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連載
大会最終戦、その2
再び二刀を構えた相手が突っ込んでくる──早い。しかも早いだけじゃなく何と言うか動きが滑らかだ。するっと寄ってきて、気がついたらもう間合いの内に入られている。そこから躊躇なく振り下ろされる刃……だが、こちらはそれを受け流す。当然次々と刃が自分を貫かんと襲い掛かるが、ちゃんとその刃が見せる軌跡はしっかりと見えている。
だからこそ、その襲い掛かってきた刃を全て受け流す事が出来たし、一太刀の反撃の刃を振るう事も出来た。自分が振るった反撃はクリーンヒットこそしなかったが、相手の腕から鮮血が舞う。直後、相手が全力で後ろに飛びのいた。目が驚きの色に染まっている。
「まさか、こちらの攻撃をすべて無力化しただけでなく的確な反撃まで……甘く見ていたつもりはなかったが、それでも俺は甘かったという事か」
そう呟き、相手は二刀を鞘に納めて背中に背負った一対の片鎌槍を取り出していた。来たか、カザミネの首を刎ねた──おそらく彼の本命武器。それを裏付けるように、更に彼の体から立ち上るオーラの色が濃くなった。目ではっきりと見える、赤いオーラが立ち上っている。
直後に彼が再び間合いを詰め、自分に向かって槍を突き刺してくる──穂先が捉えようとしたのは自分の顔、次は心臓。自分は後ろに下がりながら槍の連撃を回避し続ける。この槍が持つ威力はもう何度も見た試合が教えてくれている、今の自分の状態を考えれば、体のどこかに直撃を一発貰えばそこでお終いだ。
なので後ろに下がりながらもしっかりと槍を見る。目を慣らし、槍の速度に対応するべく感覚を掴む。そこから反撃に移っていく。突き出された槍の下を潜るように身を屈めて反撃の一撃を振るう。が、向こうもこの反撃方法は経験済みだったようであっさりといなされる。でも、今度は自分が槍の間合いの内に入っている以上攻めを継続する。
密着状態からの蹴りの連撃を仕掛ける。脚のあらゆる部分を使い、さらに上や下へと分散させて相手の防御を揺さぶる。が、どれもあと一歩届かないといった所か。ここはさすがといった所か──こういった防御の揺さぶりに対しても乱れることなく対処してくるのだから。
とはいえ、この状況はさすがに相手にとっては望ましくない。突如槍を地面に突き刺して支えとし、上へと逃れる動きを見せた。だが、自分は即座に八岐の月を構えて上に逃れた相手を狙い打つ──鮮血が再び舞った。が、直撃はまたしてもしていない。頭部を狙ったのだが、顔を全力で逸らして避けられた。ただ、頬にはざっくりと矢じりによって斬られた痕が残り、そこからの出血だ。
ならばと次は胴体を狙って三本矢を番え、すかさず放つ。が、これを相手は槍によって防いだ。しかもこちらの放った矢の衝撃が強かったため、空中にいる相手が軽く吹き飛ぶ形となって間合いが開く。そして相手が着地、槍の間合いから一歩後ろぐらいの距離となる。
「なんて弓だ。この身に纏った装備の総重量は決して軽くない。それを吹き飛ばすと来たか……鎧の上からでも体をぶち抜かれるかもしれない、か。その異様な見た目は伊達ではなかったという事を改めて思い知らされた。弓を使う連中なら、誰もが欲してもおかしくないだろうな」
槍を構えなおしつつ、自分が持っている八岐の月を眺める相手。こちらも一呼吸置きたいので黙って聞いている。
