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三章
664話
しおりを挟む十日目の夜、ポムたちはウォレスの森が気に入ったようで、人間が寝静まってる夜中に加護舞をやっちゃって、精霊ワッサーと集まって、森が煌めいちゃって、私やジュリアスさま、精霊の気配に慣れてるグレーデンのみんなは目が覚めちゃって慌ててジュリアスさまと私のお部屋に集まってきた。
『すまぬの、止められんでの』
アズライトとポムたちはこっそり戻ってきた。なぜかこんなことをと思ったら、魔獣が少なくて居心地の良い森だから精霊の棲家にちょうど良いと思ったんだそう。
で、目に見えることをすれば精霊信仰がまた広がるだろうからって。
信仰を取り戻したい精霊王の意思を汲み取って行動してるのね。
・・・ってなるかーーーい!!
君らは自分たちが目立っちゃうと危ない目に遭うの理解してよねぇ。強いから屁でもないんだろうけど。
真夜中に突然の光に騒動のことは、一部の領民が眩しさに気がついて騒ぎになって、ウォレス家の騎士さんたちの夜警班の人たちがウォレス男爵に報告して、現場確認にグレーデンの騎士を貸して欲しいと訊ねてきた。
お部屋にすでにみんな集まってるので驚いていた。
「さすが俊敏な対応をされますねぇ」
と感心されてしまった。
うちの子たちのせいなもので。言えないけれど。
結局、原因不明となって、一部の領民が精霊の悪戯だとか精霊王が降臨したとか言い出した。あながち間違いではないんだけど、私たちは素知らぬふりをするしか。
ポムたちは集まった精霊たちに感謝されて満足してるけど、昼間とかなら光ってもバレなかったかもなのに・・・とちょっと思ったよ。
多分しばらくしたらウォレス領は豊作になったりすると思うので、遠からず王様には何をしたのかバレちゃうなぁ。
騎士さんたちの混合対抗戦は、近くの領民も応援に集まってくれて結構なイベントになった。
グレーデン騎士さんは本気は出せないので、剣道や空手の型を見てるような気分になったんだけど、ウォレス領の皆さんは熱意を持って応援してる。
特にレオンくんとハインツくんの、チェイスさんとセリウスさまへの応援は熱く、そして可愛かった。
他領の騎士さんを見たことがないであろうウォレス領の乙女たちは、グレーデン側の騎士さんにもキャーキャー言ってくれて、うちのおじさんたちが鼻の下伸ばしてた。
アランとジェイクは彼女持ちなので、ちょっとクールだった。良い彼氏だなぁ。
私はもちろんジュリアスさまを応援。力加減をしててもやっぱ強いし、ムキムキッと動く腕や腿がサイコーだもん。
「奥様よぅ、見るとこがちょっと変わってるんだよな」
うるさいよ。チェイスさん、生活の中じゃない躍動する筋肉は滅多に見られないの!
結局、勝敗がない今どきの運動会のような感じで終わった。平和的だね。
本領発揮出来てないグレーデン騎士に配慮って感じかなぁ。
その夜は大宴会になった。
領民の乙女たちは目当ての騎士を口説いちゃってる!
グレーデン騎士は帰っちゃうのに果敢にアタックする人も。でもやっぱ細マッチョがモテてる。大きすぎはダメなのかぁ。
ウォレス領のお酒はワインとウィスキーだった。うちからのお土産で出したお酒は、出すと大騒ぎになりそうだから出せないとウォレス男爵が言ってた。
子供たちはやっぱり早々に「お休みよ」と言われてイヤイヤ言いながら帰って行った。
フォフォッとはやらなかったけど、腹踊りとか、ひょっとこ踊みたいなちょっとおどけた踊りの輪はあって、ポムたちも可愛く踊っていた。
夜の宴会はグレーデンよりは短かったよ。
結局、ウォレス滞在中にゴム樹液は見つからなかった。
それでもたくさんの発見があったし、良いバカンスにもなった。
特にレオンくんとハインツくんとの関係でチェイスさんとアモンさん、そしてセリウスさまは、子供がいる人生もありかもと思い始めてるっぽい。
セリウスさまは女性に対して、ジュリアスさま以上に思うところがありそうなのでハードルは高そうだけど、頑なな気持ちに変化があるように見えた。
でも自分が作らなくても、レオルカさまとマデリーさまのところと、ルークとニーナのところにも子供が生まれるので、それで満足しちゃう可能性もあるなぁ。
お別れの日になって、みんなでワイバーンたちのいる草原にお見送りに来てくれた。
レオンくんもハインツくんも号泣で、男爵も夫人も困っちゃった。
たまには荷物の配送でこちらにくる担当に混ざって会いにくると必死に納得してもらっていたよ。
そしてニキさんとノックさんがルルゥに縋り付いて泣いてることも困る。ルルゥはあげられません。
騎士さんたちも訓練で仲良くなって、熱い友情が芽生えたのか抱き合って別れを惜しむ。
「グッギャー」
「ギャギャー」
ラヴァたちも泣かないで~って慰めてる。良くしてもらったんだね。
「ではこれからも良きお付き合いを」
「もちろんです!有意義な時間をいただきありがとうございました」
ウォレス男爵とジュリアスさまの握手。
「私は社交ではお役に立てませんがこれからも仲良くしてくださいませ」
「こちらこそ」
ウォレス夫人は私を抱きしめてくださったよ。
「セリウスさま、また来てくれる?」
「チェイス、嫌だよぉ~」
これには胸が痛い。
レオンくんとハインツくんは二人に抱きついて泣いてる。
「また来るし、グレーデンにも遊びにおいで」
「来るなら俺が護衛で迎えに来るから」
そうだね。グレーデンに子供が遊びに来るのははードル高すぎる。
「約束です」
「約束ー」
みんなちょっと涙を堪えながら、ワイバーンに乗った。
「「「では!!」」」
こうしてウォレス領を飛び立った。
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