味しい食事を出して頂いて十二分に感謝しております』
って言ってくれた。まともな人がいて良かったよ。役人がみんなダメだったらとドキドキしたよ。
『狩か・・・朝一番なら行っても良いな』
ガルフ侯爵がいい笑顔で肩を回しちゃったよ。
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