「それに加えてその弓の上下についている爪も恐ろしい近接武器だ。並の防具なら、防具ごと引き裂くだろうな。扱いには技量が求められる系統だが、扱えれば恐ろしい武器だ。後でどこで手に入れたのかを教えて貰いたいところだな」
この言葉は相手の本心なのだろう。八岐の月を見る目が真剣そのものだ。だが、これは自分とクラネス師匠の合作だ。教えたところで──この性能を誇る弓は作り出すことはほぼ不可能だろうな。とんでも武器を作ってきた自分の経験と、これまた長年一般的でない武具を作ってきたドワーフであるクラネス師匠の経験あってこその弓だ。
「残念ながら教えるわけにはいきませんよ。こいつは特殊な形で手にした弓ですからね……」
と自分が口にすると、落胆を見せる相手。たとえ自分が使えなくても面白い武器はコレクションしたいと考える人は一定数いるから、彼もその口なのかもしれない。だが、この弓はコレクションに収めるために作ったものじゃない。戦うために使うから作った武器だ。手放すつもりはない。
「だろうな。俺でも教えない。だが、それでも欲しいなと思わせる弓だと言いたかった。本当にこの世界は、ここにきてなお驚きを与えてくれる」
そう口にした後、再びオーラを強く放ち始める相手。休憩は終わりという事だろう。こちらも一息つけたし、再びレガリオンも握りなおして特殊二刀流状態になる。さて、ここまでの戦いである程度相手の力を直接感じ取る事が出来た。更に刃を交えたことで、明鏡止水の方も更に体になじんだように感じられる。
そろそろ、こちらも切り札を切る頃合いになってきたと考えていいだろう。パイルバンカーはリロードする時間を与えてもらえないだろうから一発打ち切り、シザーズの方もすでに相手に一度見せているからあくまで誘うために使うとしても一回だけに抑えた方が良いだろう。何度も頼れば却って隙を晒すことになる。
この二つで相手の精神を少しでも揺さぶって、僅かな隙に全力の一太刀──あの時ロスト・ロスの防壁ごと切り伏せたあの一撃を相手の体に叩き込む。これが自分が出来る勝ちへの道筋だ。もちろん多少のアドリブは効かせなければならないが、目指すべき道は見えている。だからこそ──
「これもいなされるのか!?」「見えていますよ」
再びこちらに向かって滑るように素早く近寄り、突き出される槍をこうしていなす事が出来る。道が見えているからこそ落ち着いていられるし、しっかりと集中できる。どうすればいいか、という先を見据える事はとても大切なのだ。これは戦いに限った話ではなく、人生全てにおいて言える事だ。
そこから更に相手の槍による攻撃は激しさを増した。また片鎌槍の鎌部分を使っての首を狙った攻撃も増えてきた。だが、こちらはそれらをしっかりと見切って受け流しつつ反撃の太刀を返していく。こちらの反撃も避けられたり受け流されたりしていて当たっていないが、それでも反撃をすることは大事だ。防御だけしていると、相手が調子を上げてしまうからだ。
調子を上げてリズムに乗られると、手が出せなくなっていく展開に追い詰められる可能性がある。そうならないように冷や水をかけるような感じで時々相手の行動を咎めるのだ。そして、そこから相手を崩す一手を入れていく機会をうかがう。そして、時は来る。自分が行った反撃に対し、相手が僅かに受け流しをしくじったのだ。
(仕掛ける!)
