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第二章 樫木・ランバ・千里 ~ユニコーン討伐録
第37話 最強のディアボロス
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扉は完全に閉ざされた。
閉まるその寸前、最後と言わんばかりに、巨大な悪魔の塊が噴出する。
「……どうやら、間に合ったようね」
露草先輩の確認……という独り言。
そう、最強のディアボロス、ローレライの出現は防げた。
目の前にいる2体のディアボロスのことは、
これから何とかしなければならないものの、
最悪の状況だけは防げたということ。
その点だけに安堵し、長く息を吐いていると。
「ふふふ……そう、無事間に合ったわ」
私の記憶にない声、そして笑い声が響きわたる。
私を除く退魔部の全員が、肩を大きく震わせ、その声に反応していた。
最後に噴出した大きな黒い塊。
その悪魔が霧散したと思うと、中から現れる1人の少女。
真っ黒で吸い込まれそうな髪。
足先までありそうな長い髪がふわふわ揺れている様は、
着ている紺色のドレスと相まって不気味さを覚える。
綺麗だろうと思われる顔の上に、無機質に笑う白いマスクをつけていた。
そのマスクの奥で青く光る眼は、
一度囚われるとずっと虜にされてしまいそうな魔力を宿しているかのよう。
ローレライ。
最強と謳われる、ディアボロス。
誰に言われるでもなく、それを感じ取った。
「間一髪ってところね。まぁ、やることはなくなっちゃったみたいだけど」
何だか懐かしさを感じる声。
ただ、それ以上に、恐怖が先に私の心を支配していた。
「まぁ、持って行くのは次回になっちゃったね! でもさ、次の解放日には、確実に持って行きたいじゃない?」
わずかな間を空ける。
ローレライは、何かに思い至ったような声を出す。
「……あぁ、そういうこと。あんた1人で勝手に話し進めないでよ。
要領掴めなかったじゃない」
「ごめんごめん。でも、そういうことだからさ。こいつらを倒すのに協力してよ」
「そうね、興が乗ったらってところかしら。
別に、そんなに積極的に楽しむ気にも…………」
言葉を中断して、見据える視線。
それは、私に来ていた。
どんな感情が乗せられているのかは分からない。
ただ、眼光がより鋭く、私を一直線に凝視していた。
思わず寒気が走る。
「……ま、とりあえず、この状況を何とかしましょ」
ふわりと降りてくるローレライ。
そのまま、ユニコーンと対峙する森川先輩の前に来る。
森川先輩は、構えに一層の緊張感を持って、
ローレライの一挙手一投足を観察する。
「邪魔」
左手を前に出したと思った途端、森川先輩は吹っ飛ばされていた。
ゲートの方へ大きな放物線を描き、
まるで蹴飛ばされた空き缶のごとく飛んでいく。
そんな状態であってもなお、何とか着地には成功しているのは、
さすがは森川先輩だった。
その森川先輩に、一番近くになった露草先輩が寄り添う。
「ちっ……化け物め」
「きっと相手は褒め言葉として受け取るわよ。
とりあえず、ゲートは閉められたけど…………
これはどうしたものかしらね」
あまりに大きな想定外が2つ。
先輩たちも、どうしていいか分からないようだ。
かくいう私も、何をすべきなのかが分からない。
ゲートを閉める。
私に出来ることはこれだけ。
そして、「バルティナの歪み」も終わり、あとは帰るだけ。
それなのに。
この状況は、決して楽に帰してくれそうには無かった。
「そこの角。それに犬。あなた達はどうするの?」
「その呼び方、相変わらず酷いなぁ。まぁいいや。
とりあえず、ディアボロスが3人も集まるなんて、そう無いことだしさ。
こいつら全員、殺しちゃう?」
「なるほど。単純な発想だが、悪くない」
「そうね。
まぁ、敵さんの新人もいることだし、ちょっと遊んでみるのも一興かしら」
ディアボロスが集結する。
それに合わせるように、退魔部員が私たちのところに集まった。
「分担は、私がローレライ、厘さんがユニコーン、他のみんなでケルベロス!
貴女たちは、あまり交戦しようとは思わずに、愛さんの盾を基本にして!
