モブです。静止画の隅っこの1人なので傍観でいいよね?

紫楼

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 結局、祝勝会には冒険者のリンクとリュカで参加して、その後の夜会にルカと二人でデビューだってさ。
 マートム家に仇名してきた連中がどんな顔を見せてくれるかな。

 流石にはドレスは既製品に手直しすることになった。ルカのもね。
 子爵家的には出したくない金額なのでブツブツ言ってたら「孫のデビューにはジジイが出すものだ」って。そうだっけ?でも遠慮はしない。

「ベンはジュダス家に顔を出したりせねばならぬがファナとネルをどうする」
「お祖父様に合わせると言う約束は果たしたので家に帰したい。伯父家族に接触させたくないから」
 お祖父様はフーッと息を吐く。
「本来あやつを後継にはしたくなかったんじゃ、ハインツは継がぬと言うし他の子らも侯爵家を継ぐには凡庸、だが親族から養子と言うのは妻が嫌がってな」
 嫌がったお祖母様はもう空のお人じゃん。強欲伯父一家は放逐してくれないかな。
「あれがちっとも後継教育を終えないからジジイが老骨鞭打っておるんだ」
 教育受け始めて何年だ。もう諦めようよ。
 なぜこのお祖父様からあの伯父と孫って思うけど、なんだかんだ見捨てられないんだね。

 とりあえず話したいことは話したので部屋に戻った。

 今のところ伯父たちは私たちに関わるなと言うお祖父様の命令に従ってるけど、ファナとネルは私たちに留守中に置いて置けない。
 あの従兄妹たちはとにかく意地が悪い。
 しかも父さんに妙にコンプレックスがある伯父は父さんに似たファナとネルに何かしかねない。
 伯母と従姉妹は母さんに似ているからか私たちを気に入らないから似たもの家族だよね。

 とにかく兄さんと相談してファナとネルは帰さなくちゃ。

 ジョルジュがメイヤと軽食を運んできてくれたのでファナとネルと兄さんをおやつに誘った。
「姉さま、兄さま、おかえりなさい」
 ファナがギュッと抱きついてくれる。癒し。

「兄さん、俺とリィンは祝勝会の後の夜会に貴族として出なければいけなくなった。兄さんもジュダス家にいったり顔を売らなくちゃだろう?」
「ファナとネルをここに置いておきたくないから誰かに預けるか、家に帰すかしたいんだけど」
 兄さんは男爵家に婿入り予定が伯爵家にはランクアップしちゃったから勉強もやり直しだろうし。
 私たちが目立つことでどんな影響が出るかわからないから王都にいさせたくない。

「しかし、祝勝会まで日がない。預けるにしても・・・」
 そうなんだ。ジョルジュは信用できるとしても、家族が誰もいない状況で人に預けたくない。から、ちょっとチートを使うけど兄さんには嘘を吐く。
「だからね。貴族に関係のない冒険者を雇って家に送ってもらおうかなって」
 こっそり転移を使って送って王都に戻るのが私の精神に一番優しい。

「・・・冒険者か。だが冒険者は祝勝会に出るんだろう?」
「祝勝会は強制討伐に参加した冒険者が出るだけだから王都に拠点がある連中はほとんど参加しない」
 ボヤかしつつ、なんとか納得してもらった。

「にいちゃ、ぼくかえりゅ?」
「姉さま、また会えないの?」
 ファナとネルが話しが理解できたのかへにゃっと泣きそうになって聞いてくる。

「兄様たちはお仕事があるから、ファナとネルを留守番にさせちゃうのが嫌なんだ。それに母さまと父さまがファナとネルに会えなくて寂しいってなってるよ」
 ルカが説明すると二人の目がウルルと潤む。
「それに兄様たちも少ししたらお家に帰るから大丈夫だよ」
 冒険には出るけども。

 ベン兄さんはジュダス家に入っちゃうとそうそう会えなくなるだろうけど、こっちが押しかければ良い。

 ファナとネルがぐずぐず泣いて寝ちゃったので可哀想すぎて、兄さんと三人で挟んでみんなで寝ることにした。

「俺は良い」
 ベン兄さんがちょっと抵抗したけど、兄弟の思い出作りにって言ったら渋々。
 
 寝る前に〈洗浄〉と着替えを済ませて、ベッドに入れば温かい子供の体温が優しくて。

「兄さん、私たち素顔で出るから少しの間うるさくなるかも」
「・・・お前たちが本来あるべき環境で過ごし評価を受けるのは良いことだ。二人とも学園を繰り上げで卒業したことを俺は誇らしく思うよ」
 兄さんの低い声はなんとか人生を変えようともがいてきた私たちの心を優しく包む。

「父さんはお前たちが窮屈な思いをしていないかといつも気に病んでいた。何も気にせず好きにやれ」
 子供の時以来の兄さんとの共寝は、優しさと慈しみに満ちて、私とルカは久しぶりに穏やかな眠りについた。

 朝起きてお尻が冷たくなっていなければ完璧だったんだけどね!




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