覚悟を決め、まずは右手に仕込んであるシザーを発射する。勢いよく盾から飛び出して相手の首を狙うシザーだが、相手はシザーと首の間に槍の穂先を挟み込んでこれを阻止。相手が「ハサミ!?」 と驚いたその一瞬のうちに自分は近寄り、今度は左の盾に仕込んであるパイルバンカーを起動させた。
「パイルバンカーかっ!?」
相手も気が付いたようだが自分は構わずパイルバンカーを、相手のレバーに叩き込む感じで放った。だが、これも相手がとっさに槍の柄で防御した。自分のパイルバンカーは、その柄に突き刺さる形となった。自分は後ろに下がり、相手も槍を手放した。直後に爆発が発生し、黒い煙が立ち上った。その瞬間、自分は感じ取った。《龍咬》を放てるタイミングが来たのだ、と。
(ならば、迷う理由なし)
八岐の突きを背に背負い、レガリオンを分割してガナードを手に持った。そして居合の構えを取り──煙の先にいる相手に向かって突撃する。この一太刀が、この試合で出来る最後の攻撃。決まれば勝ち、決まらなければ負けだ。だが、そういった事は考えない。この一撃を全力で振るう事だけに集中する。そして、感覚が告げるまま、自分は煙ごと相手を断ち切るべく刃を振るった──
だからこそ、その襲い掛かってきた刃を全て受け流す事が出来たし、一太刀の反撃の刃を振るう事も出来た。自分が振るった反撃はクリーンヒットこそしなかったが、相手の腕から鮮血が舞う。直後、相手が全力で後ろに飛びのいた。目が驚きの色に染まっている。
「まさか、こちらの攻撃をすべて無力化しただけでなく的確な反撃まで……甘く見ていたつもりはなかったが、それでも俺は甘かったという事か」
そう呟き、相手は二刀を鞘に納めて背中に背負った一対の片鎌槍を取り出していた。来たか、カザミネの首を刎ねた──おそらく彼の本命武器。それを裏付けるように、更に彼の体から立ち上るオーラの色が濃くなった。目ではっきりと見える、赤いオーラが立ち上っている。
直後に彼が再び間合いを詰め、自分に向かって槍を突き刺してくる──穂先が捉えようとしたのは自分の顔、次は心臓。自分は後ろに下がりながら槍の連撃を回避し続ける。この槍が持つ威力はもう何度も見た試合が教えてくれている、今の自分の状態を考えれば、体のどこかに直撃を一発貰えばそこでお終いだ。
なので後ろに下がりながらもしっかりと槍を見る。目を慣らし、槍の速度に対応するべく感覚を掴む。そこから反撃に移っていく。突き出された槍の下を潜るように身を屈めて反撃の一撃を振るう。が、向こうもこの反撃方法は経験済みだったようであっさりといなされる。でも、今度は自分が槍の間合いの内に入っている以上攻めを継続する。
密着状態からの蹴りの連撃を仕掛ける。脚のあらゆる部分を使い、さらに上や下へと分散させて相手の防御を揺さぶる。が、どれもあと一歩届かないといった所か。ここはさすがといった所か──こういった防御の揺さぶりに対しても乱れることなく対処してくるのだから。
とはいえ、この状況はさすがに相手にとっては望ましくない。突如槍を地面に突き刺して支えとし、上へと逃れる動きを見せた。だが、自分は即座に八岐の月を構えて上に逃れた相手を狙い打つ──鮮血が再び舞った。が、直撃はまたしてもしていない。頭部を狙ったのだが、顔を全力で逸らして避けられた。ただ、頬にはざっくりと矢じりによって斬られた痕が残り、そこからの出血だ。
ならばと次は胴体を狙って三本矢を番え、すかさず放つ。が、これを相手は槍によって防いだ。しかもこちらの放った矢の衝撃が強かったため、空中にいる相手が軽く吹き飛ぶ形となって間合いが開く。そして相手が着地、槍の間合いから一歩後ろぐらいの距離となる。
「なんて弓だ。この身に纏った装備の総重量は決して軽くない。それを吹き飛ばすと来たか……鎧の上からでも体をぶち抜かれるかもしれない、か。その異様な見た目は伊達ではなかったという事を改めて思い知らされた。弓を使う連中なら、誰もが欲してもおかしくないだろうな」
槍を構えなおしつつ、自分が持っている八岐の月を眺める相手。こちらも一呼吸置きたいので黙って聞いている。
「それに加えてその弓の上下についている爪も恐ろしい近接武器だ。並の防具なら、防具ごと引き裂くだろうな。扱いには技量が求められる系統だが、扱えれば恐ろしい武器だ。後でどこで手に入れたのかを教えて貰いたいところだな」
