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連載
新しいPvP
年表のネタも十分に提供した事だし、そろそろという感じで自分とツヴァイはこの場を辞した。女性プレイヤーは良い笑顔で「素晴らしいお話をありがとうございました、約束通りワンモアが終了するまでは年表に書き込みません」との言葉とともに自分とツヴァイを見送った。
「それでツヴァイ、目的の日が来るまでどうすればいい?」「それなんだが、ガンガンPvPを繰り返して慣れる事に集中しようと思っている。アースも参加してもらうぜ」
まあ、それが無難な選択か。白の塔、黒の塔ともに入れないしただ当日までログインしなかったりただボケーっとしているよりはいいだろう。それに今回の三人チームPvPは独特な要素が多いから回数をこなして慣れておくことも大事だろう。
「了解。普通のPvPとは勝手が違うし、確かに本番でスムーズに行動できるようにする為にもがっつり練習しておいた方がいいな」「そう言う事だぜ、とにかく今回のPvPはこっちでもなれている面子はほぼいない。だから練習をしておくのは必須だ」
そんな話をしながら、ブルーカラーの面子が休んでいる場所へと戻る。その場で登録が完了した事とPvPの訓練を本番までに何度も繰り返して慣れておくことなどをツヴァイがメンバーに告げる。
「そうですか、これで最後のイベントへの参加準備は整ったという事ですね」「なら早速練習を兼ねてPvPをしないか? 面子はランダムで抽選されるようにしよう。もちろん非公開でだ」
カザミネの発言の後に続いたレイジの言葉にしたがい、自分達は早速第一回目のPvP訓練に取り掛かる事になった。改めて参加する面子だが、自分、ツヴァイ、ミリー、カザミネ、レイジ、ノーラ、ロナちゃん、エリザ、カナさんで九人だ。今はミリ―がいないが、参加する事は間違いないので問題ない。
「よし、じゃあ始めるか。見学は二人だが、離れた場所から見る事で気がつく事もあるだろうからしっかりな。じゃあPvPエリアに移動するから各自飛ばした要請に従ってくれ」
ツヴァイの言葉が終わるとほぼ同時に、通知が飛んできた。もちろん内容はPvPである。ツヴァイからの要請であることを確認した後にOKボタンを押し込み移動。この場にいる八人は無事にPvPエリアへと移動した。全員がお揃った事で早速ルーレットが回り、六人を選抜する。自分は──うん、見学組だった。もう一人の見学組はカナさんが選ばれた。
「よし、じゃあ始めるか。アースとカナは戦いが終わった後に気が付いたことを遠慮なく言ってもらうぜ」「了解」「ええ、任せてください」
チーム分けだが、ツヴァイ、レイジ、ノーラVSカザミネ、エリザ、ロナちゃんという形となった。最初の組み合わせは……ツヴァイVSロナちゃんか。リーチという面では圧倒的にツヴァイが有利だが、格闘家であるロナちゃんは剣に対する対抗策を幾つも持っているはずだ。それに懐に入ってからのラッシュ力は圧倒的だ。面白い戦いになりそうだ。
「そっちはロナが一番手か、いくぜ」「ギルマスだからって容赦しないよー?」「──容赦された記憶なんて全然ないんだが俺の気のせいか?」
なんて会話がカウントダウン前に交わされた。ツヴァイ、やっぱりお前さん苦労してるんだな。なんて自分の感想を抱いたと同時にカウントダウンが開始。そうなればお互いに見合って集中する。自然と静寂が訪れ、カウントダウンの声のみが聞こえる場が生まれる。
『FIGHT!』
という声と共に、ツヴァイとロナちゃんは同時にお互いに向かって突撃。ツヴァイはいつでも突きを繰り出せる体制で、ロナちゃんはボクシングのピーカーブーのように顔を半分ぐらい隠しながら前に出る。そして劇とする、と思われた瞬間にツヴァイが自分の予想していなかった行動をとった。
(なぎ払い!?)
突きのモーションを見せておきながら、ロナちゃんとの間合いが詰まった所でツヴァイは突如突きのモーションから大剣を右側に動かしてなぎ払いを繰り出した。そのなぎ払いは、明確に置きだ。ロナちゃんが突っ込んできた場合に当たるように調整された攻撃。が、ロナちゃんもツヴァイの攻撃に対する対策はしっかりあったようだ。
(ロナちゃんは《大跳躍》を使って飛び越えたか)
《大跳躍》を用いてロナちゃんはツヴァイごと大きく飛び越えて回避する形を取った。跳躍の高さ、距離共にツヴァイの大剣の間合いの外だ。もちろんツヴァイが飛び道具系のアーツを用いれば届かせる事は出来るが……今回はその選択肢を選ばなかったようだ。お互いが見合ってにらみ合う。まずはお互いの挨拶が済んだって感じかな?
