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59:ベツレヘムの星盗難事件 後編
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「それでは解決編といきましょうか」
「伊藤、さっさといえ。ふざけてるんじゃないぞ」
「そ、そんなに怒らないでくださいよ……ぐすん」
「まあまあ、正道。落ち着いて。それで? ゴールデンベツレヘムの星の在処はどこ?」
「ここです!」
「……なあ、伊藤。俺にはオーナメントブーツにしか見えないのだが」
「奇遇ですね。私もです……って! 怖い怖い! 睨まないでください! 本当にこの中にあるんですから! ほら! 持ってみてください!」
「中だと? ったく、こんなときにふざけるな。ブーツの中に全長二十センチもあるゴールデンベツレヘムの星が入るわけ……って、重ぉ! なんだ? このブーツ、重い! それに何が入ってるぞ……」
「正道、ブーツに何が入っているの?」
「な、なんだ? 大量の細かな欠片が入っているぞ」
「ホウキに挟まっていたものだね。でも、何の欠片だろう?」
「ベツレヘムの星の欠片です」
「はぁ? どういうことだ? この欠片がベツレヘムの星だと? ゴールデンベツレヘムの星はどこにあるんだ?」
「先輩、勘違いしてます。そのベツレヘムの星こそ、この部屋からなくなったものなんです。元々、ゴールデンじゃなかったんですよ、あの星は。ただのプラスチックです」
「なるほどね……」
「左近、今の説明で分かったのか?」
「大体はね。僕よりも館長に聞いた方が早いのかな?」
「し、知らん! そのブーツの中にあった物は私が用意したゴールデンベツレヘムの星ではない! 別の物だろ!」
「いえ。合ってますよ。私、確かめたんです。手に持って」
「手に持って? ここにあったベツレヘムの星を触ったの?」
「はい、橘先輩。ここにあったゴールデンベツレヘムの星もどきを手にして分かったんです。ゴールドにしては軽いし、触ると、金色の塗料が手についたんです。だから、化粧室で洗い落としたわけです。この欠片を警察に持っていけば、全て判明しますよ。プラスチックの欠片に私の指紋や塗料がついていることが。そうですねよ、館長さん?」
「そ、それは……」
「ま、待ってくれ! どういうことですか、館長! これが偽物なら本物はどこにあるんです? ゴールデンベツレヘムの星は姉妹都市からプレゼントされたものですが、この公民館の所有物です! あなたのものではありませんよ!」
「えっ? そうなんですか、先輩?」
「いや、俺も知らなかった。館長がそう言っていたのを聞いただけだ」
「く、くそ!」
「あっ! 逃げた!」
「正道!」
「分かっている!」
「やれやれ……とんだ事件に巻き込まれたものだな、左近」
「全くね。正道、とりあえず、お疲れさん」
「藤堂君! 館長を捕まえてくれてありがとう! 危うく逃げられるところだったよ!」
「いえ、富岡さん。俺だけの手柄じゃないです。警備員も手伝ってくれましたので」
「……伊藤さん、その……疑って悪かったな」
「いえ、いいんですよ、警備員さん。無実だと証明されましたし、それでいいです」
「そう言ってもらえると助かる。館長は警察に引き渡した。これで事件解決だ」
「けど、あの館長、最初っからゴールデンベツレヘムの星を盗むつもりだったみたいだね。あのオーナメントブーツ、館長が用意したものでしょ?」
「ああっ、そうだ。左近の言う通り、これは計画的犯罪だ。館長はまず、本物のゴールデンベツレヘムの星を公民館の外に隠してておいて、偽物を用意した。この部屋に誰もいなくなったことを館長は確認したあと、偽物を粉々にしてオーナメントブーツに入れて隠した。あとは泥棒に盗まれたと騒いで、外部犯のせいにしようとした。ほとぼりが冷めるのを待って、オーナメントブーツを回収し、犯人が見つからないまま、ゴールデンベツレヘムの星は館長の物になる予定だったわけだな」
「先輩、どうして、館長はオーナメントブーツをすぐに持ち去らなかったのでしょうか? すぐに持ち去れば、犯行はバレずにすんだのでは?」
