ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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三章

721話

 ナギご一行を迎えるために従者の家族たちが住む居住区に近い旅館を一棟丸々使っていただくことに。

 だいたいの予定は知らされていたので、オープンを遅らせていた旅館なのだ。

 ナギの家具や教えてもらったデザインを取り入れさせて貰って、ちょっとだけ異国情緒な作りになっている。
 そろそろ祖国が恋しいのではと言う打算的な部分もあるよ。
 気に入ってもらえると良いなぁ。

 ナギ好みの辛い料理をオリジナルで作りたいとルルゥが張り切っていた。
 ポムたちが魔の森でさらに辛いボム(唐辛子)を探してきたり、仕込み段階で素材を唐辛子につけたりと、なんだか激辛レーメンのお店を思い出したよね。
 私は普通のレトルトカレーの中辛も辛いと感じるタイプなので激辛店で食べたことはないよ。
 テレビで激辛タレントが悶絶しながら食べてるのを見て、喉と食道が死んでしまうと変な心配をしていた。
 友達が激辛ラーメンを食べたことがあって、次の日のトイレが地獄って言ってて震え上がったもんだ。

 アッガスや王都でのナギ料理を食べた皆さんの翌日は聞いていないのでわからないけれど、グレーデンの家族はケロッとしていた。内臓も強靭なのかな。
 いや唇は腫れてたのでお尻の話をしなかっただけかも。
「ケツ切れた」
とかいちいち報告するわけないものね。

 食べるラー油もかなり進化して、ポムとティムが歓喜の踊りをしちゃって、うちの周りの畑が豊作でわさわさしちゃった。

『辛い実だけを集めた島が三つになってしまったの』
 ポムたちにねだられて、池にボムだらけの島を作っているらしい。
 そんなに作っても消費できないでしょ。

 蜜ミツバチは甘い蜜しか集めないけど、別の辛ミツバチという種は辛蜜を集めるそうだ。
 蜂蜜が辛いってあるの?
 辛い実が付く花粉の受粉は辛ミツバチにやってもらうんだって。

 ポムたちの熱望によって魔の森の最奥から勧誘してきたそうだよ。
 辛ミツバチは気性が荒いらしく、島から出ないようアズライトが結界を張っているらしい。
 辛い実も辛い蜜も収穫はポムたちしか出来ないそうだ。
 そんなヤバい蜂呼んでこないでほしかった。
 
 でもルビーのような色合いのを蜂蜜じゃなくて、辛蜜は食べてみたら、南天のど飴を食べたときのような、黒肉桂飴を食べたときのなんとも言えない「望んでた味と違う感」だ。
 好きな人にはめっちゃハマって、合わない人には「変わってるな」って感じに。

「ナギの人たちは喜んでくれそうだね」
 出処を聞かれてしまうかもだから困った。
 気に入ってもらえたら、実と蜜をお土産に持っていただこう。
 その後は商売のなっていけば良いかな。

 お肉と卵とネギに辛蜜とソースを使ってとんぺい焼きもどきを作った。
 小腹が減りましたので。

 辛蜜が合う!
 スィートチリソースの甘いやつっぽくちょっと変わった味だけど結構いける。

 一緒に作業してたルルゥとニックスとベンが、これにラー油をドンって辛くしちゃった。

 ポムたちが小躍りしてお皿を持っていく。

「あんなに嬉しそうだと作り甲斐があるわぁ」
 
 ところでボムが赤白黄色緑青紫と各種サイズがバラバラで揃ってるんだけど、これもポムの熱意で?
 この中にあのジョロキュアとかとんでもないのがいるのかな。

 ナギの王女さまとユエさま、側近の方たちは屋敷内に部屋を用意してるので、食事はわ私たちと一緒。
 激辛料理だけは普通の料理と少し放しておいて欲しい。

 香辛料をいっぱい使っての調理中はニーナには自宅に籠ってもらった。
 辛味成分がお腹を刺激しちゃうかもなので。

 正直、髪も服も鼻の中まで臭いがついちゃうのでカプサイシンマンになってるよ。

 ポムとティムが実をくり抜いて両手に刺してボクシンググローブみたいになって。
 笑っちゃうと喉に辛い粉がくるからやめてほしい。

 カプサイシンマンになっちゃった日は、大きなお風呂で臭いがなくなるまで入浴剤入りの湯船に使った。

 ポムたちは冗談で用意した小さな桶の唐辛子湯に臭いもっと来い!とばかりに喜んで浸かった。
『ポカポカするんだな』
 アズライトの翻訳を聞いたら、もっと入れて良いって言ってた。

 ・・・自ら下味をつけて美味しく頂かれるメインデッシュなりそうなお肉さまですな。



 マーベルハント家に連絡して返信が来た。なぜか王宮筆頭魔導師リック・ガーランド卿が同席するとのことだ。
 お祖父様たちもグレーデンに来てくれるので嬉しいな。
 でも用事が何かわからないから様子を見ないとね。

 合間合間に料理の監修を手伝って、マダム時野衣装合わせしたりしつつ、あっという間に一週間が経った。










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