そこからは一転して少しずつ距離を詰めていく形へと移行。お互いの距離が、ツヴァイの持つ大剣一本分半の距離まで詰まる。ツヴァイが大剣を様々な形に構えて牽制し、ロナちゃんも前に出ようとしたり左右から潜り込もうという動きを見せたりして互いを牽制しあう。さて、先に手を出すのはどっちかな?
牽制合戦から、本格的な攻撃に先に移ったのはロナちゃんだった。ツヴァイの突きの構えを取った瞬間、一気に飛び出すような勢いで距離を詰めて自分の間合いにしようと猛獣のごとく襲い掛かった。が、ツヴァイもこのロナちゃんの突撃に対して大剣を盾にするかのような構えを取りながら突撃。お互いの拳と剣がぶつかる。
このぶつかり合いを制したのはツヴァイだった。ロナちゃんがやや顔をしかめながら後ろに下がり、ツヴァイは機を逃さんとばかりにロナちゃんに向かって構えた大剣を振り下ろす。ロナちゃんはこのツヴァイの攻撃を何とか回避──しきれていない。ロナちゃんの胴体に一直線の光が走り血が舞った。
(クリーンヒットではない、けど軽く掠っただけという感じでもないな。それなりのダメージは入っているだろう)
もしクリーンヒットしていたら、一気にHPの六割ぐらいは持っていかれたのではないだろうか? 大剣の一撃必殺性は高い。その分大振りになりやすいのだが、当たればでかい。さっきのは切っ先だけが当たったという感じだったが、それでも一定のダメージは免れない。ファーストヒットが入ったと考えていい。
「今の一撃、直撃していたらロナさんは体力を六割弱ぐらいは持っていかれたでしょうね」「直撃だけは何としても回避して見せたという感じだったね。さて、ロナちゃんはどうするのか……」
このまま戦うのか、控えメンバーと交代するのか……しかし、下手なタイミングで交代すると交代直後のメンバーが攻撃を合わせられていきなり大ダメージを貰う事になりかねない。交代するなら相手の交代と同時にやるとか、乱入してもらって妨害を入れられないようにするとか、相手を吹き飛ばすなりして妨害されないようにするなどの手段が考えられるが。
ロナちゃんの選択は、戦闘続行だった。まだやれる範疇に収まっている以上交代は早いという考えになったのかも。まあ、それも間違いじゃない。それに逆に一発貰った事がロナちゃんにとってはいい気つけになったのかもしれない──動きが良くなっているように感じる。ツヴァイももちろん易々とダメージを貰うような行動はしていないが、それでも数発の拳をツヴァイの体に叩き込む事に成功している。
(そして膠着、か。互いに攻める手段を持ってはいるが、その攻めに移るための一手が──うーん、こういう所は人がやる以上どんな世界でも似るんだな)
ギルドメンバー故に、下手な攻め方は出来ない。お互いの手はお互いが理解しているし、考えなしの攻撃は回避からの手痛いカウンターが飛んでくるなんて事も十二分に分かっている。だからこそ動けない──というのは武舞台の上に上がっている二人だけであった。そう、今回のルールでは五秒間、三回までなら乱入が認められている。そして動いたのはエリザだった。
「《ブリザード・コフィン》!」
乱入したエリザは、氷系魔法を唱えてツヴァイを氷の牢獄へと閉じ込めてしまった。ツヴァイももちろんその牢獄を砕くし、五秒という制限がある以上エリザもこれ以上魔法による援護は出来ずに下がるしかない。しかし、ロナちゃんにとってこれは攻撃を仕掛ける機会となる。
「ありがと!」
エリザに短く感謝の意を述べながらロナちゃんがツヴァイとの間合いを一気に詰めて──アッパーカットを振るう。ツヴァイは何とか反応したが、ロナちゃんの拳がツヴァイの顎にかするような形で入る。しかし、それでも十分な威力があった様でツヴァイの体が一瞬浮いた。軽鎧を着込んでいるにもかかわらず、だ。
着地したツヴァイは明確によろけた。が、それで終わるツヴァイではない。そこからロナちゃんが仕掛けるラッシュを大剣を盾に使いながらうまくしのぐ。ただ、足にはかなり来ているようで足元がややおぼつかない。このままロナちゃんが押し切るのか? と思った所で今度はノーラが乱入して動いた。
「《アクア・リカバリィ》!」
ノーラは水魔法系の回復魔法を選択したようだ。水の雫がいくつもツヴァイの頭に降り注ぎ──直後、ツヴァイが盾として使っていた大剣ごとロナちゃんの拳に向かって叩きつけた。その動きは先ほどまで足元がややふらついていた人間の者ではない。体力だけではなく、肉体的な異常を治癒したのだろう。