いい? 無理は絶対ダメよ!」
「はい!」
たった数秒の作戦会議の後に、それぞれが散った。
閉まるその寸前、最後と言わんばかりに、巨大な悪魔の塊が噴出する。
「……どうやら、間に合ったようね」
露草先輩の確認……という独り言。
そう、最強のディアボロス、ローレライの出現は防げた。
目の前にいる2体のディアボロスのことは、
これから何とかしなければならないものの、
最悪の状況だけは防げたということ。
その点だけに安堵し、長く息を吐いていると。
「ふふふ……そう、無事間に合ったわ」
私の記憶にない声、そして笑い声が響きわたる。
私を除く退魔部の全員が、肩を大きく震わせ、その声に反応していた。
最後に噴出した大きな黒い塊。
その悪魔が霧散したと思うと、中から現れる1人の少女。
真っ黒で吸い込まれそうな髪。
足先までありそうな長い髪がふわふわ揺れている様は、
着ている紺色のドレスと相まって不気味さを覚える。
綺麗だろうと思われる顔の上に、無機質に笑う白いマスクをつけていた。
そのマスクの奥で青く光る眼は、
一度囚われるとずっと虜にされてしまいそうな魔力を宿しているかのよう。
ローレライ。
最強と謳われる、ディアボロス。
誰に言われるでもなく、それを感じ取った。
「間一髪ってところね。まぁ、やることはなくなっちゃったみたいだけど」
何だか懐かしさを感じる声。
ただ、それ以上に、恐怖が先に私の心を支配していた。
「まぁ、持って行くのは次回になっちゃったね! でもさ、次の解放日には、確実に持って行きたいじゃない?」
わずかな間を空ける。
ローレライは、何かに思い至ったような声を出す。
「……あぁ、そういうこと。あんた1人で勝手に話し進めないでよ。
要領掴めなかったじゃない」
「ごめんごめん。でも、そういうことだからさ。こいつらを倒すのに協力してよ」
「そうね、興が乗ったらってところかしら。
別に、そんなに積極的に楽しむ気にも…………」
言葉を中断して、見据える視線。
それは、私に来ていた。
どんな感情が乗せられているのかは分からない。
ただ、眼光がより鋭く、私を一直線に凝視していた。
思わず寒気が走る。
「……ま、とりあえず、この状況を何とかしましょ」
ふわりと降りてくるローレライ。
そのまま、ユニコーンと対峙する森川先輩の前に来る。
森川先輩は、構えに一層の緊張感を持って、
ローレライの一挙手一投足を観察する。
「邪魔」
左手を前に出したと思った途端、森川先輩は吹っ飛ばされていた。
ゲートの方へ大きな放物線を描き、
まるで蹴飛ばされた空き缶のごとく飛んでいく。
そんな状態であってもなお、何とか着地には成功しているのは、
さすがは森川先輩だった。
その森川先輩に、一番近くになった露草先輩が寄り添う。
「ちっ……化け物め」
「きっと相手は褒め言葉として受け取るわよ。
とりあえず、ゲートは閉められたけど…………
これはどうしたものかしらね」
あまりに大きな想定外が2つ。
先輩たちも、どうしていいか分からないようだ。
かくいう私も、何をすべきなのかが分からない。
ゲートを閉める。
私に出来ることはこれだけ。
そして、「バルティナの歪み」も終わり、あとは帰るだけ。
それなのに。
この状況は、決して楽に帰してくれそうには無かった。
「そこの角。それに犬。あなた達はどうするの?」
「その呼び方、相変わらず酷いなぁ。まぁいいや。
とりあえず、ディアボロスが3人も集まるなんて、そう無いことだしさ。
こいつら全員、殺しちゃう?」
「なるほど。単純な発想だが、悪くない」
「そうね。
まぁ、敵さんの新人もいることだし、ちょっと遊んでみるのも一興かしら」
ディアボロスが集結する。
それに合わせるように、退魔部員が私たちのところに集まった。
「分担は、私がローレライ、厘さんがユニコーン、他のみんなでケルベロス!
貴女たちは、あまり交戦しようとは思わずに、愛さんの盾を基本にして!
いい? 無理は絶対ダメよ!」
「はい!」
たった数秒の作戦会議の後に、それぞれが散った。
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