ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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三章

524話

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 食堂に案内されて向かうと扉の前でデイオン夫妻が卒倒して助け起こされてるところだっった。

 何事かしら。

「リリッリリ・・・」
「ググググッレレレレェェェェ・・・」

 細かく震えて私を見てる。

 何度も「リ」と「グ」を繰り返し震えてるのでちょっと愉快なことに。

「グレーデン辺境伯夫人、主人がこの状態ですので代弁することをお許しください」
 執事服の渋いおじさまが許可を求めたので頷くと、どうしてこの状態になったのか説明された。

「私はデイオン家にお仕えする執事アーノルドでございます」
 丁寧に名乗っていただきどうも。セバスチャンを期待したけどそんなわけないか。

「先ほど、グレーデン家アッガス家、ナギ王家よりお土産を受け取りましたのでご報告をしましたところ、予想外に素晴らしい品の数々にお二人は感動のあまり言葉が出なくなったようにございます」

 おー、お泊まりのお礼のお義母さまたちが用意してくださったお土産ってそんなすごかったかな。
 ナギからはアッガスで見ただけでも高価な布と薬方の入った壺や麻袋、細工の凝った家具とかだったから、ナギからのは恐ろしいかも。

「あ、あ、ああああ、有難うございます!近いと言ってもグレーデンは私どもの兵力では立ち入るのに躊躇してしまうものですから、噂に聞くお酒や化粧品も商人を通すととても手に入る値段ではなく・・・」
 魔獣の強さを知ってるだけに無謀なことはしないデイオン子爵に好感度アップだ。
 おしかけ令嬢たちってばかなり無謀だったんじゃ。
 しかし、危険地帯を移動する商人から買うのやっぱり高くなるんだね。
 王都まで運ぶ騎士隊はワイバーン便なので王都でもかなり値が張ってるか。

「一応、街道沿いの安全度は以前より上がってますが、デイオン領からですと、気軽においでくださいとは言えませんね」
「いいえ、それでも以前よろ格段に交通の便は良くなっております。食糧や魔物素材などの流通は増えております。本当にありがたいことです」

 王都に繋がる街道は特に熱心に対策してるので、護衛は必要だけどグレーデンには来やすくなってるはず。
 ここデイオンはグレーデンから王都の主要ルートからはズレてるので難易度はまだあるかな。
 アッガスから王都のルートも開拓が進んでいくはずなので今しばらくお待ちください。

 ちなみに今回のアッガスから王都に進む旅路はもう二領先でグレーデンから王都のルートに合流する。

 なのでデイオンとグレーデンのルート整備されていない。
 安全を取るなら二領先まで出て街道に出る感じ。
 結構な手間だよね。

「私、スノウリリィーさまのお使いになられる化粧品を使える機会が来るなんて夢見たいですわ」
 あっ、多分若干違います。でも監修してるのでお義母さまに憧れてらっしゃるなら満足いただけると思います。

「私も噂に聞く宝石のような煌めきで舌が溶けるような酒を頂くことがあるなんて」

 んー?琥珀色のウィスキーかな?
 
「「これは夢ではないか」」
「夢ではありませんのでとっとと中に入っておもてなししてください」

 夫妻がふわふわ夢心地なところ、やけに良い低音ボイスで突っ込まれてしまったよ。

「は!リーシャさま、失礼しましたわ!!皆様をお待たせしてはいけませんね」
「ああ、ああ、申し訳けない。あまりの喜びで我を忘れました」

 どこの家の執事も怖いのねぇ。思わず見ちゃったアーネストさん。ニッコリ笑ってくれるけど、背中に汗が滴るよう。
 セバスチャンとハロルドも怒ると迫力あるものね。

 夫妻が息を整えるのを待って、一緒に中に入った。

 すでに他のご家族と、ガルフ侯爵たち、セリウスさま、そして王女さまたちナギの主だった人たちも座っていた。

 またも重役出勤しちゃった。
 王女さまたちよりあとはまずいよね。

『皆様、お待たせして申し訳けありません』

 私は王女さまたちの右側の席に案内された。通訳の仕事してないな、あまり必要ないもん。

『『くるしゅうない。先に茶を頂きながら話しておった』』
 
 セリウスさまとガルフ侯爵がついててくれたみたい。

『さて、では食事を始めましょう』
 
 神と精霊の恵みに感謝を。

 ちなみにデイオン家のお孫さまたちは外で騎士さんたちと盛り上がってるそうだ。

 バーベキューをしている庭は食堂から少し離れてるのでさほど騒がしく感じないけど、きっと楽しんでるはず。

『『ふむ、これはまたさっぱりした優しい味だな』』

 スープが野菜とキノコと多分ウサギ系のお肉で、調味料は塩と香味野菜?
 
『グレーデンのレシピを入手いたしまして、ですが、胡椒などはなかなか入手出来ませんので我が領で育てている野菜に、ちょっと変わった味のするものがあるのでそれを代用しました』
 執事アーネストさんがスラスラと公用語で解説してくれた。
 ん、やっぱ従者コースとかのが真剣に学んでるんだよ。就職に有利にするために。

 変わった味のする野菜を詳しく聞きたいので後で聞こう。

『『工夫でより美味しくしようとするのは素晴らしいことよな』』

 キノコがふんだんなので出汁が効いてて美味しい。
 変わった味は・・・遠くの方にパクチー的な味と香り。好みの分かれる野菜をチョイスするとは、ここのコック、チャレンジャーだな。

『最近はスパイスやハーブに慣れすぎてたが素材の味をしっかり味わうのも良いものですね』
 セリウスさまはキノコの出汁を味わう。

 スパイスもハーブも大好きだけど、キノコもなかなかやりおる。この桃色とかどうにも不思議な色だけど、キノコ美味しい。

 そのあと出てきたのは、木の実とキノコたっぷり添えられたお肉のソテー。
 肉の旨みを吸ったキノコとキノコの出汁を吸ったお肉、そしてピリ辛の、実?

『そちらはメーカと言いまして、野菜の一種です。新たに作る食物を増やそうと仕入れた種の中に混ざっていたようで、ほのかな辛味となんとも言えない食感が良いということで今後は増やして育てることになりました』
 しかもより辛くなるように研究中だって。
 辛くしなくても良いのに。

『へー、これはピザやパスタに使ってみたい』

 セリウスさまが気に入ったようで、ガルフ侯爵も頷いた。

『これなら色々な料理に合いそうだ』

 今まで無かったなら、その種どこから混ざったんだろ。

 突然の商機にデイオン子爵とアーネストさんが喜びの顔を見せた。


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