ロナちゃんはこの攻撃をもろに食らい、かなりの距離を飛ばされた。明確なダメージが入っている事は疑いようもない。むう、乱入ありというだけでこうも今までのPvPとは変わるものなのか。ぶっつけ本番は絶対にダメなPvPだな。
「それでツヴァイ、目的の日が来るまでどうすればいい?」「それなんだが、ガンガンPvPを繰り返して慣れる事に集中しようと思っている。アースも参加してもらうぜ」
まあ、それが無難な選択か。白の塔、黒の塔ともに入れないしただ当日までログインしなかったりただボケーっとしているよりはいいだろう。それに今回の三人チームPvPは独特な要素が多いから回数をこなして慣れておくことも大事だろう。
「了解。普通のPvPとは勝手が違うし、確かに本番でスムーズに行動できるようにする為にもがっつり練習しておいた方がいいな」「そう言う事だぜ、とにかく今回のPvPはこっちでもなれている面子はほぼいない。だから練習をしておくのは必須だ」
そんな話をしながら、ブルーカラーの面子が休んでいる場所へと戻る。その場で登録が完了した事とPvPの訓練を本番までに何度も繰り返して慣れておくことなどをツヴァイがメンバーに告げる。
「そうですか、これで最後のイベントへの参加準備は整ったという事ですね」「なら早速練習を兼ねてPvPをしないか? 面子はランダムで抽選されるようにしよう。もちろん非公開でだ」
カザミネの発言の後に続いたレイジの言葉にしたがい、自分達は早速第一回目のPvP訓練に取り掛かる事になった。改めて参加する面子だが、自分、ツヴァイ、ミリー、カザミネ、レイジ、ノーラ、ロナちゃん、エリザ、カナさんで九人だ。今はミリ―がいないが、参加する事は間違いないので問題ない。
「よし、じゃあ始めるか。見学は二人だが、離れた場所から見る事で気がつく事もあるだろうからしっかりな。じゃあPvPエリアに移動するから各自飛ばした要請に従ってくれ」
ツヴァイの言葉が終わるとほぼ同時に、通知が飛んできた。もちろん内容はPvPである。ツヴァイからの要請であることを確認した後にOKボタンを押し込み移動。この場にいる八人は無事にPvPエリアへと移動した。全員がお揃った事で早速ルーレットが回り、六人を選抜する。自分は──うん、見学組だった。もう一人の見学組はカナさんが選ばれた。
「よし、じゃあ始めるか。アースとカナは戦いが終わった後に気が付いたことを遠慮なく言ってもらうぜ」「了解」「ええ、任せてください」
チーム分けだが、ツヴァイ、レイジ、ノーラVSカザミネ、エリザ、ロナちゃんという形となった。最初の組み合わせは……ツヴァイVSロナちゃんか。リーチという面では圧倒的にツヴァイが有利だが、格闘家であるロナちゃんは剣に対する対抗策を幾つも持っているはずだ。それに懐に入ってからのラッシュ力は圧倒的だ。面白い戦いになりそうだ。
「そっちはロナが一番手か、いくぜ」「ギルマスだからって容赦しないよー?」「──容赦された記憶なんて全然ないんだが俺の気のせいか?」
なんて会話がカウントダウン前に交わされた。ツヴァイ、やっぱりお前さん苦労してるんだな。なんて自分の感想を抱いたと同時にカウントダウンが開始。そうなればお互いに見合って集中する。自然と静寂が訪れ、カウントダウンの声のみが聞こえる場が生まれる。
『FIGHT!』
という声と共に、ツヴァイとロナちゃんは同時にお互いに向かって突撃。ツヴァイはいつでも突きを繰り出せる体制で、ロナちゃんはボクシングのピーカーブーのように顔を半分ぐらい隠しながら前に出る。そして劇とする、と思われた瞬間にツヴァイが自分の予想していなかった行動をとった。
(なぎ払い!?)
突きのモーションを見せておきながら、ロナちゃんとの間合いが詰まった所でツヴァイは突如突きのモーションから大剣を右側に動かしてなぎ払いを繰り出した。そのなぎ払いは、明確に置きだ。ロナちゃんが突っ込んできた場合に当たるように調整された攻撃。が、ロナちゃんもツヴァイの攻撃に対する対策はしっかりあったようだ。
(ロナちゃんは《大跳躍》を使って飛び越えたか)
《大跳躍》を用いてロナちゃんはツヴァイごと大きく飛び越えて回避する形を取った。跳躍の高さ、距離共にツヴァイの大剣の間合いの外だ。もちろんツヴァイが飛び道具系のアーツを用いれば届かせる事は出来るが……今回はその選択肢を選ばなかったようだ。お互いが見合ってにらみ合う。まずはお互いの挨拶が済んだって感じかな?