この言葉は相手の本心なのだろう。八岐の月を見る目が真剣そのものだ。だが、これは自分とクラネス師匠の合作だ。教えたところで──この性能を誇る弓は作り出すことはほぼ不可能だろうな。とんでも武器を作ってきた自分の経験と、これまた長年一般的でない武具を作ってきたドワーフであるクラネス師匠の経験あってこその弓だ。
「残念ながら教えるわけにはいきませんよ。こいつは特殊な形で手にした弓ですからね……」
と自分が口にすると、落胆を見せる相手。たとえ自分が使えなくても面白い武器はコレクションしたいと考える人は一定数いるから、彼もその口なのかもしれない。だが、この弓はコレクションに収めるために作ったものじゃない。戦うために使うから作った武器だ。手放すつもりはない。
「だろうな。俺でも教えない。だが、それでも欲しいなと思わせる弓だと言いたかった。本当にこの世界は、ここにきてなお驚きを与えてくれる」
そう口にした後、再びオーラを強く放ち始める相手。休憩は終わりという事だろう。こちらも一息つけたし、再びレガリオンも握りなおして特殊二刀流状態になる。さて、ここまでの戦いである程度相手の力を直接感じ取る事が出来た。更に刃を交えたことで、明鏡止水の方も更に体になじんだように感じられる。
そろそろ、こちらも切り札を切る頃合いになってきたと考えていいだろう。パイルバンカーはリロードする時間を与えてもらえないだろうから一発打ち切り、シザーズの方もすでに相手に一度見せているからあくまで誘うために使うとしても一回だけに抑えた方が良いだろう。何度も頼れば却って隙を晒すことになる。
この二つで相手の精神を少しでも揺さぶって、僅かな隙に全力の一太刀──あの時ロスト・ロスの防壁ごと切り伏せたあの一撃を相手の体に叩き込む。これが自分が出来る勝ちへの道筋だ。もちろん多少のアドリブは効かせなければならないが、目指すべき道は見えている。だからこそ──
「これもいなされるのか!?」「見えていますよ」
再びこちらに向かって滑るように素早く近寄り、突き出される槍をこうしていなす事が出来る。道が見えているからこそ落ち着いていられるし、しっかりと集中できる。どうすればいいか、という先を見据える事はとても大切なのだ。これは戦いに限った話ではなく、人生全てにおいて言える事だ。
そこから更に相手の槍による攻撃は激しさを増した。また片鎌槍の鎌部分を使っての首を狙った攻撃も増えてきた。だが、こちらはそれらをしっかりと見切って受け流しつつ反撃の太刀を返していく。こちらの反撃も避けられたり受け流されたりしていて当たっていないが、それでも反撃をすることは大事だ。防御だけしていると、相手が調子を上げてしまうからだ。
調子を上げてリズムに乗られると、手が出せなくなっていく展開に追い詰められる可能性がある。そうならないように冷や水をかけるような感じで時々相手の行動を咎めるのだ。そして、そこから相手を崩す一手を入れていく機会をうかがう。そして、時は来る。自分が行った反撃に対し、相手が僅かに受け流しをしくじったのだ。
(仕掛ける!)
覚悟を決め、まずは右手に仕込んであるシザーを発射する。勢いよく盾から飛び出して相手の首を狙うシザーだが、相手はシザーと首の間に槍の穂先を挟み込んでこれを阻止。相手が「ハサミ!?」 と驚いたその一瞬のうちに自分は近寄り、今度は左の盾に仕込んであるパイルバンカーを起動させた。
「パイルバンカーかっ!?」
相手も気が付いたようだが自分は構わずパイルバンカーを、相手のレバーに叩き込む感じで放った。だが、これも相手がとっさに槍の柄で防御した。自分のパイルバンカーは、その柄に突き刺さる形となった。自分は後ろに下がり、相手も槍を手放した。直後に爆発が発生し、黒い煙が立ち上った。その瞬間、自分は感じ取った。《龍咬》を放てるタイミングが来たのだ、と。
(ならば、迷う理由なし)
八岐の突きを背に背負い、レガリオンを分割してガナードを手に持った。そして居合の構えを取り──煙の先にいる相手に向かって突撃する。この一太刀が、この試合で出来る最後の攻撃。決まれば勝ち、決まらなければ負けだ。だが、そういった事は考えない。この一撃を全力で振るう事だけに集中する。そして、感覚が告げるまま、自分は煙ごと相手を断ち切るべく刃を振るった──
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