ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
674 / 786
三章

663話

しおりを挟む
 森五ヶ所目。
 花びらが石鹸にできる花の群生地を見つけた。
 ウォレス領の人たちはほんのり香るこの花を、枕に入れたり靴に入れたりするサシェにしているそうだ。
 私が興味を示したら、いっぱい採っていいとのことだったので遠慮なく頂いた。
「プキュ・・・」
「モキュ・・・」
 ポムたちは花をパクッと食べて、すごい渋面になった。
 口の中で変な味がする花って言ってるらしい。見た目は可愛いコスモスっぽい花だ。

 川縁を見つけて早速花びらを手に置いて洗ってみた。
 アワアワが出てきたよ。
 
 動物油で作られている巷で売ってる石鹸やグレーデンで作ってる植物油の石鹸よりお手軽だ。しかも良い匂い。
 確か似たような実もあったけど、これはさらに花をむしるだけって言う。

 ウォレス男爵たちも驚きのアワアワさ。この花はこの近隣領でよく咲いてるんだそうで、珍しいものではないそう。
 繁殖率も良いので希少性はなく、商品としては低価格になっちゃいそうだ。
 
「商売にはならなくても洗濯や外出時の手洗いに良いですね」
 グレーデンには咲いてないのでセバスチャンは買いだと判断した。
 使用人向きの良いものだって。

 この気候じゃないと繁殖しないのかなぁ。
 定期的に仕入れられるなら自生に拘らなくても良いかな。食用に間違えちゃうと困るから。商品として仕入れる方が安心。

 翌日は滝のある森で、アズライトが幸せそうだった。私たちが探索中に滝でディディエと遊泳すると別行動に。

 この森では洋梨っぽいのと新たな辛い実が。ポムたちがダンシングした。

「プキューーン!!!」
「モッキューーーン!!!」
 コロコロとした青紫の味をそのままバクバクと頬袋に詰める。

 ウォレス男爵たちはこの実を穀物の虫除けとして使ってて、ポムたちが食べるのを見て驚いていた。

 ここの地域の人たちは、辛い物はあまり好きじゃないらしい。ポムたちが実を齧った時に香る匂いがすでに辛そうでみんな引いてる。
 だけど、ナギの唐辛子ゴロゴロスープに入ってた実の方がもっと辛いっぽいよ。
 
「はぁ、モラやモニパルが何か丸い物を良く食べているとは聞いていたのですが、辛いのを食べてるんですか」
 モラとモニパルはどの地域にもいるんだね。
「彼らは辛いものが大好きですが普通の木の実や果物も大好きですよ」
「ほー」
 あの可愛い見た目で辛党とか不思議すぎるよね。

 私たちはお昼を食べようとアズライトたちが残っている滝の近くに向かった。

「おお、滝の魚ですね」
 ディディエが魚を積み上げた山の上でフンスとしている。

 どうやらアズライトと一緒に滝に棲む魚を獲ったらしい。

「ギャォ」
 ぷりぷりと脂の乗った岩魚やヤマメみたいな魚とナマズっぽい・・・どじょうの方?なんかヌルッとしたのがピチピチ。

「あら、お昼ご飯に獲ってくれたの?」
 ルルゥがディディエに腕を差し出すとスッと腕に飛んできた。
「ギャオーン」
 ルルゥにスリスリと褒めてってやってる。
 アズライトはしゃべらないようにしてるので、無言で私の方に戻ってきた。

「賢い鳥ですね」
 ウォレス男爵たちはグレーデンになら変わった従魔がいても不思議ではないって思ってるようで、ディディエの姿もポムたちの色もジャスパーの種族も気にしてない。おおらか。

「これを使ってお昼にしましょう」
 
 そんなわけで焚き火と簡易石窯を組み上げて、魚の腑を取って枝に刺して焼いたり、身を解してハーブをまぶしてキノコの炒め物に混ぜたり。簡単ピザを焼いたりで楽しく食事した。

「森の中でこんなに手の込んだ食事ができるだなんて」
 安全な森でもやっぱりゆっくり休まないのかな。

 滝のマイナスイオン浴びながら、山の恵みと川の恵みを頂くって最高だよね。

「ここの先の岩場にプチプチとした感触の水苔がありますがもしかしてそちらのポムさまたちがお好きかもですね」
 渓流沿いの岩場に群生しているようだ。

「モキュ?」
「プキュ?」

 そんな情報を聞いてしまうと行くしかない。

 食事の片付けをした後、みんなでその岩場を目指した。

 見た目は海ブドウのような粒々した藻?のような物を発見。
 遠目だともずくっぽい。

「プキュ!」
「モッキュ!!」

 どうやら弾ける食感でピリ辛な藻らしい。ワサビに近しい辛味だそうで、ルルゥも料理に使いやすいかもと言い出して総出で収穫したよ。

 アズライトは『パバブが至高』なのであまり反応が良くなかった。

 ウォレス男爵たちがスープに使ってるそうで、辛い度は低めみたい。

 樹液探しは脱線しまくりなのだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
ファンタジー
「ウチの子、可愛いうえに最強すぎるんだが――!?」 魔の森の隣、辺境伯家。 そこで八歳のメイド・マールは、食事も与えられず“要らない人間”として扱われていた。 ――そしてある日ついに、毒と魔獣の禁忌領域《魔の森》へ捨てられてしまう。 「ここ……どこ?」 現れた魔獣に襲われかけたその瞬間。 救いに現れたのは――敵国の”イケオジ”傭兵隊だった。 「ほら、食え」 「……いいの?」 焚き火のそばで差し出された“温かいお粥”は、マールに初めての「安心」と「ごはん」を教えてくれた。 行き場を失った幼女は、強面のおじさん傭兵たちに餌付けされ、守られ、少しずつ笑えるようになる―― そんなシナリオだったはずなのに。 旅の途中、マールは無意識に結界を張り、猛毒の果実を「安全な食べ物」に変えてしまう。 「これもおいしいよ、おじさん!食べて食べて!」 「ウチの子は天才か!?」 ただ食べたいだけ。 だけどその力は、国境も常識もくつがえす。 これは、捨てられた欠食幼女が、敵国でお腹いっぱい幸せになりながら、秘められた力で世界を巻き込んでいく物語。 ※若干の百合風味を含みます。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

処理中です...