「館内にオーナメントブーツを持ち歩いていたら、目立って変だと思われるからじゃないか? それにオーナメントブーツだけが移動していたら、不審だと思うしな。みんなが去った後ならオーナメントブーツがなくなっても、飾り付けに使わなかったからゴミで捨てましたといえば、説明はつく。それに見つからない自信があったんだろう。警察も全長二十センチあるゴールデンベツレヘムの星がまさか、お菓子の入っていたオーナメントブーツにあるとは思わないだろうからな」
「意外にも分からないものだね。伊藤さんが見つけてくれなかったら、本当に迷宮入りしてたかもしれない。おてがらだよ、伊藤さん」
「いえいえ、橘先輩。私だけの手柄じゃありません。先輩がちりとりとホウキの移動に気づいてくれたから、分かったんです。これってコンビプレイですよね!」
「ハハハッ、いいコンビだね、藤堂君」
「……笑い事ではありませんよ、富岡さん。これに懲りたら、数千万もする物をたかが子供会に出さないでください」
「……実はね、正道君。実物もゴールドではなくて金メッキなんだ」
「「「き、金メッキ~?」」」
「そう。だから、数千万じゃなくて、数千円なんだ……」
「「「おい!」」」
「ぼ、僕が悪いわけじゃないんだよ! 送られたメールにあの星は時価数千万円だって書かれていたんだ! でも、も、本当に数千万円するのかって問い合わせたら、桁を間違えたって言ってたよ。そのとき、金メッキだって知ったんだ。しかも、それを知ったのは一時間前だから、館長も知らなかったんだね」
「ややこしい話しだ。そのせいで犯罪者がでてしまった」
「そ、それは館長が悪いでしょ?」
「確かに」
「さて、事件も解決したことですし、クリスマスツリーの飾りを仕上げましょうか、先輩」
「いや、まだ裁かれる者がいる」
「はい? 誰ですか?」
「お前だ、伊藤!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!」
「伊藤……俺は言ったよな? 触るなと。もし、あれが本物で万が一、落としてキズでもついたらどうするつもりだったんだ! この大馬鹿者!」
「ひぃいいいいいいいいいいいいいいいい! な、納得いきません! 事件を解決したのは私なのに! ご、ごめんなさ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~い!」
「……オチもついたし、仕事に戻りましょうか?」
「「そうだな」」
「伊藤、さっさといえ。ふざけてるんじゃないぞ」
「そ、そんなに怒らないでくださいよ……ぐすん」
「まあまあ、正道。落ち着いて。それで? ゴールデンベツレヘムの星の在処はどこ?」
「ここです!」
「……なあ、伊藤。俺にはオーナメントブーツにしか見えないのだが」
「奇遇ですね。私もです……って! 怖い怖い! 睨まないでください! 本当にこの中にあるんですから! ほら! 持ってみてください!」
「中だと? ったく、こんなときにふざけるな。ブーツの中に全長二十センチもあるゴールデンベツレヘムの星が入るわけ……って、重ぉ! なんだ? このブーツ、重い! それに何が入ってるぞ……」
「正道、ブーツに何が入っているの?」
「な、なんだ? 大量の細かな欠片が入っているぞ」
「ホウキに挟まっていたものだね。でも、何の欠片だろう?」
「ベツレヘムの星の欠片です」
「はぁ? どういうことだ? この欠片がベツレヘムの星だと? ゴールデンベツレヘムの星はどこにあるんだ?」
「先輩、勘違いしてます。そのベツレヘムの星こそ、この部屋からなくなったものなんです。元々、ゴールデンじゃなかったんですよ、あの星は。ただのプラスチックです」
「なるほどね……」
「左近、今の説明で分かったのか?」
「大体はね。僕よりも館長に聞いた方が早いのかな?」
「し、知らん! そのブーツの中にあった物は私が用意したゴールデンベツレヘムの星ではない! 別の物だろ!」
「いえ。合ってますよ。私、確かめたんです。手に持って」
「手に持って? ここにあったベツレヘムの星を触ったの?」
「はい、橘先輩。ここにあったゴールデンベツレヘムの星もどきを手にして分かったんです。ゴールドにしては軽いし、触ると、金色の塗料が手についたんです。だから、化粧室で洗い落としたわけです。この欠片を警察に持っていけば、全て判明しますよ。プラスチックの欠片に私の指紋や塗料がついていることが。そうですねよ、館長さん?」
「そ、それは……」