そこからは一転して少しずつ距離を詰めていく形へと移行。お互いの距離が、ツヴァイの持つ大剣一本分半の距離まで詰まる。ツヴァイが大剣を様々な形に構えて牽制し、ロナちゃんも前に出ようとしたり左右から潜り込もうという動きを見せたりして互いを牽制しあう。さて、先に手を出すのはどっちかな?
牽制合戦から、本格的な攻撃に先に移ったのはロナちゃんだった。ツヴァイの突きの構えを取った瞬間、一気に飛び出すような勢いで距離を詰めて自分の間合いにしようと猛獣のごとく襲い掛かった。が、ツヴァイもこのロナちゃんの突撃に対して大剣を盾にするかのような構えを取りながら突撃。お互いの拳と剣がぶつかる。
このぶつかり合いを制したのはツヴァイだった。ロナちゃんがやや顔をしかめながら後ろに下がり、ツヴァイは機を逃さんとばかりにロナちゃんに向かって構えた大剣を振り下ろす。ロナちゃんはこのツヴァイの攻撃を何とか回避──しきれていない。ロナちゃんの胴体に一直線の光が走り血が舞った。
(クリーンヒットではない、けど軽く掠っただけという感じでもないな。それなりのダメージは入っているだろう)
もしクリーンヒットしていたら、一気にHPの六割ぐらいは持っていかれたのではないだろうか? 大剣の一撃必殺性は高い。その分大振りになりやすいのだが、当たればでかい。さっきのは切っ先だけが当たったという感じだったが、それでも一定のダメージは免れない。ファーストヒットが入ったと考えていい。
「今の一撃、直撃していたらロナさんは体力を六割弱ぐらいは持っていかれたでしょうね」「直撃だけは何としても回避して見せたという感じだったね。さて、ロナちゃんはどうするのか……」
このまま戦うのか、控えメンバーと交代するのか……しかし、下手なタイミングで交代すると交代直後のメンバーが攻撃を合わせられていきなり大ダメージを貰う事になりかねない。交代するなら相手の交代と同時にやるとか、乱入してもらって妨害を入れられないようにするとか、相手を吹き飛ばすなりして妨害されないようにするなどの手段が考えられるが。
ロナちゃんの選択は、戦闘続行だった。まだやれる範疇に収まっている以上交代は早いという考えになったのかも。まあ、それも間違いじゃない。それに逆に一発貰った事がロナちゃんにとってはいい気つけになったのかもしれない──動きが良くなっているように感じる。ツヴァイももちろん易々とダメージを貰うような行動はしていないが、それでも数発の拳をツヴァイの体に叩き込む事に成功している。
(そして膠着、か。互いに攻める手段を持ってはいるが、その攻めに移るための一手が──うーん、こういう所は人がやる以上どんな世界でも似るんだな)
ギルドメンバー故に、下手な攻め方は出来ない。お互いの手はお互いが理解しているし、考えなしの攻撃は回避からの手痛いカウンターが飛んでくるなんて事も十二分に分かっている。だからこそ動けない──というのは武舞台の上に上がっている二人だけであった。そう、今回のルールでは五秒間、三回までなら乱入が認められている。そして動いたのはエリザだった。
「《ブリザード・コフィン》!」
乱入したエリザは、氷系魔法を唱えてツヴァイを氷の牢獄へと閉じ込めてしまった。ツヴァイももちろんその牢獄を砕くし、五秒という制限がある以上エリザもこれ以上魔法による援護は出来ずに下がるしかない。しかし、ロナちゃんにとってこれは攻撃を仕掛ける機会となる。
「ありがと!」
エリザに短く感謝の意を述べながらロナちゃんがツヴァイとの間合いを一気に詰めて──アッパーカットを振るう。ツヴァイは何とか反応したが、ロナちゃんの拳がツヴァイの顎にかするような形で入る。しかし、それでも十分な威力があった様でツヴァイの体が一瞬浮いた。軽鎧を着込んでいるにもかかわらず、だ。
着地したツヴァイは明確によろけた。が、それで終わるツヴァイではない。そこからロナちゃんが仕掛けるラッシュを大剣を盾に使いながらうまくしのぐ。ただ、足にはかなり来ているようで足元がややおぼつかない。このままロナちゃんが押し切るのか? と思った所で今度はノーラが乱入して動いた。
「《アクア・リカバリィ》!」
ノーラは水魔法系の回復魔法を選択したようだ。水の雫がいくつもツヴァイの頭に降り注ぎ──直後、ツヴァイが盾として使っていた大剣ごとロナちゃんの拳に向かって叩きつけた。その動きは先ほどまで足元がややふらついていた人間の者ではない。体力だけではなく、肉体的な異常を治癒したのだろう。
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