「ま、待ってくれ! どういうことですか、館長! これが偽物なら本物はどこにあるんです? ゴールデンベツレヘムの星は姉妹都市からプレゼントされたものですが、この公民館の所有物です! あなたのものではありませんよ!」
「えっ? そうなんですか、先輩?」
「いや、俺も知らなかった。館長がそう言っていたのを聞いただけだ」
「く、くそ!」
「あっ! 逃げた!」
「正道!」
「分かっている!」
「やれやれ……とんだ事件に巻き込まれたものだな、左近」
「全くね。正道、とりあえず、お疲れさん」
「藤堂君! 館長を捕まえてくれてありがとう! 危うく逃げられるところだったよ!」
「いえ、富岡さん。俺だけの手柄じゃないです。警備員も手伝ってくれましたので」
「……伊藤さん、その……疑って悪かったな」
「いえ、いいんですよ、警備員さん。無実だと証明されましたし、それでいいです」
「そう言ってもらえると助かる。館長は警察に引き渡した。これで事件解決だ」
「けど、あの館長、最初っからゴールデンベツレヘムの星を盗むつもりだったみたいだね。あのオーナメントブーツ、館長が用意したものでしょ?」
「ああっ、そうだ。左近の言う通り、これは計画的犯罪だ。館長はまず、本物のゴールデンベツレヘムの星を公民館の外に隠してておいて、偽物を用意した。この部屋に誰もいなくなったことを館長は確認したあと、偽物を粉々にしてオーナメントブーツに入れて隠した。あとは泥棒に盗まれたと騒いで、外部犯のせいにしようとした。ほとぼりが冷めるのを待って、オーナメントブーツを回収し、犯人が見つからないまま、ゴールデンベツレヘムの星は館長の物になる予定だったわけだな」
「先輩、どうして、館長はオーナメントブーツをすぐに持ち去らなかったのでしょうか? すぐに持ち去れば、犯行はバレずにすんだのでは?」
「館内にオーナメントブーツを持ち歩いていたら、目立って変だと思われるからじゃないか? それにオーナメントブーツだけが移動していたら、不審だと思うしな。みんなが去った後ならオーナメントブーツがなくなっても、飾り付けに使わなかったからゴミで捨てましたといえば、説明はつく。それに見つからない自信があったんだろう。警察も全長二十センチあるゴールデンベツレヘムの星がまさか、お菓子の入っていたオーナメントブーツにあるとは思わないだろうからな」
「意外にも分からないものだね。伊藤さんが見つけてくれなかったら、本当に迷宮入りしてたかもしれない。おてがらだよ、伊藤さん」
「いえいえ、橘先輩。私だけの手柄じゃありません。先輩がちりとりとホウキの移動に気づいてくれたから、分かったんです。これってコンビプレイですよね!」
「ハハハッ、いいコンビだね、藤堂君」
「……笑い事ではありませんよ、富岡さん。これに懲りたら、数千万もする物をたかが子供会に出さないでください」
「……実はね、正道君。実物もゴールドではなくて金メッキなんだ」
「「「き、金メッキ~?」」」
「そう。だから、数千万じゃなくて、数千円なんだ……」
「「「おい!」」」
「ぼ、僕が悪いわけじゃないんだよ! 送られたメールにあの星は時価数千万円だって書かれていたんだ! でも、も、本当に数千万円するのかって問い合わせたら、桁を間違えたって言ってたよ。そのとき、金メッキだって知ったんだ。しかも、それを知ったのは一時間前だから、館長も知らなかったんだね」
「ややこしい話しだ。そのせいで犯罪者がでてしまった」
「そ、それは館長が悪いでしょ?」
「確かに」
「さて、事件も解決したことですし、クリスマスツリーの飾りを仕上げましょうか、先輩」
「いや、まだ裁かれる者がいる」
「はい? 誰ですか?」
「お前だ、伊藤!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!」
「伊藤……俺は言ったよな? 触るなと。もし、あれが本物で万が一、落としてキズでもついたらどうするつもりだったんだ! この大馬鹿者!」
「ひぃいいいいいいいいいいいいいいいい! な、納得いきません! 事件を解決したのは私なのに! ご、ごめんなさ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~い!」
「……オチもついたし、仕事に戻りましょうか?」
「「そうだな」」
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